M&E企業の経営陣は変化を促す要因に注目する
M&E企業は、新たな市場の実態に即して意義のある変化をもたらす上で、利益率や、最終的にはキャッシュフローの改善につながる要因に注目しています。多くのM&E企業は、直販モデルの戦略に向かって舵を切るにあたり、顧客対応の多く(アカウントの有効化、取引、顧客サービスなど)を完全なデジタルプラットフォームに移行しています。
フロント業務と同様にバックオフィスでも、M&E企業はテクノロジーの活用と自動化によって高コスト労務の移転や配置転換を行い、拡張性を高めています。さらに、戦略的な見直しによって顕在化した、本業以外の資産や不採算資産の売却についても前向きに検討しています。
M&E企業の変革を促すきっかけとしては、パンデミックの影響で収益が落ち込んだこと、既存の業務モデルにはレジリエンスが不足していて、予期せぬ外的ショックから受ける圧力が増大することを認識したことなどが挙げられます。パンデミックとは関係なく、適切な人材を採用し定着させるための取り組みが変革のきっかけとなり、新しい働き方、さらにはM&A活動の推進につながることを業界のリーダーは理解しています。
多くのM&E企業が最近発表した変革プロジェクトは、コスト削減や業務効率の向上といった実務上のニーズに基づいており、柔軟性の高い業務モデルとコスト基盤を作り上げることを目的としています。そうすることで、有効に活用されずにいたリソースを成長に向けた取り組みに振り向けることになります。
M&Aの対象を検討するにあたっては、テクノロジーの整合性とビジネスレジリエンスが最優先される
M&A戦略の策定を行う上でもM&E企業の経営陣はパンデミックの影響を受けています。M&E企業の経営陣の41%が今後12カ月間でM&Aを検討しますが、そのうち39%が業務能力の向上を見込んでおり、35%はボルトオン買収を模索しています。
企業回答者は、ポートフォリオの再評価とリバランスの必要性を挙げています。さらに、資産を検討する際は、対象企業のデジタル戦略とテクノロジーの整合性に焦点を絞り、ビジネスレジリエンスを徹底的に検討していると回答しています。
トランザクションの評価も資本市場の動向に影響を受けており、取引の交渉を一層困難にしています。M&E企業の経営陣のうち約4分の3(72%)は、多くのプライベートエクイティ(PE)の手元資金が記録的な水準にあることから、PEによる競争の激化を予想しています。