日本のみならず全世界においても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者数増加に歯止めがかかっておらず、収束まで数年を要するとの見通しも出ています。一度は感染拡大が抑えられたかに見えても再度ロックダウンを実施する国もあり、今後も新型コロナウイルス感染症の脅威が続くことを前提に、法規制、経済活動、社会活動、テクノロジーの観点から施策を検討していく必要があります。
新型コロナウイルス感染症の流行期には、感染拡大防止への取り組みとして「政府による規制やルールの弾力的運用や緩和」、「適切な経済活動の継続」、「パンデミック・医療崩壊の防止」、「感染拡大防止に向けたテクノロジーの活用」が実施されました。
こうした感染拡大防止への取り組みを踏まえ、今後のヘルスケア業界では「1. 規制当局との手続きのペーパーレス化の進展」、「2. ITを駆使した行動トレース・健康状態管理」、「3. ヘルスケアプレイヤー間の連携促進」、「4. オンライン診療の進展」のトレンドが進んでいくと考えられます。
EYでは、新たに生じたこれらヘルスケア業界のトレンドに対し、ライフサイエンス企業が実施するべき4つのアクションを次のように特定しました。
- 規制当局手続きのオンライン化状況に応じ迅速に適応
規制当局との手続きのオンライン化に関するロードマップを踏まえた上で、企業オペレーションを段階的に変革していくことが求められます
- ITを活用した企業主導による従業員の健康管理や行動のトレース
オフィスに出社する従業員または製造・物流などオフラインでの業務に従事する従業員の安全確保と、感染による損失回避のために、ITを活用した継続的な従業員の行動管理と健康管理を、企業主導で実施することが求められます
- 医療ビッグデータを活用したバリューチェーンの付加価値向上
医療データを活用し、バリューチェーンを通じた業務の高度化/効率化への取り組みを推進していくことが求められます
- 医療機関との業務のオンライン化推進
対面での訪問が制限される中で、従来は医療機関で行われていた臨床試験や情報提供といった業務のオンライン化を推進することが求められます