2021年4月27日
DXによる新たなビジネスモデル創造の成功要因とは

DXによる新たなビジネスモデル創造の成功要因とは

ビジネストランスフォーメーションとコーポレート部門の役割
第5回:「DXの加速による、新しいビジネスモデルの創造」(2021年3月16日開催)

EY Japanで企画してきたデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」)を通してビジネスの変革を起こすというテーマを掘り下げるWebinarシリーズの最終回となる第5回は「DXの加速による、新しいビジネスモデルの創造」と題するもので、3月16日に開催されました。企業がDXを推進するためには、既存のビジネスプロセスをデジタル化したり、特定のソリューションを導入したりするだけでは不十分です。自社のビジネスモデルや組織のあり方を根底から見直し、過去の成功体験にとらわれることなく変革を進めなければなりません。

「クライアントの皆さまがDXを実行する際に、私たちは経営課題に寄り添い、解決に向けて共に取り組みます。DXがビジネスモデルと組織、プロセス、そして「人財」の変革につながることを目指し、そのプロセスである「Journey(ジャーニー)」に、われわれのプロフェッション(専門職)としての強みを活かせるよう、共に歩んでいきます」と今回のWebinar全体の司会・ナビゲーターを務めるEY Japanのシニア・パートナーの田村晃一は述べ、今回のWebinarを開会しました。

EY Japan
シニア・パートナー
田村 晃一

「今日はコニカミノルタ株式会社(以下「コニカミノルタ」)常務執行役 CIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)/CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)で、DX改革・DXブランド推進を統括する市村雄二氏と、住友商事株式会社(以下「住友商事」)代表取締役 副社長執行役員 メディア・デジタル事業部門長 CDO(最高デジタル責任者)の南部智一氏にお越しいただきました。コニカミノルタは従来のフォト・カメラ事業から大胆にビジネスモデルを変革し、既存のレガシーとITサービスを掛け合わせた『ハイブリッドアプローチ』で事業領域を拡大しています。そこで市村さんに『製造業からのDX(逆襲)』と題して、デジタル技術とデータを活用し、製造業としてのDXの成功要因について、ビジネスモデル・企業文化・人材育成などさまざまな観点からお話しいただきます。また、住友商事の中期経営計画では『次世代新規ビジネスの創出』を掲げてDXを加速させており、総合商社で唯一となる『DX銘柄2020』に選ばれました。総合商社ビジネスにおけるDXの意義、2018年に創設した『DXセンター』の役割とこれまでの歩み、そして新しいビジネスモデルの推進について、『現場起点DXによるコーポレートトランスフォーメーションの実現へ』と題して、南部さんにご講演いただきます」と、田村はお招きしたゲストスピーカーであるコニカミノルタの市村氏と住友商事の南部氏を紹介し、それぞれの企業が全社で取り組むDXの難しさと、克服しなければならない課題と挑戦ついて紹介しました。

両社とも日本を代表する「DX推進企業」であり、戦略的なIT活用に取り組む企業を選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020」にも選ばれました。講演終了後のトークセッションでは、「DXによるビジネスモデル変革の成功要因」について、DXに取り組んでいる企業の担当者からさまざまな質問が寄せられました。

ゲストスピーカーの講演を始めるにあたり、EY JapanでChief Innovation Officerを務める松永達也は「DXは、『デジタル』にフォーカスするよりも、『トランスフォーメーション』に注力することが大切です。デジタル技術の活用を大前提に企業全体をトランスフォームし、新たな社会的価値を見いだしていく姿勢が必要です」と語りました。

EY Japan
Chief Innovation Officer
松永 達也

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製造業からのDX(逆襲)――― コニカミノルタ

コロナ禍のような変曲点は、脅威でも機会でもあります。

コニカミノルタ株式会社
常務執行役 DX改革、DXブランド推進、渉外担当
市村 雄二 氏

現状をどのように活かしていくかを考える意味においても、DXは欠かせないのです――。

こう訴えるのはコニカミノルタの常務執行役でDX改革、DXブランド推進、渉外担当を務める市村雄二氏です。

製造業の中でもDX推進を成功させた企業として知られるコニカミノルタ。基調講演の「製造業からのDX(逆襲)」というタイトルは、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業のDXに引けを取らない同社の取り組みを、大手メディアの編集長が評した言葉だと言います。

