5 分 2018.04.26
business person works robot

なぜ、税務を行う人間とロボットは、敵対関係ではなくチームメートになるべきなのか

執筆者

EY Global

複数の強みや専門性を兼ね備えるプロフェッショナル集団

5 分 2018.04.26
関連トピック デジタル 税務 AI 税務の運営

コンピューターがこれまで以上に多くの仕事をするからといって、人間の介在が不要になるということは起こりそうにもありません。事実、人間はこれまでよりも賢明になる可能性があります。

何世紀もの間、税務コンプライアンスの業務は手作業で行われ、専門家であるマネージャーが企業の会計簿からデータを抽出し、決められた方法で申告書類を税務当局に提出していました。

しかしテクノロジーが私たちの業務に対する考え方を根底から覆そうとしています。

テクノロジーは、私たちが互いに関わり合う方法や、時間やリソースの配分、(自身で選ぶか誰かに指示されるかにかかわらず)働く場所や時間を変革しつつあります。

どの業種も例外ではありません。税務ソリューションをどのように模索し、実行するかの方法も変化し、税務の専門家たちは急速に対応を迫られています。しかし、新たなイノベーションの台頭は、税務の専門家たちに脅威だけではなく機会をも提供しています。

イギリスに拠点を置き、“The Future of the Professions”の共著者、Society for Computers and Lawの代表者も務めるRichard Susskindは、税務分野は、無秩序や混乱の中に存在する意味を解釈するソフトウェアの導入から利益を得ることができるだろう、と考えています。彼は毎年複雑さを増し、高度な教育を受けた専門家にとってさえ理解しにくい米国の税法を例に挙げて説明しています。

「米国やそれ以外の国の税法は、非常に複雑に絡み合った、多くの場合ほとんど理解できない規則の集まりです」とSusskindは述べています。「しかしコンピューターは人間が作り出した問題をばらばらに分解し、それを全体として理解することにたけています」

税務の職業は、技術革新のただ中であるこの数十年のうちに進化を余儀なくされてきました。かつて人々は、自身の確定申告の手続きを会計士に頼っていましたが、今ではインターネットを介したソフトウェアプログラムを使用し自分で確定申告の準備をするようになってきています。

「税務ソフトウェアは個人向けの税務サービスの提供方法を様変わりさせてしまった」と、Susskindは述べています。「これを、『納税者のコミュニティ』として考えてみてください。もし税務に関する問題を抱えていた場合は、インターネットを利用すれば、喜んで手助けしてくれる人を探すことができるのです。

職場で“Bots”

さらに大きな変化が待っています。超高速で反復作業を行うソフトウェア・アプリケーション、“Bots”が税務の世界へも進出してきています。

「この小さな働き者のパケットコードは、人々が税務業務と関わる方法を変革するだろう」と、サンフランシスコに拠点を置くGupShup(ビジネス用のチャットボット・メッセージング・プラットフォーム)の共同設立者でありCEOでもあるBeerud Shethは述べています。

Shethは、ホワイトカラーの人たちがコーヒーショップや空港で列に並びながら、スマートフォン上のアプリを使って仕事関連の経費処理を行う例を紹介しています。

従業員は経費処理を雑務のように考えがちではありますが、Shethによれば将来はそのようなことがなくなります。

「あなたの会社の全従業員が経費をリアルタイムでアップロードする世界を想像してみてください」とShethは述べています。「あなたは、お金がどこで何に、そして誰に使われたかを明確かつリアルタイムで確認することができるのです」

機械が自分の頭で考えることができるプロセス、人工知能(AI)もまた、税務のプロフェッショナルの働き方を変える存在として期待されています。

複雑な作業であっても、最終的には複雑な問題への解決策を追求できる機械によって行われるようになる、とアナリストは考えています。

 「AIやロボティクスはあらゆる企業の中にますます組み込まれてゆくことでしょう。そしてこれらは、私たちの働き方、私たちのクライアントの働き方、そして私たちがクライアントに提供するサービスを変化させるでしょう」と、EY Total Talent Supply Chain担当のAmericasリーダーであるTony Steadman は述べています。

