6 分 2021年4月29日

            アイルランドでバンドウイルカと泳ぐフリーダイバーの女性

信頼できるデータをいかにして企業の利益につなげるか

執筆者
Kris Lovejoy

EY Global Consulting Cybersecurity Leader

Cybersecurity guru. Married mother of four. Enjoys diving, hiking and refinishing furniture. Lives in McLean, VA.

Tony DeBos

EY Global & EMEIA Data Protection and Privacy Leader; EY EMEIA Financial Services ServiceNow Alliance Leader

Strong sense of team orientation and innovative vision. Entrepreneur and forward-thinker. Team builder. Sports lover. Husband and father of three.

6 分 2021年4月29日

顧客が企業を信頼すれば、予想以上の成果を得られるかもしれません。今日、信頼できるデータを収益に結び付けるにはどのような方法があるのでしょうか。

要点
  • EYの調査によると、顧客は企業を信用して自分の個人情報を委ねており、企業側はそれに対して適切な対応を行う必要がある。
  • 少なくとも42%の顧客が、顧客関係を築くために必要以上のデータを収集する企業は信用を失うことになると述べている。

データプライバシーの話題でよく耳にするのは、不適切なデータの取り扱いに関するものです。最近発生した大規模なデータ侵害、個人情報の不正売買、規制当局が数百万ドルの罰金を科した最新の事例などが挙げられます。しかし、データレイクの半分が埋まった場合には何が起きるでしょうか。顧客が企業を信用して自分の個人情報を委ねる場合、どのようなチャンスが生まれるでしょうか。そして企業はどうすれば顧客の信用を収益化し、持続的な競争優位性を生み出せるのでしょうか?

信頼の価値

EYの調査では、顧客は企業を信⽤して自身に関するデータを預けたがっていることが分かりました。つまりそれは、企業側はその期待に対して適切に対応する必要がある、ということになります。

            個人情報の提供

EY Global Consumer Privacy Survey 2020によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、データ共有に対する顧客の意欲が高まっています。

コロナ禍以降、すべての成人年齢層の50%が、個人情報の共有を積極的に支持するようになりました。この個人情報には、健康・財務状況・資産・私生活に関する機密性の高いデータも含まれます。

顧客の信頼が得られればデータの関係性も変わる — 制約がチャンスに、懸念が信頼へ
 

しかし、データを積極的に共有するには条件があります。EYの調査で、企業が消費者の信頼を失いかねない非常に具体的な状況が見えてきました。

回答者の過半数(54%)は、企業が同意なしに第三者と情報を共有した場合、信頼関係の侵害にあたると回答しています。

消費者は、個人情報を自分で管理しているという実感が欲しい

回答者の半数弱(47%)は、重大なデータ侵害は企業の信用失墜につながると回答しています。

            データの管理
消費者は、自分のデータが安全であるという保証を求めている

そして、消費者の42%が、継続的な顧客関係を築くために必要以上のデータを収集する企業は信用を失うと述べています。

消費者は、ウェブサイト上で必要以上にデータを公開することには否定的

しかし、企業が顧客の信用を得て良好な顧客関係を築き、それによって新たな収益源が生まれたケースも見られます。

多くのグローバル企業は、欧州連合(EU)で適用された一般データ保護規則(GDPR)に準拠するための課題に取り組んでいます。現在では、100を超える国、州、都市がそれぞれ独自の「ローカルGDPR」を施行しています。それは、規制とコンプライアンスに世界的な混乱を招くでしょう。データのコンプライアンスと完全性は、もはや選択適用できるものではなく、急速に法令化の方向に進んでいます。

多くのグローバル企業は、欧州連合(EU)で適用された一般データ保護規則(GDPR)に準拠するための課題に取り組んでいます。現在では、100を超える国、州、都市がそれぞれ独自の「ローカルGDPR」を施行しています。それは、規制とコンプライアンスに世界的な混乱を招くでしょう。データのコンプライアンスと完全性は、もはや選択適用できるものではなく、急速に法令化の方向に進んでいます。

EYは、How to prepare for global data compliance の記事で、新たなデータプライバシー規制がグローバル企業にとって何を意味するのか、具体的に言うと、コストの増加とコンプライアンスリスクの上昇について、検証しています。

 

信頼という優位性 — 信頼できるデータに基づく関係を収益につなげる

ここでは、顧客からの信頼が厚い企業が、顧客との信頼関係を収益に結びつけた4つの事例を挙げています。

1. 最上のパーソナライズ

信頼できるデータに基づく関係は、カスタマイズされたウェブページよりも効果的です。あるグローバルに展開する家具の⼩売企業は、年間カタログ冊⼦とデジタルカタログ上に画像認識と拡張現実(AR)を取り⼊れたところ、顧客は、そこに⾃分の好み、購⼊履歴、⾃宅の画像などの⾮常に個⼈的な情報を提供しました。