2003年に「コニカ」と「ミノルタ」の経営統合によって発足したコニカミノルタは、世界約150カ国でビジネスを展開するグローバル企業です。170社の連結子会社と約4万4000人の従業員を擁し、顧客数は200万社に上ります(2020年3月31日現在)。2019年度の売上高は9961億円に達しました。

同社は2006年に写真・カメラ事業から撤退し、ビジネスモデルの変革を断行しています。これまで培ってきた光学系技術などとITサービスを掛け合わせた「ハイブリッドアプローチ」で、事業領域を拡大しました。とはいえ、その道のりは決して平たんではなかったと市村氏は語ります。

「写真・カメラ事業から撤退を決めた当時、同事業の売上は約2700億円ありました。それがゼロになる。ですから、ビジネスモデルと事業ポートフォリオを見直してイノベーション戦略を立案し、確実に実行する必要がありました」(市村氏)

こうした歴史から、同社には変化をチャンスと捉える企業風土が培われていると言います。コニカミノルタではDXを「デジタルテクノロジーおよびデジタルビジネスモデルを使う事による、コニカミノルタグループの業績改善のための組織およびプロセス変革」と定義しており、これを基にそれぞれの地域や事業で具体的な施策を展開する方式を採用しています。

「DX推進の目的はデジタル技術を使い倒し、継続的に業績を改善することです。この時に重要なのは、従来のルールや考え方を当たり前にしないこと。これを全社レベルで徹底し、改革のマインドを組織に定着させることが大切です」(同氏)

コニカミノルタはDXの初期段階で、ビジネスモデルを「モノ売り」から、モノを利用して得られる「コト(体験価値)の提供」へとシフトさせました。具体的にはオフィスで利用する複合機を「製品販売モデル」から「従量課金モデル」へ変更。そして、複合機の使用状況を分析することで顧客の課題を細部まで解明し、効率的なITインフラの構築やインテグレーション、さらに業務フローの改善までを提案するといった、コンサルティングも包含したビジネスモデルを確立したのです。

「デジタルの力で意思決定のサイクルを短縮し、データに基づく先読みの精度を向上させる。そのうえで、顧客ごとに最適化されたソリューションを提案できる体制にしました」(同氏)

コニカミノルタは「顧客を中心としたDX支援」を実現すべく、世界5拠点(北米/欧州/アジア・パシフィック/中国/日本)に「Business Innovation Center(以下「BIC」)」を設立しました。BICはイノベーション人財の育成などに取り組む専門組織で、顧客ビジネスのイノベーション支援をミッションに掲げています。市村氏はBICを鎖国時代に唯一の交易拠点として築かれた「出島」になぞらえ、「先進的な取り組みを積極的に実施し、会社全体を変革するハブの役割を果たす機関」であると説明します。

当初、BICの全メンバーは、コニカミノルタ社員以外の人員で構成されていました。その背景には、製造業に陥りがちな自前主義から脱却し、社内外の人材と幅広く連携してリソースを獲得したいという思いがあったと言います。「イノベーションで大切なのは、異なる方法論や企業・ビジネス文化を理解し、人財を強化することです。今後も辺境からさまざまなイノベーションが発生することは間違いありません。そうした状況では多用なタレント(才能)を持った人材の活躍が不可欠なのです」(同氏)

イノベーションマネジメントの心得は「Fail Fast/Start Small/Grow Fast(早期に失敗し/小さく始めて/速く成長させる)」ことであると説きます。新規事業を「自分ごと」として考え、失敗するなら早く失敗して、そこから学びを得て次の事業に活かすのです。市村氏は、新規事業で社員に要求する3つのポイントとして「Social Value/Sustainability/Scalability(社会的意義/差別化要因/ビジネスの規模)」を挙げ、その理由を以下のように説明します。

