平成27年度税制改正による税効果会計への影響

2015年2月2日
カテゴリー 太田達也の視点

公認会計士 太田 達也

平成27年度税制改正による税率の改正

平成27年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税率の引下げおよび事業税率(所得割)の段階的な引下げが見込まれています。「平成27年度税制改正大綱」(以下、「大綱」といいます)に盛り込まれましたが、その改正内容を反映した税制改正法案が国会で成立し、平成27年3月31日までに公布された場合は、平成27年3月期決算における税効果会計の法定実効税率に反映しなければならない点に留意する必要があります。

大綱に示されているとおりの内容の税制改正が行われた場合は、一時差異等の解消時期に応じて適用される法定実効税率が異なることになります。複数の法定実効税率を用いて繰延税金資産および繰延税金負債を計算する必要が生じます。

税率の改正内容(平成27年度税制改正大綱の内容から(※))

税率の改正内容(平成27年度税制改正大綱の内容から(※))

(※)記述されている税率は、あくまでも大綱ベースです。実際の改正内容をご確認のうえ、ご対応してください(以下同様)。
(注)資本金1億円超の外形標準課税適用法人の場合です

さらに、法人税率の引下げに伴う代替財源案として、繰越欠損金の控除制限(80%→65%→50%)の拡充も挙がっています。繰越欠損金に係る税効果についても、改正後の内容に基づいて繰延税金資産の回収可能性を判断することになります。

法定実効税率への影響

平成27年4月1日以後に開始する事業年度について、大綱に記載された内容の税制改正法案が平成27年3月31日までに成立のうえ公布された場合は、平成27年3月期決算において、次のように一時差異等の解消する時期によって、適用される法定実効税率が異なることになります。

以下、大綱のとおりの税制改正案が平成27年3月31日までに成立・公布されたと仮定した場合の法定実効税率を示します。なお、東京都かつ外形標準課税適用法人の場合の例については、法人事業税の超過税率の規模が現行と変わらないものと仮定しています。ただし、この点については本年2月に東京都主税局から改正案が公表される見込みですので、実際の改正内容をご確認してください。

<東京都かつ外形標準課税適用法人の場合>

(1) 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度に解消する一時差異等に乗じる法定実効税率

(1) 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度に解消する一時差異等に乗じる法定実効税率

(2) 平成28年4月1日以後に開始する事業年度以降に解消する一時差異等に乗じる法定実効税率

(2) 平成28年4月1日以後に開始する事業年度以降に解消する一時差異等に乗じる法定実効税率

<外形標準課税(標準税率)適用法人の場合>

(1) 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度に解消する一時差異等に乗じる法定実効税率

(1) 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度に解消する一時差異等に乗じる法定実効税率

(2) 平成28年4月1日以後に開始する事業年度以降に解消する一時差異等に乗じる法定実効税率

(2) 平成28年4月1日以後に開始する事業年度以降に解消する一時差異等に乗じる法定実効税率

今後、平成27年度税制改正法案の国会における(平成27年2月から3月にかけて見込まれる)審議状況に、十分ご留意してください。

当コラムの意見にわたる部分は個人的な見解であり、EY新日本有限責任監査法人の公式見解ではないことをお断り申し上げます。

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