この未来像の中にあるチャンスは無限です。しかもワクワクしますね!
従来の銀行でも、このような動きをリードするチャンスはわずかにありますが、もしもこの素晴らしい機運の先頭に立ちたいのであれば、もっと迅速に動く必要があります。
顧客データの活用
とにかくデータが重要です。近年金融サービス業界において見られる重要な規制動向として、顧客データの活用(そして悪用)を巡るものが挙げられます。幸いにも、銀行は顧客データを安全に保護する機関としてまだ信用されています。すなわち、銀行が先進的なアナリティクスを使い、明らかに顧客のためになるようなアドバイスを提供することによって、データの保護者という立場で、ここで述べたような未来像の実現をサポートしていくという重要な役目を果たす機会が有るということです。一方で、データ保護については堅実であっても、それを顧客の利益になるように加工したり、分析したり、活用したりすることにおいて、銀行の対応はあまりにも遅れています。
さらに、銀行にとってはイノベーションという課題があります。銀行は長い間、独自にビジネスを行ってきました。次々に技術開発を行いながら、大きなエコシステムの中で活動するというスタイルは、決して銀行の大きな強みではありません。リテール銀行の経営陣は、「伝統的」銀行業におけるコスト削減、そして「新しい世界」のエコシステムに向けた巨大な投資という二つの課題に対処していかなければならないのです。
銀行はどのようにして顧客に価値を提供し続けるのか?
金融サービスだけでは、顧客の経済的ウェルビーイングを充実させることができないことを、台頭しつつある新しいプラットフォームが示しています。具体的に言えば、顧客をもっと知ること、顧客自身よりも顧客のことを理解し、最も重要なファイナンシャル・モーメントだけではなく、その他のことで決断を下したり取引を行ったりする多くの大切な瞬間においても、顧客をサポートすることが必要なのです。
これがうまくできれば、最高の体験・経験を顧客に提供できていることになります。顧客は銀行を相手に、長々と苦痛に感じるやりとりをせずに、「理想的な」経済的選択・行動を銀行から提案してもらえるのです。このビジョンの中心にあるのは、人々の志向や倫理観に基づいて、経済的ウェルビーイングを充実させるという考えです。これによって、顧客のほぼ4分の3が「金融商品のことがよく分からない」「金融に関する判断に自信が持てない」と言っている中で、「Build a Better Working World(より良い社会の構築)」を実現する機会が訪れるでしょう。
サマリー
この素晴らしい機運の先頭に立ちたければ、従来型の銀行は迅速に行動し、顧客に価値を提供し続けなければなりません。