「新規ビジネスを考案する際に重要なのは、正しい問題定義です。『何を解決するのか』を明確にしなければ、解決力に長(た)けていても(新規ビジネスの)社会的な意義は見いだせません。そのうえで、他社との差別化要因はあるのか、持続的可能なビジネスなのかを見極めることが大切です。さらに、ビジネス規模も考えなくてはいけません。『コニカミノルタの新規ビジネス』になるのですから、(一定以上の)ビジネス規模を見据えたシナリオを考案することが不可欠です」(同氏)

重要なのは、起業家精神を持ち、失敗を恐れずにスピード感を持って自分でやってみること。BICでは常時100件前後のプロジェクトが稼働しており、その成果は如実に表れているとのことです。

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現場起点DXによるコーポレートトランスフォーメーションの実現へ――住友商事

続いて登壇した住友商事 代表取締役 副社長執行役員 CDO メディア・デジタル事業部門長を務める南部智一氏は、「現場起点DXによるコーポレートトランスフォーメーションの実現へ」と題し、2018年4月に新設した「DXセンター」の取り組みを中心に、デジタルを活用した構造改革について講演しました。


住友商事株式会社
代表取締役 副社長執行役員 CDO メディア・デジタル事業部門長
南部 智一 氏

住友商事は、「金属」「輸送機・建機」「インフラ」「メディア・デジタル」「生活・不動産」「資源・化学品」の6つの産業分野で、グローバルにビジネスを展開する総合商社です。連結対象会社は957社に上り、社員は連結ベースで約7万2600人を擁します。

住友商事は2018年4月に発表した「中期経営計画2020」で、「テクノロジー×イノベーション」「ヘルスケア」「社会インフラ」を成長分野と位置づけ、3年で3000億円程度の資金を投下する計画を打ち出しました。中でもテクノロジー×イノベーションは「第四次産業革命領域」として、積極的に取り組む方針です。その一環として新設したのが、DX推進の専門横串組織である「DXセンター」です。

南部氏はDXセンター設立に至った背景を、「(デジタル技術の台頭によって)何かにディスラプト(破壊)されるのではなく、われわれが(デジタル技術の)コアになる可能性と価値を活かすよう、技術革新と急速な社会のデジタル化に対応したビジネスモデルを推進するためです」と説明します。

DX推進で住友商事が徹底しているのは、「現場の課題を起点にすること」です。「われわれの強みは現場に寄り添い、一緒になって課題を解決する力を持っていることです。そこにデジタルの力を掛け合わせ、課題解決だけでなく新規ビジネスモデルの創出までを支援する。そうしたDXを推進することが必要だと考えました」(同氏)

DXセンターには「営業部門から顧客の課題を知り尽くした現場の人材」「スタートアップや最新技術を使ったデジタル技術に精通している有識者」そして「大手システムインテグレータであるSCSK」が参画しています。異なる3分野の人材を一カ所に集め、それぞれの専門性を活かしながら課題解決とビジネスの創案を行うのです。

ただし、こうした取り組みは、“外枠”を構築するだけでは機能しません。DXの取り組みを社内に浸透させるためには、地道な活動が必要です。南部氏は社内啓発のため、国内外18拠点に出向いて直接説明・対話をしたり、全業務部長・全本部長と個別に定期的な打ち合わせをしたり、社内SNSで対話をしたりして社内モメンタムの醸成を心がけたと言います。

また、人事制度改革にも着手し、2019年4月からは課長級以上の帰属を廃止しました。一般的に商社の人事制度は、最初に配属された産業(部門)でスペシャリストとして育成する方式ですが、そうした慣習を撤廃したのです。その理由は「帰属部門・本部にとらわれない戦略的で機動的な人材配置を実現すると同時に、部門ごとの縦割り意識を払拭し、産業を超えたビジネスを創出するため」(同氏)だと言います。なお、2021年4月からは成果と仕事内容に応じた処遇・報酬体系を導入し、年功序列からの脱却も図る計画です。

さらに、2019年7月にはDX技術専門会社の「Insight Edge」も設立しました。DX実現に不可欠なアジャイル開発・データ分析・AIモデル開発を内製エンジニア組織で対応できるようにすることが目的です。現在はDX技術に精通した専門家20人を擁し、各事案に対して迅速に対応できる体制を目指していると言います。

