6 分 2020年5月20日
ドローンで撮影されたリグーリア(イタリア)の防波ブロック

エンタープライズ・レジリエンス:今後を見直して再構築する上で重点を置くべき9つの分野

執筆者
Tonny Dekker

Global Client Service Partner | EMEIA Risk Advisory Leader

Excited to serve as a Global Client Service Partner working to transform the businesses of our big Global Clients. Straight-talker with a big heart.

Cindy Doe

EY Americas Advisory Risk Leader

Seasoned financial services professional. Resides in Massachusetts with her husband and three children.

6 分 2020年5月20日

EYの診断ツールを利用することで、危機管理、事業の立て直し・再構築に向けて体系的なアプローチが可能になります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して社会は迅速で責任ある対応をとってきました。感染拡大のスピードは抑えられていますが、これは社会的距離(ソーシャルディスタンス)措置と政府の支援による一時帰休制度が効果を発揮したためだと見られています。

一方、各国政府が徐々にロックダウンを緩和する中、ビジネスリーダーは、次の段階を視野に入れた上で、パンデミック後の社会に組織を適応させるにはどうすればよいか考えなければなりません。具体的には、業務、意思決定、ビジネスモデル、働き方のレジリエンス構築をどのように図れば、今後のディスラプションをうまく切り抜けることができるのかということです。

そのためには、不確実で複雑な状況を乗り越えるための地図が不可欠です。現在の事業を継続するだけでなく、組織の今後を見直して再構築するために企業が取り組むべき分野は9つありますが、まず人材(従業員)に関わる課題から着手することが推奨されます。その後はどのような順番で対応しても問題ありません。

  1. 従業員の健康と幸福
  2. 人材と労働力
  3. サプライチェーンと国際貿易
  4. 顧客とコーポレートブランド
  5. 金融機関と投資家
  6. リスク
  7. 政府の政策と公共政策
  8. テクノロジーと情報セキュリティ
  9. 保険と法的紛争

COVID-19 エンタープライズ・レジリエンス・ツール

これは、自社のエンタープライズ・レジリエンスを把握し、必要なアクションを起こすための優先順位の明確化を可能とした上で、取り組むべき9つの分野を評価するための実用的なツールです。また、混乱の中での体制づくりにも役立ち、見落とされがちな側面を検討するための指針にもなります。取り組みやサポートが必要な箇所が明確になるため、リーダーが推し進める危機対策会議の一環として継続的に利用できるように設計されています。また、これを基盤として、企業戦略を転換または再構築することも可能です。

エンタープライズ・レジリエンス・ツールを利用する

このツールにより、自社が危機への備えをどの程度整えているかの評価が可能になります。ツールの利用については、EYのアカウント担当者または以下のフォームからEY Japanへお問い合わせください。

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リーダーが組織の今後を見直し、再構築を行い、これから先も続く不確実な状況の中でレジリエンスを高めるための9つの方法を紹介します。

従業員の健康と幸福

多くの企業にとって、職場や作業現場に従業員が復帰できるようにすることが現在の優先課題です。特に物理的な労働力が必要な業界は、それができなければ事業を再開することができません。そのためには、適切な労働安全衛生手順と監視体制を整備し、従業員が安心して復帰できる職場環境を確保することが不可欠です。新たに導入または強化する必要がある労働安全衛生の機能としては、従業員の検査の実施、陰性や治癒などの証明書、従業員の健康状態を積極的にチェック・管理するための追跡調査のほか、集団でのやり取りを減らすための生産能力計画と職場のレイアウト変更、清掃・消毒作業などが挙げられます。また、検査の実施、データの保存、労働安全衛生手順と介入の追跡調査、従業員の研修とコミュニケーションを担う新たなテクノロジーとパートナーも欠かせません。

従業員の通勤・帰宅中の安全を確保することは可能でしょうか? 政府と有識者のデータや指導を踏まえた上で、再開の判断基準と予定を考慮し、これらの質問に回答してからでなくては、可否の判断を下すことはできません。

現在、次、さらにその先の将来のためにどのようなアクションを起こすべきかについてはチェックリストをご覧ください

人材と労働力

従業員の健康と安全をどのように守るべきか。それを把握するには、まず、どこでどのように勤務してもらうかを決めなければなりません。オフィス勤務に戻ってもらう従業員と、在宅勤務を続けてもらう従業員をどのように線引きするのでしょうか? 需要を考慮し、どの事業の停止を継続すればよいのでしょうか? チームやシフト、日程計画のスケジュールはどうするのでしょうか? リモートワークを今後も続けていくにはどのような工夫が必要でしょうか? 適材適所のチームづくりはどのようにすればよいでしょうか? 従業員への適切なサポートにはどのようなテクノロジーが必要でしょうか?

