次の段階に備える
企業経営層は、新型コロナウイルスの感染拡大という、これまで経験したことのない、国際的な公衆衛生上の緊急事態への対応に注力していますが、また同時に、この危機が収束した後について考え始めています。
企業経営層は、コロナ危機の影響に緊急に対処しなくてはならない状況ですが、それでも今、成長の将来展望を見直し、企業にとっての今後の「ニューノーマル」を考えていく必要があります。主に中国、東アジア、東南アジアなどのAsia-Pacificの国々が、危機収束の方向に徐々に動き出している中で、企業は俊敏性(アジリティ)、柔軟性(フレキシビリティ)、回復力(レジリエンス)を企業戦略に取り入れており、多くのセクターで企業が大規模なトランスフォーメーションを行うことが予想されます。これは日本企業にも大いに当てはまりますが、緊急事態宣言を発表した日本はまだ新型コロナウイルス感染症の影響に対処するには初期段階にあります。
日本企業の経営層は既にサプライチェーン見直し(74%)、デジタルトランスフォーメーション推進(28%)、オートメーション加速(50%)、従業員の管理体制強化(50%)といった行動を起こしています。日本企業の4分の3(76%)は、売上目標や収益目標達成への期待に対応するため、大きなトランスフォーメーションに向けた施策実施に着手していました。現在の新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる状況と相まって、変革への意欲はかつてないほど強くなっています。
日本企業は、グローバルで貿易をめぐる緊張感が高まりつつあるという状況に対して自分たちのビジネスモデルを適応させることに焦点を置いてきました。
企業はコロナ危機が、一度きりの事象ではないと想定しています。多くの日本企業の経営層は既に繰り返し起こるディスラプションこそがニューノーマルな持続的ビジネス戦略ととらえており、優先事項と考えています。企業の経営層はこれからますます変革をもたらす戦略を徹底するようになるでしょう。
危機が終息した後の、M&Aによるリカバリーポイント
回答者の大部分が中期的には経済が回復すると考えている中で、日本企業の経営層の57%が、今後1〜2年以内に積極的にM&Aを行っていくと述べています。また、日本企業の経営層の80%が、今後1年間で買収競争が激化すること、そして、こうした競争の半分以上(67%)がかつてないほど豊富な投資資金を擁するPE(プライベートエクイティ)を含むプライベートキャピタルからのものだと予想しています。