パンデミックへの対応を進める中、政府は人々の命と生活を守るため市民に対して外出を極力控えるよう要請し、民間セクターに対しては賃金補助を行うなどの特別な措置を講じてきました。
回復の焦点が社会生活と経済活動に移行してきた現在、政府は経済にどのように関与するのでしょうか。経済対策に割り当てられる金額はどの程度の規模になり、この対策のプロセスが一段落したとき、企業はどのようなアクションが取れるのでしょうか。
現状にオペレーションを適応させる
パンデミックの渦中で、世界各国の政府は、⼈命を守り経済を守るための政策実施を極めて迅速に実施してきました。
そして今、政府の多くは社会活動に対する規制を緩めつつあります。ただ、緩和によって感染率が急増することになれば、再び規制を余儀なくされるかもしれません。規制の内容は国によって異なるだけでなく、国内であっても地域によって異なることがあります。この状況は消費者の行動に影響を及ぼします。また、全般的な不確実性と規制は今後も需要を冷え込ませるでしょう。
職場における従業員の安全を確保するため、出社人数の制限やソーシャルディスタンスの確保といった行政によるガイダンスや規制の見直しが続いています。ガイダンスや規制の変更は国によって異なり、国内でも地域差があるため、複数の法域で事業を展開する企業にとっては困難が生じています。
危機のさなか、多くの政府はかつてないほどの⻑期にわたって企業や家庭に財政的な⽀援を行っています。EYが130を超える法域において経済対策の実施状況を追跡したところ、全体で2,000を上回る財政・金融政策が施行されていることが分かりました。世界全体で見ると、これらの経済対策の規模はGDPの3%~39%に及んでいます¹。しかし、こうした支援もそう長く続けられるものではなく、危機が完全に収束する前に段階的に廃止されるとみた方がいいでしょう。