まず行うべきなのは、出社を再開する従業員と再開しない従業員を分けるための判断と、その日程を決めることです。それには、シナリオプランニングが必要となります。例えば需要の多い商品の生産を再開する工場の場合、ライン作業員はシフトごとに配置しなければなりませんが、監督者や管理者は現場、場合によっては同じ建物内にいる必要はありません。デジタルツールを利用して作業を監督できます。長期的には、危機の際にほころびを見せたプロセスをどのように合理化・自動化するか、そして従業員のスキルアップにはどのような組織的能力が新たに必要か、あるいはどのような能力を高める必要があるかの判断が求められるでしょう。

職場の再開には、不安を抱く従業員もいるはずです。リーダーは彼らの声と気持ちに丁寧に耳を傾ける必要があります。また、上層部に対してチームを導き、サポートする準備を整えるための研修を行う必要があるかもしれません。組織全体でのコミュニケーションの回数を増やすことも不可欠です。再び始まった職場での生活に慣れてもらうため、従業員がお互いに支え合える仕組みを作ることも必要になります。リモートワークと出社の混合型の勤務を行うケースもあり、チームが細分化されている場合には特に、プロジェクト絡みで連絡をとるだけでなく、親睦をはかることも重要です。オフィス勤務かリモートワークかに関係なく、新たな働き方では従業員の安全と生産性、エンゲージメントの確保が求められるでしょう。

現在、次、さらにその先にどのようなアクションを起こすべきかについてはチェックリストをご覧ください。

まずは、出社を再開する従業員と再開しない従業員を分ける方法と、その日程を決める必要があります。長期的には、危機の際にほころびを見せたプロセスをどのように合理化するかを判断しなくてはなりません。また、どのような組織能力を高めれば、従業員のスキルアップを図ることができるか、その検討も必要になるでしょう。

サプライチェーンと国際貿易

ディスラプションを経験していないサプライチェーンはありません。今、課題となっているのは、これらの課題に対応しながら、レジリエンスを高め、エンド・ツー・エンドの可視化を進めるとともにコストを削減し、サプライチェーンを再構築する方法です。

組織はサプライチェーン・レジリエンスを定期的に評価し、戦略と能力の構築を定義し、ストレステストを行い、今後起きるディスラプションを予測する必要があります。一方通行型のエコシステムをネットワーク化し、社内外のデータをクラウドに保存・管理することにより、サプライチェーンの動きが見える化され、全員が同時に作業を行えるようになります。このようなサプライチェーン全体の可視化により、在庫、ネットワーク、ハブ、ノード周りのデータを解析し、供給の集中など単一障害点を特定して、需要と供給のバランスを取ることが可能となります。

サプライチェーン関連の意思決定は、企業コストに最大で75%の影響を与えます。契約の見直しと外部委託により販売・一般管理費を削減し、商品の簡素化、ポートフォリオの整備、資産活用の最適化を通じて利益率と売上原価を改善できる可能性があります。

工場は生産再開にあたりさまざまな課題に直面しています。最も必要とされている商品はどれか? どの現場を、いつ再開すべきか? 機械の再稼働はどのように始めればよいか? メーカーは、工場の新設や総点検の計画を立てることには慣れていても、操業再開に伴う技術的な課題にはこれまで対処したことがありません。

最後に、顧客のサービスへのアクセスも重要な検討課題となります。さまざまな商品提供手段に関わる業務を見直して再構築する必要があります。例えば、消費者の間ではインターネット通販と宅配サービスの利用が急拡大し、小売業者は対応を余儀なくされています。消費者行動のこのような傾向は今後も続く可能性が高いと考えられます。パンデミックを受けて、ウェブサイトやアプリケーションから商品やサービスにアクセスしやすくするための投資や、社会的距離(ソーシャルディスタンス)の長期的確保を目的とした店舗の設計やレイアウトの変更が必要となるかもしれません。

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顧客とコーポレートブランド

パンデミックにより、価値観、習慣、消費パターンの見直しが迫られました。その多くが元に戻ることはないと考えられています。EY Future Consumer Indexの結果から、消費者の3分の1余りが支出を減らす予定であり、大幅に節約する予定の消費者が13%いることが分かりました。