住友商事ではDXを「DX1.0(Improve)」「DX2.0(Innovate)」「DX3.0(Re-invent)」の3フェーズに分け、取り組みを進化させています。DX1.0では対象となるビジネスを改善し、DX2.0で改善したビジネスが軌道に乗ったところで新たな付加価値を付けて革新します。そのうえで、DX3.0として既存のビジネスモデルにとらわれない新規ビジネスとして生まれ変わらせるのです。講演ではその取り組み事例として、駐車場ビジネスのDXが紹介されました。

同社は2019年、北欧のパーキング会社を買収し、DXに取り組んでいます。具体的には、DX1.0でダイナミックプライシングを導入して収益力を向上させ、DX2.0でEV(電気自動車)のリースを開始してモビリティサービスを拡充します。そして、DX3.0でそれぞれの駐車場を連携させ、各駐車場を「デリバリーポイント」として社会実装するのです。

最後に南部氏は「今後はこうした新しいビジネスモデルの取り組みを957社の事業会社に水平展開し、1つのプラットフォームとして個別事業から業界全体に発展させていきたいと考えています」とその展望を語り、講演を締めくくりました。

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DX成功の近道は、失敗を許容する文化を醸成すること

基調講演に続いて行われたトークセッションでは、市村氏、南部氏、松永、田村に加え、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 テクノロジーコンサルティング パートナーの山川美佐代が参加し、「DXによるビジネスモデル変革の成功要因」をテーマに、参加者からの質問に答えました。

田村は、市村氏と南部氏の講演について「大規模組織では(組織横断的な)横串で連携することは難しいと言われています。その中で、日本を代表する2社が人事制度や組織の変革に取り組みながら新たなビジネスモデルを創造して事業化していくプロセスは、多くの企業にとって大変参考になるはずです。まさにDXを通してビジネストランスフォーメーション(BX)を起こすのですが、それは実はテクノロジーの話ではなく、「人財」の変革を意味するという事が特に印象的でした」と所感を述べました。

基調講演で両氏が特に強調したのは、「DXは従業員の意識改革が重要である」という点です。これについて山川は「役員の意識改革と、全年齢層にDXが受け入れられるようにするためには何が必要か」をたずねました。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
テクノロジーコンサルティング パートナー
山川 美佐代

市村氏は「全従業員がDXを『自分ごと』として捉えられるよう、DXの成功事例を共有したり、デジタル化を進めて業務や働き方を改善した案件などを紹介したりするなど、積極的に情報発信をすることです」と説明します。

南部氏も「意識改革は総合的な取り組みが大切です。1つの要因で変わるものではありません」と指摘します。例えば、経営会議で事案が上がるたびにDXの観点から話をしたり、毎週実施する定例会でも必ずDXを題材にしたりするなど、「地道かつ粘り強く」(同氏)浸透させていくことが大切だと説きます。

さらに重要なのがトップのコミットメントです。南部氏は「DXにはそれなりの時間とコスト、そして人材が必要です。トップがコミットメントすることで、(DXの)成功体験がない管理職が抵抗勢力にならないようにしなければなりません」と語ります。

これに対し、顧客のDX推進を支援している山川は「経営層はDXに積極的でも、その意識が管理層に浸透していないケースも多いです。その場合には現場に足を運び、地道に説明するなど『地に足のついたDX』が大切だと痛感しました」と、感想を述べました。

また、山川はDXの推進には、既存の枠組みにとらわれない発想や事業を展開する必要があることを指摘し「そのための目標設定や取り組みの優先順位の決め方はどのようにすればよいか」と質問しました。

市村氏は「『従来の組織やプロセスは変えてよい』ことを全員が理解することです」とし、コニカミノルタの取り組みを以下のように説明しました。

「われわれは、(企業内の)部門横断的に取り組むプロジェクトを意図的に立ち上げてチームを結成し、チーム内での活動を通じてDXプロジェクトを経験するようにしました。DXプロジェクトは従来のIT開発プロジェクトのように、(開発の)ゴールを達成すれば終わりではありません。継続的にデータを収集・分析し、改善を重ねて業務に活かすのです。ですから、チーム内で改善プロセスが動き出せば、そのあとは自律的に(改善が)進んでいきます。そうした動きを会社組織としてバックアップしていくことが大切です」(同氏)

