EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
川嶋治子
Institute of Women's Leadership(IWL) 代表取締役
Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2021年8月20日・9月1日合併増大号に掲載された記事をご紹介します。
思い返してみれば、私の人生はマイノリティとしての歩みだったように思います。今でこそ、グローバル企業の取締役の方々に経営戦略にD&Iを組み込む為のアドバイスをし、官公庁の幹部育成を手がけ、未来を創るやりがいある仕事をさせていただいていますが、ここに至るまでの私のキャリアは挑戦と逆風の連続でした。
でもそれは、唯一無二の自分らしいキャリアを築いてくるという意味で、とても充実した歩みだったと言えます。私のキャリアにおいて重要な出来事を紹介しながら、女性リーダーとして自分の信じる道で挑戦をしている皆さんに「自分の武器 × マイノリティで、あなただけのスタイルを」というメッセージを贈ります。
10年以上前の話ですが、ある上場企業から女性リーダーだけの研修を依頼された時、日本社会においてマイノリティである女性リーダー達がいかに孤軍奮闘してきているかという現実に直面し、それが私のキャリアを決定付けました。
当時日本には、女性管理職育成に予算を割いている企業はなく、確立された女性リーダー育成のメソッドもない、やり方もわからず、予算を投じる理由もわからないという状態。調べていくと、日本は世界に大きく遅れをとっており、世界的に女性役員比率が最も高いのはヨーロッパだとわかりました。
そこで私は世界で最も進んでいるであろうヨーロッパで確立された女性役員育成のプログラムの日本の代表に就任しました。実際にヨーロッパにわたり、IBMやマッキンゼーなど、グローバル企業の女性役員育成に携わり、その経験を元に日本の文化や日本企業の組織風土を考慮した、体系的なスキームを構築。教育プログラムを提供し、D&Iアドバイザーをするようになりました。
今となっては最先端の領域と言われ、どの業界からも引く手あまたという状態になっていますが、当時は研修業界の先輩方からもマーケットが育っていない領域に進出することを止められたほど。ニッチ以前の状態でした。
マイノリティである、先見の明がある、ということは強みです。人と違う、ということは、価値です。あなたにしかできないこと、あなただけの強みを尖らせていくこと。際立った個人ブランドを通じて、世の中に貢献する、という発想を持つこと。
VUCA時代と言われて久しい今日。価値観は多様化し、常に変化し続けるビジネス環境の中、求められる人材は、歴史や伝統に敬意を払い、革新的な未来を切り拓くことを厭わない、芯のある柔軟な人材です。
価値観が多様化し、生き方、キャリアの多様性のある時代だからこそ、自分はどう在りたいか、と悩むこともあるでしょう。
人生に配られるカードは、最初は受身。それをどう使って能動的に人生を豊かにするか? が腕の見せ所です。自分の武器 × マイノリティで、あなただからこそのスタイルを。あなたの幸せと才能の輝きを心から応援しています。
川嶋治子(かわしま はるこ)
Institute of Women's Leadership(IWL)代表取締役
略歴
早稲田大学大学院経営管理研究科卒・経営学修士(MBA) 。米国留学を経て市長秘書として 日韓FIFAW杯等のグローバル案件、国内外のトップリーダー対応に従事。欧州教育機関日本代表に就任し、グローバル企業女性役員のリーダーシップ開発、初の日本市場展開をリード。現在、Institute of Women's Leadership(IWL)代表取締役。女性リーダー育成、D&Iに関する官公庁・上場企業のアドバイザリーを手がける。