さまざまなデジタル行動を巡る未来予測を企業は見直して練り直す必要があるでしょう。価値創造に不可欠な4つの顧客戦略分野すべてに対応していかなければなりません。

顧客の関心を引くには、消費者セグメンテーション、ナーチャリング、リードジェネレーションにしっかりと取り組み、ロイヤルティープログラムの刷新を含めた、マーケティングとコミュニケーションの機敏性(アジリティ)向上をより迅速に進めます。

成長のドライバーについては、新たな販売チャネルに移行し、現行のイノベーションから価値を引き出して、商品戦略を推し進める必要があります。カスタマー・エクスペリエンスでは、(デジタルの)カスタマージャーニーに加え、エンゲージメント、エクスペリエンス、サービスを実現する新たな手段に優先的に取り組み、デリバリーとラストワンマイル問題の解決をはじめ、物理的格差、情報格差(デジタルデバイド)に対処します。

今回の危機はブランド保護の試金石です。需要を満たし、革新的な商品やサービスを提供すれば、企業は信頼を築くことができます。その一方で、より広範に長期的価値を築くことも欠かせません。具体的には、資本市場での信頼の構築、社会と環境に良い影響を与えること、自己啓発と個人の目的を重んじるインクルーシブな文化の醸成などです。

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金融機関と投資家

経営層は、経済活動の大幅な縮小をもたらしたこの未曽有の危機が過ぎても、収益の落ち込みを受けて営業経費を引き続き削減する必要があることを認識し、3月に講じた当座の対策では十分でなく、必要な短期キャッシュフローと長期的成功のバランスを取り戻す必要があることを認識しています。

ターゲットは言うまでもなく人件費ですが、人員削減を進めないほうが良い企業もあります。企業の長期的価値を創造する能力の中核を人的資本が担うケースは少なくありません。人員削減が必要な場合には、対象を戦略的に決め、成功の継続に不可欠な能力を育成、維持しましょう。

事業を成功させるには、従業員の生産性が今後もますます重要になるはずです。現行や最新のテクノロジーを積極的に活用し、企業の生産性とスケーラビリティを向上させるあらゆる機会を検討することが経営層には求められています。アナリティクス、ロボティック・プロセス・オートメーション、人工知能、アウトソーシングなど、テクノロジーを活用した組織的能力の進歩を、企業の運用モデル再設計の一環ととらえる必要があります。

多くの企業にとっては、サードパーティーへの支出も主要なコスト要因の1つです。外部への支出を合理化し、これらの需要を喚起する要因を積極的に抑える必要があります。また、契約の条件を再交渉して、外部の商品とサービスに支払う金額を下げることも視野に入れるべきです。通常、このようなサードパーティー関連の間接的な支出を削減しても、短期的であれ長期的であれ、その企業の市場競争力が影響を受けることはありません。

今回のパンデミックで在宅勤務でも効率的に仕事ができることが実証されました。これからは従来の職場環境が不要になるかもしれません。特に一等地にオフィスを構えている場合、リモートワークに切り替え、臨時のミーティングスペースと、リモートワークに適したインフラを整備するとしたら、どれくらい経費を節約できるでしょうか。このようにオフィスの在り方が根本的に変わる可能性を鑑みて、不動産・建設セクターは、新型コロナウイルス感染症後の生活に合わせ、未来を再構築し、新たなモデルを導入するための準備を整える必要があります。

プライベート・エクイティ(PE)企業は早急に投資先企業を査定して、その結果に応じた措置を講じなければなりません。ITや食品関連などの投資先の中には価値が上がった企業があるかもしれませんが、大部分は収益が激減し、債務超過に陥り、利子の支払いに苦しむことになるでしょう。今回のパンデミックは、低コスト構造を作り、「変動費型」に移行して、よりエンタープライズ・レジリエンスを高めるための役割を強制的に果たしていると言えます。一部のPE投資家は今後、この未曽有の危機を利用して、投資先のディープディスカウント債を取得できるようになるでしょう。ただし、その際は税務上の取り扱いを考慮する必要があります。新型コロナウイルス感染症拡大前の株高のときに、かなりの資金を投じていたPE投資家の大半は期待リターンが低下し、実際にリターンが悪化する可能性が高いことは残念ながら事実です。ここ数年資金の運用を控えてきた投資家は、買収価格の低下と不良資産を抱えた売り手の増加の恩恵を受けることができるでしょう。

