4 分 2018.10.19
colorful signpost different countries

EYオープンバンキング・オポチュニティ・インデックス:オープンバンキングの利用度

執筆者

Hamish Thomas

EY EMEIA Payments Leader and UK Advisory Banking Technology Leader

Transformation leader in payments and open banking. Passionate about technology’s potential to create opportunity and manage risk. Optimistic runner. Film enthusiast.

4 分 2018.10.19

オープンバンキングは金融サービスをめぐる状況を変えていくと見られていますが、グローバル規模で加速化する導入への動きは、四つの柱から形成されています。

オープンバンキングは急速にグローバルな現象となりつつあります。規制当局の施策、変化する消費者行動、フィンテックに刺激されたイノベーションやコラボレーションの後押しを受け勢いを増しているオープンバンキングは、顧客の生活に新たなメリットを、金融サービス業界に新たなチャンスをもたらしています。 

しかし、オープンバンキングの導入状況には世界各国で大きな差があります。EYオープンバンキング機会指数(EY Open Banking Opportunity Index)は、市場間で変化のペースが異なる理由を探り、オープンバンキングの発展において四つの重要な柱がいかに重要な役割を果たしているかを評価しています。

open banking index four pillars v4

それぞれの柱について、各市場の状況に関する知見を得るために幅広い指標の評価 を行いました。規制環境には他の三つより低い評価数値を設定しています。導入、消費者の信頼、イノベーションとは異なり、規制はオープンバンキングが成功するための前提条件ではありません。

二つの異なるモデルがオープンバンキングで成功するにはどうすればいいでしょうか。

全体的な指数の順位から、オープンバンキングがどのように進化しているのを見て取ることができます。明らかに、オープンバンキングを先導しているのは英国と中国本土の二国です。しかし両国は、政策においては正反対の政策をとり、主要領域における市場は明確な対比が見られます。

多彩な規制モデルは強力なオープンバンキング環境を実現する。

英国 中国本土
規範的モデル 有機的モデル
銀行はオープンAPIの使用を義務付けられている 法律による義務付けがないオープンバンキング
必須のAPI仕様と標準化フォーマット 必須のAPI仕様はないが、オープンAPIを使用する金融サービス業界
強力なイノベーション環境と採用の可能性 強力な採用の可能性とイノベーション環境
消費者はデータ共有に慎重 データの保護度は低いが、消費者はデータ共有に前向き

両国とも、消費者に受け入れられる大きな可能性とイノベーション環境があります。しかし、英国の消費者は依然としてセキュリティやデータ保護について不安を感じている一方、中国本土の顧客はより良いサービスを受ける引き換えに自らの銀行データを公開することを肯定的に捉えています。

規制環境-プッシュ/プル?

指数調査の結果では、一つの規制政策だけではオープンバンキングは成功しないことが明確に示されています。

欧州連合(EU)においては、改訂版EU決済サービス指令(PSD2)によって、銀行は消費者の同意を得た上で第三者プロバイダー(TPP)とデータを共有することが義務付けられています。そうしたことに最も積極的に取り組んでいるのは英国とドイツで、両国の規制当局は、銀行とTPPを結ぶアプリケーションプログラミングインターフェース(API)の規格の決定に関与しています。また、英国のOpen Banking Implementation Entity(OBIE)も、市場のオープンバンキングのエコシステムの発展を注意深く監視しています。

一部の国は市場主導のアプローチを支持しており、その最も顕著な例は中国本土です。中国では、銀行やフィンテックがすでにオープンAPIの活用を大きく進めており、APIの法的義務はなく、また標準規格が整備されていないにもかかわらず、そうした動きが見られます。

また米国も、市場がオープンバンキングの導入を促進するのが望ましいという姿勢をとっています。しかし、米国財務省が発表した7月の報告書 では、規制環境の変化によってどのようにフィンテックのイノベーションを支えることができるかにも言及しています。

消費者はオープンバンキングを受け入れるでしょうか、それとも回避するでしょうか。

オープンバンキングが成功するためには、顧客からの信頼を得て、安心して第三者とデータ共有ができると思ってもらうことが不可欠です。しかし、調査によると、ほとんどの市場で、依然として、顧客からの信頼を十分得るには至っていません。

顧客が抱える不安

48%

オープンバンキングに対する、世界各国の否定的意見の48%は、「顧客データの保護とサイバーセキュリティーに関して不安がある」というものでした。

規制環境の整備が度の程度進んでいるかには関係なく、調査した10市場のうち9市場で顧客の信頼度は低い、または中程度という結果となりました。中国本土の顧客に限り、第三者との情報共有にかなり意欲的であることが示されました。約半数(49%)が、より良いサービスが受けられるのなら取引データをフィンテック企業と共有していいと回答しています。中国の消費者のオンラインでの意見の40%は、オンラインバンキングに対して肯定的なものですデジタル決済における技術革新や、政府による個人情報の共有の義務化が、おそらく中国本土におけるこうした肯定的な消費者心理の背景にあると考えられます。

open banking regulation trust consumer sentiment quadrant v4

信頼の問題

オープンバンキングの真の可能性を、消費者と金融機関の両者のために実現できるかどうかは、消費者の信頼を得ることにかかっています。規制当局の役割は、イノベーションを促進し、消費者が安心して使える環境を構築するですが、中国の例が示すように、オープンバンキングの成功は、最終的に顧客を引き込むことができるかどうかにかかっています。

オープンバンキングのリスクと恩恵を顧客に理解してもらうことは、導入を促進する手助けとなりますが、消費者心理を変える最も有効な方法は、オープンバンキングによってもたらされるメリットを顧客に示すことでしょう。人気が高いソーシャルメディアプラットフォームを見ればわかるように、メリットを実感し、使いやすく楽しいアプリを介して使うことができるのであれば、人々は積極的に情報を共有するでしょう。金融機関によるイノベーションが進めば、とりわけ米国のような市場主導の環境においては、消費者はオープンバンキングの価値を納得していくでしょう。そうすれば、世界中の市場で導入が加速化していく可能性があります。

サマリー

オープンバンキングが成功するための可能性の実現、適切な状況を整えられるかどうかにかかっています。

この記事について

執筆者

Hamish Thomas

EY EMEIA Payments Leader and UK Advisory Banking Technology Leader

Transformation leader in payments and open banking. Passionate about technology’s potential to create opportunity and manage risk. Optimistic runner. Film enthusiast.