6 分 2019.02.15
成長を模索して、消費財企業は非中核資産の売却を競うように進めている

成長を模索して、消費財企業は非中核資産の売却を競うように進めている

執筆者

Jeff Wray

EY Global Consumer Transactions Leader

Passionate leader focusing on large scale opportunities in retail and consumer products. Fascinated about how products get to market. Excited about the breadth and depth of knowledge within EY.

6 分 2019.02.15

資産売却は、必要な変革を遂げる上で重要な役割を果たします。

これら消費財企業がダイレクト・トゥ・コンシューマー(D2C)をはじめとする革新的なソリューションに注力しており、非中核資産の売却をめぐる競争が活発化しています。消費者セクターでは、オンライン販売の発展から翌日配送、そして現在はひげそりから料理キットにいたるあらゆる商品をサブスクリプションサービスで提供するなど、過去10年で大きな変化が起こっています。このセクターの成長は低迷しており、利益率は依然として低いままです。また、消費者の好みは多様化し、デジタルチャンネルは確立されてもすぐに再構築されます。

EY Global Corporate Divestment Survey(EYが発表した企業のダイベストメントに関する意識調査)によると、企業はポートフォリオの最適化やコスト構造の改革により自らを変革する必要があります。一つには、非中核資産の売却により、ポートフォリオから必要のないものをそぎ落とすこと、二つ目は、消費者のニーズの変化にこたえるために、資産を再分配することです。

企業は、以前よりも自らのポートフォリオ資産を頻繁に、詳細にわたって再評価しています。例えば、EY Global Capital Confidence Barometer(EYのキャピタルコンフィデンス調査)によると、消費財企業の3分の2(67%)が少なくとも6カ月ごとにポートフォリオを見直しています。

ポートフォリオの見直し

67%

少なくとも6カ月ごとにポートフォリオを見直している消費財企業の割合。今後12カ月で資産売却を予定している割合は60%に達し、今後2年以内では82%となっています。

消費財企業は、非中核資産売却の重要性を認識して、成長を追求しています。今後12カ月で資産売却を予定している割合は60%に達し、今後2年以内では82%となっています。 

例えば、ケロッグはクッキー/フルーツ菓子部門の売却を検討しており、アパレルメーカーのVFコーポレーションは、同社を象徴するLeeとWranglerブランドの売却を進めています。また、キャンベル・スープは、キャンベル・インターナショナルとキャンベル・フレッシュ部門の売却を戦略的に計画していると発表しました。

非中核資産の切り離し: 消費者セクターの企業が非中核資産の資金化に自信を持っています。一方、アナリストは、新たな消費者の要求と小売業の変化に対応するために、どのようにポートフォリオを作成しているのか、問いただしています。こうした背景により、企業は非中核ブランドの売却を活発化させており、過去最高の収益の活用を考えています。

オペレーション要因も検討事項となります。 企業は、オムニチャンネルの販売戦略を踏まえ、長期的な製品提供を熟慮するようになりました。多額の金銭的支援を必要とする事業を売却し、これにより得た資金を他に投資する企業もあるでしょう。

資産売却の成功をもたらすリソース

根本的にリソースが不足していることで、消費財企業は、ますます重要性が増しているにも関わらず、資産売却に二の足を踏んでいます。

ポートフォリオを頻繁に見直さない企業のうち、81%がその理由として全般的なリソース不足を挙げています。一方で、消費財企業のエグゼクティブの半数以上(56%)が資産売却を優先的に行うためのリソースが不足していると感じています。

リソースの制約

56%

資産売却を優先的に行うためのリソースが不足していると考える消費財企業のエグゼクティブの割合

セクター内での買収は比較的多く行われていますが、多数のブランドを持つ多国籍企業を除けば、資産売却は極めて少ない傾向があります。このセクターの企業は、資産売却後にポートフォリオを変更する専門性を有していないかもしれません。また、一つの大きな組織に統合されている小さな部門を切り離せば、一時的に極めて複雑な状況になります。