現在、危機を徐々に脱しつつありますが、政府は再び元の政策に戻り、最終的に過去最大規模の債務の縮小を図ると予想されます。2007~09年の世界金融危機後、各国政府は財源を模索し始めました。導き出された答えは、透明性の強化と税務管理のデジタル化を中心としたコンプライアンス措置の強化、間接税の拡大、直接税の増税の3つです。企業は、この3つすべてへの対応に備えなくてはなりません。

いずれにしろ、コミュニケーションをとることが非常に重要です。投資家は透明性を期待しています。その信頼を獲得できるかどうかは、危機への対処の仕方と次なるステップをどれだけ明確に示せるかにかかっています。何より重要な意味を持つのは、危機がビジネスモデルに対して及ぼした影響です。メガトレンドと自社のビジネスモデルが受けた影響を分析し、新たなアプローチの強化と規模の拡縮に優先的に取り組まなければなりません。

現在、次、さらにその先にどのようなアクションを起こすべきかについてはチェックリストをご覧ください。

2007~09年の世界金融危機後に各国政府が新たな財源を獲得するために講じた対策は、コンプライアンス措置の強化、間接税の拡大、直接税の増税の3つです。企業は、この3つすべてへの対応に備えなくてはなりません。

リスク

新型コロナウイルス感染症を想定外の惨禍を意味する「ブラックスワン」だと言う声がよく聞かれます。しかし、豚インフルエンザ、エボラ出血熱、SARSのときと同様に、遅かれ早かれ世界的なパンデミックが起きるのは必然でした。実際、今回のパンデミックはブラックスワン(黒い白鳥)というより、「グレーリノ(灰色のサイ)」と言えます。私たちの目の前に、ゆっくりと近づいてきていたのにも関わらず、目を背けていたのです。

パンデミックが起きる前の事業継続計画はITが主体であり、機敏性(アジリティ)、複雑さ、詳細さに欠けていたため、パンデミックに直撃されたときの対応が難しくなりました。エンタープライズ・レジリエンスの構築とは、リスク管理にデータ駆動型知能を積極的に活用し、シナリオをモデル化することにより、感情バイアスなしに、より知的な決定を下すことに他なりません。ディスラプションが起きたときに備えて、より周到に準備を整え、警戒を強めることで、対応の大幅な迅速化が可能になります。それは、組織のあらゆる面にプラスに働くはずです。

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政府の政策と公共政策

ロックダウンの緩和もまた、政府にとって、新型コロナウイルス感染症への当初の対応に比類する大きな課題です。ワクチンが開発されていない現在、通常の社会的行動に戻す計画の立案やその周知と、安全対策や社会的距離(ソーシャルディスタンス)措置のバランスをとらなければなりません。感染率の推移に応じて制限が再開されたり、解除されたりする可能性が高いため、それに対応する態勢を整えることが企業には求められます。消費者はその影響を受け、この先行きが不透明な時期に需要が落ち込むことになるでしょう。

政府の支援による一時帰休制度は、何千社もの企業を救ってきました。しかし、この制度をずっと続けることはできません。企業は政府の経済支援策の動向を常に見守り、その打ち切りが自社と顧客の財務状況にどのような影響を及ぼすかを見極めなければなりません。これとは別に、現在自宅待機中、または利用できる公共交通機関がなく出社できない従業員の有無や、その人数と資金状況に応じて財政支援を行う、大規模な公的制度が設けられる可能性があります。

今回の危機で、食品、衛生用品、医薬品など生活必需品のサプライチェーンの長大化とグローバル化によるリスクが露呈しました。危機の際にこれらの必需品が不足した場合、最終的に説明責任を負うのは政府です。各国政府は今後、サプライチェーンの現地化に向けた対応を奨励し、場合によっては強制して、特定セクターのレジリエンス強化を図るでしょう。

気候変動に焦点を当てたサステナビリティが、現代社会を特徴づける問題の1つであることに変わりはありません。二酸化炭素排出量削減に向けた提案をする動きも急速に広まっています。その中で最も重要なものの1つが、2019年の終わりにEUから発表された気候変動対策 欧州グリーンディール(EGD)です。財政赤字が膨らむ国や地域にとって、低炭素社会は明確な政策代替案となり、一部の経済、環境、産業問題の解決にもつながります。これらの要素すべてを頭に入れて、現行の提案と、今後広く採用される可能性のある戦略が自社の事業に及ぼす影響を把握する必要があります。