AIやロボティクスは、私たちの働き方、私たちのクライアントの働き方、そして私たちがクライアントに提供するサービスを変化させるでしょう。
Tony Steadman
Partner, EY Advisory

変化に順応する

現在、多くの企業において、そこで働く人々は仕事を始めた最初の日に、会社や業界のあらゆる面を知り、クライアントへの対応の仕方を学び、チームを運営し、あれこれと管理することを学ぶようになります。

テクノロジーはこのような従来のアプローチを急速に変革させています。

「ファームは、これからますます機械に対し、低いレベルのタスクから高いレベルのタスクを任せるようになるでしょう。従って、ファームはその状況に順応していかなくてはなりません。若手のメンバーに対してキャリアの早い段階でより複雑なタスクをこなす方法を習得させる研修プログラムを準備する必要があります。これが、彼らが上級スタッフへと成長した際に大いに役立つ人材となれる唯一の方法です」と、Steadmanは述べています。

アナリストや税務の専門家の中には、世界の至る所に資産や不動産を有する、多国籍企業や富裕層のクライアントなどが直面する、高度にテクニカルな税務問題を機械が解決するのは難しいだろうと見る向きもあります。それに対してSusskindは懐疑的です。

「税務プランナーは、自分の仕事が複雑すぎて機械にはできない、と今でも信じています」と彼は言います。「しかし、どこを見渡しても、どれだけ課題が複雑であっても、これまで私たちが、人間の専門家にしかこなすことができないと考えてきた仕事を人間に取って代わって処理するソフトウェアを作る誰かが必ずいるのです。税務業務も例外ではありません。すべての人が影響を受けるのです」

どれだけ課題が複雑であっても、これまで私たちが、人間の専門家にしかこなすことができないと考えてきた仕事を人間に取って代わって処理するソフトウェアを作る誰かが必ずいるのです。
Richard Susskind

より賢い人間

多くの人は、人と機械が共通の言語やスキルセットを通じて互いにコミュニケーションを図る職場においては、テクノロジーを進化させる、これまでにない方法があると考えています。これは拡張知能、または知能増幅(IA)として知られています。これらは、人間の能力を視覚野、つまり脳について最も理解が進んだ部分をコンピューターと接続することで拡張できるシステムです。

IAは今のところ未熟な段階ではありますが、その可能性は無限です。長期的には、IAはより詳細かつ大量のデータを、人間がより短い時間で処理できるよう支援してくれることでしょう。例えばコールセンターの従業員が顧客のアカウントで起こっている問題を突き止める、といった仕事において極めて重要な役割を果たすようになるでしょう。

またIAは税務ソリューションの見つけ方も変化させます。グリッドに接続され「機能拡張された」人間であれば、これまでよりずっと速く、最適なクライアントや案件に対して最適な助言をマッチングさせられることでしょう。

「IAを最も歓迎することが想定されるのは、短期雇用契約にある若手のプロフェッショナルでしょう」と、サンフランシスコにある破壊的イノベーションのためのグローバルセンター(Global Center for Disruptive Innovation)でHult-Ashridgeリサーチ・フェローを務めるDaniel Arayaは言います。

これは的を射た考え方です。未来の労働力は世界中に散らばり、個人は、企業や機関から委託する出来高払いの業務に対して賃金を受けるようになることが予想されるからです。

「若手の従業員は、決められた場所に座って同じ仕事をするという状況にはほとんどの場合ならないでしょう」とEYのSteadmanは言います。「そうではなく、企業はクラウドソーシングや業務管理ツールを介してコミュニケーションを取り、タスクを従業員のバーチャルネットワークに託すようになるでしょう」

また、IAはおそらく将来の仕事において、機械が人間にすっかり取って代わってしまうことを防ぐ最良の方法であることを証明する可能性があります。

 「生物学的な人間に能力を増幅する、ということがわれわれの既存の労働力を強化し、人間がコンピューターよりも仕事をうまくこなすことを確認するための最良の方法なのです」とArayaは言います。

 

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サマリー

税務プロフェッショナルは技術革新を受け入れ、税務サービスの提供の仕方を変える準備をしなくてはなりません。

この記事について

執筆者

EY Global

複数の強みや専門性を兼ね備えるプロフェッショナル集団

関連トピック デジタル 税務 AI 税務の運営