リソース不足のため、消費財企業ではデータ収集と効果的なポートフォリオの見直しに必要な分析が難しくなっています。(セクターの58%のエグゼクティブが指摘)。

ポートフォリオを見直し、資産売却を決定するには、適切なリソースが必要です。

最適な投資先とは

資産売却の重要性に多くの人が同意する一方で、社内では企業は売却資金の投資方法についてたびたび議論しています。ビジネスモデル統合に関する意見の相違により、緊張感が生じるかもしれません。例えば、小規模な高成長ブランドは消費財企業にとって魅力がありますが、統合が難しい場合もあります。

対象地域を絞るのも難しい課題です。最も成長しているのは新興国であり、こうした国では人口とGDPが増加し、中産階級が拡大し、消費者需要をけん引しています。しかし、EYの直近のキャピタルコンフィデンス調査によると、この5年で初めて、BRIC諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)は消費者セクター投資先のトップ5に入りませんでした。

ここで影響を与える要因として、将来の見通しがたたないので先進国市場の方が魅力的であること、創造的な小企業は先進国にあるという事実などがあります。

消費者がすべてを決める

消費者は、資産売却の決定において重要な意味を持ち、消費者の好み、透明性、将来のニーズは最も重要な三つのドライバーとなっています。ポートフォリオの効率化および資本の再配分により、消費財企業は、即時対応や「マイクロモーメント」(消費者がモバイルデバイスでブランドについて調べる)など、消費者が関心をもっていることに注力することができます。

セクター内での買収は比較的多く行われていますが、多数のブランドを持つ多国籍企業を除けば、資産売却は極めて少ない傾向があります。 

またデータから、消費財企業が、長い時間をかけて存在意義を問いつづけてたことが分かります。資産売却の決定に影響を与える基準の中では小売の急速な変化に対する適応能力が6位にランクインしています。

データ活用の拡大

より詳細なポートフォリオの見直しでは、データが主な推進要因となりますが、消費者の将来のトレンドをとらえようとするならば、消費財企業に改善の余地があります。

  • データのギャップに対処する:消費者のデジタルチャンネルでは、投資リターンを最適化できますが、消費財企業は自らに限界があるのかもしれません。広範なデータセットを分析する十分な経験がない、またはデータをサイロ化しているために、正しい決定が下せず、トレンドを見逃している可能性があります
  • 人材に注目する:消費財企業は、ブランドのマーケティングや製品開発に注力する可能性があり、D2Cモデルが活発化する中、新たな提供方法を考案し、革新的な製品を創り出す上で、データを扱うスキルはますます重要になっています
  • 将来の消費者を想定する:消費者は、透明性が確保され、価値のある情報のやり取りができる限りは、エコシステムを通じて情報共有したいと思っています。消費財企業は、データを目録化/保護する方法を考え、これにより意思決定を下し、適切なテクノロジーへの投資を行う一方で、EUの一般データ保護規則(GDPR)などの規制上の制約を順守する必要があります

資産売却による効率化と成長の加速

消費財企業は、資産売却によって得た資金を再配分し、ビジネスモデルの効率化と成長の最大化を進めています。

  • 企業内:ビジネスモデルを拡大することよりも調整することに力点が置かれています。最優先課題としてモデルの効率化に向けた投資を挙げた割合は3分の1近く(30%)となっており、前年に準じた結果となっています。これに続く企業内の目標として、製品開発への投資(最優先課題とした割合は13%)、D2C能力の構築(最優先課題とした割合は11%、優先課題とした割合は53%で 、製品開発を上回る)があります
  • 企業外:成長/新規市場において新製品を獲得することが最優先課題となっており(26%)、中核市場での新製品の獲得がこれに続きます(21%)。消費財企業のエグゼクティブの5人に1人くらいが、買収を通して改良された製品の開発に投資すると答えています。つまり、既存製品の変革のためにツールおよびIPを取得します。これが企業外での優先課題となっています。これを最優先課題として挙げた割合は、前年の13%から18%に増加しています

サマリー

EYが発表した企業のダイベストメントに関する意識調査は、企業が行うべきポートフォリオ戦略のアプローチ、資産売却の改善、既存事業の将来の保証に注目しています。

この記事について

執筆者

Jeff Wray

EY Global Consumer Transactions Leader

Passionate leader focusing on large scale opportunities in retail and consumer products. Fascinated about how products get to market. Excited about the breadth and depth of knowledge within EY.