各国政府が経済全般に積極的に関与する傾向が当分の間は続くでしょう。公共政策を巡る状況と、政府の意思決定を支える医療・健康データの理解を深めることがビジネスリーダーに求められます。そうすることで、政府の行動を先取りして準備することができるため、より短期間で、かつ確認も少なく済みます。

現在、次、さらにその先にどのようなアクションを起こすべきかについてはチェックリストをご覧ください。

各国政府が経済に積極的に関与する傾向が続くでしょう。公共政策を巡る状況と、政府の意思決定を支える医療・健康データの理解を深めることがビジネスリーダーに求められます。これにより、政府の対応を予測し、備えることができます。政府の対応は、ほとんど相談なしに、その直前に知らされる傾向にあり、これらの理解を深めておくことが肝要です。

テクノロジーと情報セキュリティ

組織の今後をどのように見直して再構築するか。テクノロジーはそれをあらゆる側面から支えます。デジタルトランスフォーメーションを積極的に推し進めてきた企業は新型コロナウイルスの感染拡⼤にうまく対応することができました。デジタル化と自動化で後れをとっている企業は、これを加速させなければなりません。

今後はテクノロジーを活用して、新しい働き方を促進する必要があるでしょう。それにより物理的なやり取りを減らし、同時にコスト削減も期待できます。企業間連携の拡大、クラウドと自動化ツールの導入により、パフォーマンスへのプラスの効果を分析することに力を入れることも重要です。サイバーセキュリティを、ビジネスリソースやトランスフォーメーションの実現するための手段にすることができるはずです。具体的には、ソフトウェアのパッチ適用、ネットワーク、コアテクノロジー基盤サービスのアップグレード戦略を加速させることは不可欠です。

検討すべき項目は、それだけではありません。テクノロジー主導型の危機対応により、社会規範や、データと知的財産に対する政府の規制は変わるのでしょうか? 技術競争の加速は、セクターを問わず企業の業務運営とサプライチェーンに影響を与えることになるのでしょうか?

現在、次、さらにその先にどのようなアクションを起こすべきかについてはチェックリストをご覧ください

保険と法的紛争

今回の危機への対応として、企業がまず重点を置いたのは、複数国の労働関連法における義務の理解です。その初期段階を過ぎ、企業は今、制限解除後にどのように業務を運営するかを検討しています。パンデミックにより主要指標の精査の厳格化が進み、政府と規制当局は企業がどのようにビジネスモデルを強化しているかを調べる必要があるでしょう。

スマートな企業は今後、新型コロナウイルス感染症絡みで契約を十分に履行できなかった場合に「不可抗力」条項、契約解除条項、関連条項でそれが免責されるのかどうかを考え、契約上の関係の把握に注力することになるはずです。財務面、評判面から考えて紛争には慎重に対処しなければなりません。

企業によっては、将来どの取引関係が重要になるかを考えて、その相手との問題を事前対応で解決するかもしれません。しかし、企業目的を常に念頭に置いておくことが肝要です。保険会社は補償内容を明確に伝えるとともに、被害を受けた被保険者を公平に扱いながら、将来起きる類似の事象から被保険者を守るフレームワークをステークホルダーと一緒に構築すべきでしょう。今後は収益と存在価値を高めるために、新商品の開発が不可欠です。

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力強い意思決定が、将来のレジリエンスにつながる

パンデミックの初期段階に、リーダーは混乱に対処し、従業員と事業を守る対策を講じました。現在必要なのは、組織の業務を現状に合わせて調整し、レジリエンスをさらに高めて、より制度的かつ戦略的なものにすることです。

生産再開、顧客アクセスの確保、可能な限りのコスト削減、構造的合理化を進めることで、事業立て直しに弾みをつけることができます。同時に、即座に手を打てるコスト基盤を構築し、より柔軟な働き方を可能にし、サプライチェーンを最適化してリスクを軽減し、デジタル化と自動化を推し進め、サイバーセキュリティ対策を施せば、エンタープライズ・レジリエンスを高めることが可能となります。

新型コロナウイルス感染症危機を乗り越えたその先

現在、次、さらにその先に、現状破壊の脅威(ディスラプティブフォース)に対応し、レジリエンスを高め、未来を再構築する上で参考になるインサイトをご紹介します。

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サマリー

今回のパンデミックに企業は迅速かつ効果的に対応してきました。現在必要なのは、長期的価値の創造に果敢に投資を行い、それを実現するためのテクノロジーを導入し、サプライチェーン、リスクモデル、ビジネスモデル、販路開拓を現状に合わせ、変革することで未来を再構築することです。

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