4 分 2019.03.26
ロボットと対話する少年

AIが教えてくれる、ヒューマンスケールでの思考をやめるべき理由

執筆者

EY Global

複数の強みや専門性を兼ね備えるプロフェッショナル集団

4 分 2019.03.26

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マシン・スケール・パフォーマンスが世界市場での競争のあり方をがらりと変えるでしょう。

この 数年の間に、インテリジェントオートメーションは生産性と効率の面で大きな成果を上げてきました。私たちは、人間がどれだけ手早く、効果的に職務を遂行できるかに照らして、そのパフォーマンスを測定してきました。

しかし人間である私たちのものの見方は、人が1時間、1日、1週間で、どれだけのことができるかにこだわりがちです。私たちは、人間の生態と地球が描くサイクルという、とても狭い範囲の中でパフォーマンスを測定しています。

AIが活躍する世界であっても、人間はとても重要です。しかし、パフォーマンスの測定となると、ヒューマンスケールによる評価指標は重要性がはるかに劣ります。

人と機械の協力をベースとする、新しい価値のパラダイムの扉をAIが開こうとしています。このマシン・スケール・パフォーマンスは、企業の構造、投資の形、世界市場における競争のあり方を一変させるでしょう。

1,000万パーセントの効率性向上

AIがどれほど仕事を速められるかを示す、確かな例が、最近天体物理学の世界で見られました。

通常、天体物理学者たちはハッブル宇宙望遠鏡の画像を検討し、画像上の「しみ」が未発見の重力レンズかどうかを判断するために協力して取り組みます。そうであればそれは、銀河スケールで計算に影響を与える発見になります。これは何カ月も要する面倒な手作業です。そのため、この50年間、飛躍的な進展は見られませんでした。

しかしAIエンジンはたった8時間教え込んだだけで、高度なトレーニングを積んだ天体物理学者のチームが何カ月もかかる作業を、しかも3分の1秒でやってのけるだけの知識を身につけたのです。すなわち1,000万パーセントの加速です。

今、私たちはその恩恵を享受しつつあります。つまり、生涯をかけて行ってきた科学的成果が毎週達成されることになるのです。過去1年の間に、天体物理学者たちは、太陽系の10番目の惑星、最大のブラックホール、既知の銀河系で一番遠い星、そして生物が生息できる惑星をさらに発見しました。一つのAIモデルによって、私たちの宇宙に対する理解が大きな影響を受けたのです。企業のためにAIが何をできるかをちょっと想像してみてください。

効率を超えて、人間を超えて

もちろん、企業はAIがそれほどの大きさで毎回効率を改善することを期待はできませんし、そこまでの必要もありません。重要なのは、AIが適正な条件下で、厳密に人間だけの尺度では測定できないような業務実績の改善を実現できるということです。私たちは、ビジネスにおけるAIの価値を計算するとき、より大きな視野に立って考えなければなりません。

例えば、人事部門の一番大きな負担は、大量の応募書類を審査し、面接を繰り返し行うことです。100万通もの応募書類をふるい分けし、最終的に採用を通知する作業は、非常に多くの労力を要して非効率です。また、この作業には人間味も必要だと考えられています。しかし、この作業の多くの部分をAIが代わりに行うことが可能であり、ほぼ全ての点で人間と同等か、あるいはむしろより優れた働きをします。

履歴書を読み取り、資質と経験を評価できるようにAIを教育することが可能です。AIは電子メールで応募者と連絡をはかり、書式の記入に必要な情報を収集できます。AIが面談を行い、人工共感を使って、ボディランゲージや姿勢といった非言語の反応を評価することも可能です。AIが使われ、採用プロセスのほぼ全てで自動化に成功しています。人事部門のための根本的に新しい効率向上モデルが誕生したのです。

財務部門では、ベンダーの請求書から従業員の経費まで、さまざまな場面で、不正行為の発見は一般に人間主導のパターン認識、プログラム化されたアルゴリズムの問題であり、時には運にも左右されます。分析は、データサンプルや「外挿」にも基づいています。しかしAIを使えば、既知のパターンを探す以上のことが可能です。過去のファクター以外に視野を広げ、取引の100%の審査を機械に委ねます。機械は(人間監督せずとも)実際の成果から学び、時間の経過とともにパターン認識能力を高め、パフォーマンスを最適化します。私たちはさらに、人間が行うとすれば全く不可能な方法で、広範囲に人間の行動を見たり、人間の行動について読んだり、人間の行動全般を観察したりすることができます。例えば、(プライバシー規則の適用を受けますが)全職場のテキストやEメールをリアルタイムで分析することなどです。

結論

ビジネスにおいてAIが持つ価値を私たちが十分に活用するためには、従来からのヒューマンスケールのKPIの先を見据え、機械のポテンシャルを考えることが必要です。機械は制約を受けずに働き、企業の全体的業績を高める上で人間を補強するからです。

もちろん、世界クラスの技術やデータインフラが備わっていなければ、これは完全な机上の空論になってしまいます。AIは実施するものではなく、適用するものです。そしてAIは、既存のデジタルケイパビリティに付け加えられるケイパビリティとして適用できるにしか過ぎません。SAP Leonardoのような最先端のプラットフォームもその一つですが、運用を可能にし、維持するためにはスキルが必要です。

しかし、私たちは、SAPを利用したマシンスケールパフォーマンスという、グローバルな競争の最も新しい方向性を喜んで受け入れることができます。

サマリー

AIが活躍する世界であっても、人間はとても重要です。しかし、パフォーマンスの測定となると、ヒューマンスケールによる評価指標は重要性がはるかに劣ります。人と機械の協力をベースとする、新しい価値のパラダイムの扉をAIが開こうとしています。

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