顧客はこのデータに基づき、モバイル端末でカタログをスキャンすることで、仮想的に商品を⾃宅に置いてみることができ、デジタルで再現された住居のスタイル、⾊、サイズなどを確認できます。この⽅法によって、カタログ読者は⼗分に情報を得た上で購⼊できるようになり、顧客満⾜度の向上や返品の削減につながりました。何より、顧客を喜ばせることができました。

2. 製品とサービスのエコシステムの創造

農業機械の⼤⼿企業は、テクノロジーを活⽤している農家向けにプラットフォームを構築しました。このプラットフォームは、オプトインの承諾にのっとって集めた、使⽤した機械、作物の選択、植え付け⽇と収穫⽇などの情報をはじめ、さまざまな種⼦、肥料、農薬の使⽤に関する⽣産者データを含むものでした。これに、気象条件、輸送コスト、商品市場価格などの外部データ、さらには農業機械の使⽤やメンテナンスの情報などの内部データが組み合わされました。

同社は、承諾を得たデータに基づき、資⾦調達源、商品バイヤー、種⼦・農薬・肥料⽣産者のエコシステムを構築し、「メンバー」に低コストの製品とサービスを提供しました。信頼できるエコシステムによって、同社のトラクター、コンバインなどの販売台数も増加しました。

3. まったく新しいデータドリブン企業の創出

ビル設備を製造するあるグローバル企業は、⻑らくオフィスビルや⼯場向けの屋上換気システムを販売する業界のトップ企業でした。同社は、こうした設備のユニットをデジタル化し、顧客のエネルギー消費量と⽇ごとの使⽤パターンに関するリアルタイムのデータフィードを作成しました。顧客から信頼されているこの企業は、顧客の了承を得た上で、ユーザーとエネルギー使⽤に関するデータを、卸電力市場のピークプライシングに融合させました。

その結果、まったく新しいデジタルビジネスが⽣まれました。同社はエネルギー管理部⾨を⽴ち上げ、承認を得た上で顧客に代わってエネルギーを売買し、そこで節約できた分が企業の収益になりました。そのビジネスはさらに設備ユニットの販売数の増加をもたらし、それまでコモディティ市場であったところに「絆の強い」信頼関係が⽣まれました。

4. 公共の利益のための信頼できるデータ

コロナ禍の収束も、感染パターンの追跡、接触者追跡、ワクチン接種率とその有効性の確認など、データに左右されます。こうした分析は、健康診断や個⼈的な関係を含む、最もセンシティブな個⼈情報の開⽰に依存しています。

EYが近ごろ実施した調査について記した Has lockdown made consumers more open to privacy? では、公共の利益のために消費者が⾃分の個⼈情報を提供する意思があることが分かりました。世界各地の消費者1,900⼈以上を対象としたある調査では、50%が「新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、個⼈情報の共有について前向きに考えるようになった。それが研究活動や地域のウエルネスに貢献するのであれば特にそう思う」と回答しています。実際に、こうした他の⼈を思いやる気持ちがなければ、パンデミックがどう収束するか予測することは困難でしょう。

結論

専⾨家の多くが、競争優位性を左右する新たな源泉になるのはデータだと述べています。しかし、顧客が企業による個⼈情報の使⽤を承諾しない場合、企業にはどのような優位性があるのでしょうか︖

収集した情報の透明性を担保し、個⼈情報のコントロールを顧客に預け、それに⾒合った公正な価値を提供できる企業 は、顧客の信頼を集め、今後も幅広く顧客を獲得できるでしょう。個⼈情報の使⽤⽅法を開⽰せず、それに⾒合う価値を提供できない企業は顧客の信頼を失い、ビジネスを維持することもできません。信頼されるデータを管理する信頼される企業には、未来が約束されています。


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EY Japan Digital Trustチーム

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サマリー

情報の透明性を企業が担保できる場合、消費者は積極的にデータを共有することが分かっています。一度顧客の信用を得られれば、そこから収益を生み出し、それを足掛かりに別の利益を追求することも可能となることでしょう。

この記事について

執筆者
Kris Lovejoy

EY Global Consulting Cybersecurity Leader

Cybersecurity guru. Married mother of four. Enjoys diving, hiking and refinishing furniture. Lives in McLean, VA.

Tony DeBos

EY Global & EMEIA Data Protection and Privacy Leader; EY EMEIA Financial Services ServiceNow Alliance Leader

Strong sense of team orientation and innovative vision. Entrepreneur and forward-thinker. Team builder. Sports lover. Husband and father of three.