5 分 2019.03.27
山の景色を楽しもうと頭を車の窓から出して微笑む女性

コネクティビティーの向上による経済的ウェルビーイング(幸福度)の充実

執筆者

Jan Bellens

EY Global Banking & Capital Markets Sector Leader

Passionate leader on innovation in financial services, especially in emerging markets. Global citizen. Keen traveler.

5 分 2019.03.27

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金融機関にとって、データやテクノロジーを活用して消費者の日常生活を充実させる経済的ウェルビーイングのツールを提供するチャンスが訪れました。

金融機関はこれまでにも、さまざまな商品やサービスに膨大な投資を行い、消費者の経済的ウェルビーイングを充実させようとしてきました。しかし、経済的ウェルビーイングは、消費者が意識的に経済的な決断を行う「ファイナンシャル・モーメント」だけで決まるものではありません。その大部分は、日常的な行動や決断―重要な二者択一的決断(大学で学位を取るなど)もあれば、軽微で決定までに余地がある決断(ジムに通い始めるなど)もあります―によって左右されるのです。経済活動において、金融機関の重要性は極めて高いものの、消費者の大部分にとっては「生活」という大きな舞台の中で、小さく退屈な役割を担う存在にすぎませんでした。

金融の未来

しかし、革新的なライバルたちに大いに刺激された金融機関に、データやテクノロジーを新しいやり方で活用するチャンスが訪れたのです。例えば銀行は、認知機能を持ったメッセンジャーアプリや予測的アナリティクスを利用したチャットボットを提供し、顧客に対して節約方法や月々の手数料の発生防止をアドバイスしています。ほとんどのアプリは、依然として銀行のエコシステム内限定ですが、データの遍在性や将来的に顧客のデータ共有に関する自由度がセクターを乗り越えて高まっていく可能性を考えると(Open BankingやPSD2といった規制当局による計画が後押ししています)、提案内容も大幅に変わっていくことが考えられます。

取引している銀行のAIチャットボットが、皆さんのデジタルウォレットとつながっていて、全ての支払いに対応している状況を考えてみてください。皆さんのデジタルウォレットには、買い物に行くたびに購入する特定の商品に関するデータがたくさん詰まっています。取引先の銀行は、特定の店で皆さんが使う金額の傾向を把握しているのです。さて、近所のスーパーに行くことを想像してみましょう。携帯電話は自分がどこにいるかを特定するだけでなく、デジタルウォレットや銀行アプリと「会話」をし、ショッピングリストや過去の買い物の好みに基づき、支出と節約のトレードオフが可能な商品を特定してくれます。

モバイル機器にこの情報が可視化されることで、どれくらい節約できているかということや、今回節約することで生涯の経済的ウェルビーイングにどれくらいの影響があるかを知ることができるのです。一方、銀行アプリにゲーム的要素を持たせれば、たくさん節約しようという気になるでしょう。

ある週にスーパーで買い物をしたら、「いつもの買い物」より5ドル節約できたとして、その分が自動的に預金口座や積立口座に送られていたらどうでしょうか? 何も考える必要はありません。金融機関とやりとりする必要もありません。すべては知らないうちに円滑に行われているのです。

この未来像の中にあるチャンスは無限です。しかもワクワクしますね!
Jan Bellens
EY Global Banking & Capital Markets Deputy Sector Leader

従来の銀行でも、このような動きをリードするチャンスはわずかにありますが、もしもこの素晴らしい機運の先頭に立ちたいのであれば、もっと迅速に動く必要があります。

顧客データの活用

とにかくデータが重要です。近年金融サービス業界において見られる重要な規制動向として、顧客データの活用(そして悪用)を巡るものが挙げられます。幸いにも、銀行は顧客データを安全に保護する機関としてまだ信用されています。すなわち、銀行が先進的なアナリティクスを使い、明らかに顧客のためになるようなアドバイスを提供することによって、データの保護者という立場で、ここで述べたような未来像の実現をサポートしていくという重要な役目を果たす機会が有るということです。一方で、データ保護については堅実であっても、それを顧客の利益になるように加工したり、分析したり、活用したりすることにおいて、銀行の対応はあまりにも遅れています。

さらに、銀行にとってはイノベーションという課題があります。銀行は長い間、独自にビジネスを行ってきました。次々に技術開発を行いながら、大きなエコシステムの中で活動するというスタイルは、決して銀行の大きな強みではありません。リテール銀行の経営陣は、「伝統的」銀行業におけるコスト削減、そして「新しい世界」のエコシステムに向けた巨大な投資という二つの課題に対処していかなければならないのです。

銀行はどのようにして顧客に価値を提供し続けるのか?

金融サービスだけでは、顧客の経済的ウェルビーイングを充実させることができないことを、台頭しつつある新しいプラットフォームが示しています。具体的に言えば、顧客をもっと知ること、顧客自身よりも顧客のことを理解し、最も重要なファイナンシャル・モーメントだけではなく、その他のことで決断を下したり取引を行ったりする多くの大切な瞬間においても、顧客をサポートすることが必要なのです。

これがうまくできれば、最高の体験・経験を顧客に提供できていることになります。顧客は銀行を相手に、長々と苦痛に感じるやりとりをせずに、「理想的な」経済的選択・行動を銀行から提案してもらえるのです。このビジョンの中心にあるのは、人々の志向や倫理観に基づいて、経済的ウェルビーイングを充実させるという考えです。これによって、顧客のほぼ4分の3が「金融商品のことがよく分からない」「金融に関する判断に自信が持てない」と言っている中で、「Build a Better Working World(より良い社会の構築)」を実現する機会が訪れるでしょう。

サマリー

この素晴らしい機運の先頭に立ちたければ、従来型の銀行は迅速に行動し、顧客に価値を提供し続けなければなりません。

この記事について

執筆者

Jan Bellens

EY Global Banking & Capital Markets Sector Leader

Passionate leader on innovation in financial services, especially in emerging markets. Global citizen. Keen traveler.