一方、南部氏も「ダイバーシティ&インクルージョンの発想で、意識的に社内文化を調整すること。外部が持つ知見を多く取り入れる姿勢が重要です」と指摘しました。

松永は「多くの企業にとって社内の意識改革は喫緊の課題である反面、日本の製造業では『自前主義』が根強く、外部との協業に抵抗感を持つケースも少なくありません」と現状を説明した上で、「自社技術にプライドを持つ技術者の意識を、どのように変えていったのでしょうか」と質問しました。

市村氏は「自前主義が完全に悪いわけではありません。プライドを持って仕事をするマインドは大切です」とした上で、「製品を作ることと同時に、『製品を通じて提供されるサービスや顧客体験で価値を出す』という新たなビジネスモデルの重要性を理解してもらうことが大切です」と説きました。

グローバルのM&A、総合商社とプライベート・エクイティ(PE)ファンド業界に従事している田村は、南部氏が講演の中で新しいビジネスモデルの一例として触れた欧州における駐車場ビジネスの買収が、DX1.0から、DX2.0そして、DX3.0と変革してフューチャー・オブ・モビリティーとフューチャーシティーのビジネスモデルにつながる事例について、「住友商事のこの買収案件の売り手は世界大手のPEファンドであり、PEファンド業界の大きな影響力を考えると、今後の変革においてPEファンド業界とのコラボレーションの機会が増加すると考えていますか?」と南部氏と市村氏に質問しました。

南部氏は「全て自社で完結するわけではなく、いろいろなエコシステムを考えていく時に協業するビジネスパートナーとしてPEファンド業界を捉えている。ビジネス機会を検討する際にその都度適切な相手を考えていかなければならず、その対象の一つであることは間違いない」と述べます。

市村氏は「PEファンド業界は、新しいビジネスモデルを検討したり、既存ビジネスの変革をしたりしなければならない場合に、共にビジネスモデルを考えるとても刺激的なビジネスパートナーとなり得ます。個人的には長期にわたり米国シリコンバレーでビジネスをしていた際に初めてPEやVC(ベンチャーキャピタル)の方々と多くの接点を持つ機会があり、とても多くの刺激を受けており、現在従事しているDXやビジネスの変革を実行する際にPEファンド業界を巻き込むことはその都度適材適所で考えていかなければならないと考えています」とシリコンバレーにおける経験を振り返りながら語りました。

また、山川が「失敗のリカバリーと克服方法の極意」をたずねたところ、市村氏は「失敗なくして成長なし。失敗しないで事業開発ができることはありえないです」と即答し、以下のように力説しました。

「例えば、BICの中で失敗したプロジェクトがあっても、そのメンバーの査定をマイナスにすることはしません。その理由は、『失敗を情報として共有し、その経験値を組織の知識として活用できる』からです。失敗を許容する文化を醸成すること。むしろ大きな失敗をした人のほうが、その次のプロジェクトで活躍してくれるのです」(同氏)。

シリーズ最終回の「DXの加速による、新しいビジネスモデルの創造」の本企画。最後に田村は、「どのようなビジネスでも社会においても、DXを目的にDXが行われるわけではありません。DXとBXの変革は幸せをもたらしていますか? と自問することは有益であるといえるでしょう。DXを起点にした“Journey”は、最終的に人々の幸せを目指すものです。EYはこれからもビジネスモデルや組織・「人財」改革、企業の存在意義(Purpose、パーパス)を再定義するといった、クライアントの皆さまの長期的な価値につながる変革の“Journey”に寄り添っていくプロフェッショナルサービスファームであり続けるよう務めてまいります」と語り、総括しました。

サマリー

EY Japanで企画してきたDXを通してビジネスの変革を起こすというテーマを掘り下げるWebinarシリーズの最終回となる第5回は、コニカミノルタ市村氏と住友商事南部氏をゲストにお迎えし、「DX銘柄2020」にも選ばれた両社の「DXによるビジネスモデル変革の成功要因」についてお話しいただきました。

この記事について

執筆者 EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社

複合的サービスを提供するプロフェッショナル・サービス・ファーム

EY Strategy and Consulting Co., Ltd.