3 分 2020年5月6日
株価ボードの前で株価指数を見て反応を示す投資家

目の前の危機に対応しつつ、次、さらにその先を予測し備えるメディア・エンターテインメント(M&E)企業

執筆者

Will Fisher

EY Global Transactions Media & Entertainment Leader

Transaction leader in media and entertainment. Passionate about helping clients formulate and execute successful inorganic strategies.

3 分 2020年5月6日

メディア・エンターテインメント(M&E)企業は、業績の好調・不調を問わず、M&Aを当面休止して戦略的投資先が現れるのを注意深く待つことになる可能性があります。

最新のEYのグローバル・キャピタル・コンフィデンス調査(CCB:Global Capital Confidence Barometer)(PDF、英語版のみ)の結果から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による未曾有の危機のため、M&E企業経営陣の信頼感に変化が生じていることが分かりました。

M&E企業は今、世界規模のパンデミックがもたらす予想もしなかった課題を突き付けられています。運営では大規模なディスラプション(創造的破壊)が進行中であり、新型コロナウイルス感染症危機が続く限り、業績不振も続くでしょう。広告、コンテンツ制作をはじめ、多くの観客を集めるようなイベントに関わるビジネスが受けている影響は他とは比べ物にならないほど深刻で、それが業界全体に波及しています。

とはいえ、業界のサブセクター全てが一様に影響を受けているわけではありません。ストリーミングメディアとビデオゲームは利用が急増しています。多チャンネル有料放送事業者のブロードバンド放送が消費者や在宅勤務者にとってかつてないほど不可欠な存在になっているのに加え、データ・情報サービス事業者の固定収益を得られるビジネスモデルも、少なくともパンデミックの初期段階ではレジリエンスを発揮しています。

あらゆるタイプのM&E企業が、今後に備えて対策を講じながら、目の前の緊急課題に対処しているところです。

「現在」への対処

M&E企業経営陣は成長見通しを再検討

今回の調査は新型コロナウイルス感染症の拡大が広く明らかになる前の2月に開始したため、早い段階の回答は非常に楽観的なものでしたが、2月19日にS&P500指数が過去最高値を更新して以降、見通しは一気に暗転しました。今後の世界経済の展望について尋ねたところ、マクロ経済に否定的な見通しを示したM&E企業経営陣の割合は、2月19日以降の回答者では41%に上ったのに対し、今回の調査の早い段階ではわずか9%、2019年10月には12%でした。

新型コロナウイルス感染症危機については、M& E企業では82%が世界経済に深刻な影響が及ぶと見ており、回答者全体の73%を上回っています。企業収益、短期的な市場の安定、与信力、株価に肯定的な見通しを示すM&E企業の回答者は全体の3分の1にとどまり、昨年同時期には4分の3以上であったのに比べると、回答者の市場に対する信頼感が著しく低下していることが分かります。

M&E企業経営陣は、新型コロナウイルス感染症対策の一環として業務を再構築

異例の事態を迎え、多くの企業が対策を取る態勢を整えることができずにいます。今回のパンデミックで、企業のサプライチェーンと労働慣行の脆弱性が露呈しました。M&E企業経営陣のほとんどが、デジタルトランスフォーメーション、自動化、人材管理、サプライチェーンのレジリエンスに対するアプローチの見直し、または修正を図っています。

M&A調査の結果から、M&Eセクターがサプライチェーン、自動化、デジタルトランスフォーメーション、人材管理に対するアプローチを修正していることが判明

回答者全体の89%が新型コロナウイルス感染症の流行で、自社の収益性と利益率に影響が出ると述べ、そのうち39%が深刻な影響になると見ています。そのため、中・長期的な成功の鍵を握る要素である次世代の製品とサービスへの再投資に回せる資金額が制限を受ける恐れがあります。

「次へ、さらにその先へ」への転向

今は、現在起きていることへの対応が最大の関心事である企業がほとんどです。しかし、世界的な金融危機で得た教訓から明らかなように、市場が回復したら、成長を加速させることのできる優れた資産を取得するチャンスが到来する可能性があります。

M&A市場に対する期待感は縮小しているものの…

2月19日以降に調査を実施したうちの約半数(49%)が、今後1年間にM&Aを積極的に推し進めると回答し、2019年10月の59%を下回りました。急速に変化する状況と、今回の調査終了後に行動制限が厳しくなったことを踏まえると、M&A取引意欲は当時よりさらに低下している可能性が高いと考えられます。

…取引が完全に停止することはない見通し

回答者の4分の1が、現在の状況を市場シェア獲得のチャンスととらえ、48%がバリュエーションは下がり、それが戦略的投資に参入する魅力を高める可能性があるとみています。また回答者の27%が取引の評価に際して対象企業のビジネスレジリエンスを今まで以上に重視する方針であることから、M&A取引で実施されるデューデリジェンスは今後、厳格化されることになるでしょう。

したがって、新型コロナウイルス感染症による当面の影響への対応が最優先課題とはいえ、次に備えて計画を立て、さらにその先について考えることが経営陣には求められています。

サマリー

EYのグローバル・キャピタル・コンフィデンス調査(CCB: Global Capital Confidence Barometer)(PDF、英語版のみ)は、経済見通しに対する企業の信頼感を評価し、キャピタルアジェンダ(資本課題)の管理方法における取締役会の傾向と取り組みを明確にします。

この記事について

執筆者

Will Fisher

EY Global Transactions Media & Entertainment Leader

Transaction leader in media and entertainment. Passionate about helping clients formulate and execute successful inorganic strategies.