湾岸協力会議(GCC)におけるVATの準備 - 考慮すべき今後の課題と行動

湾岸協力会議(GCC)におけるVATの準備 - 考慮すべき今後の課題と行動

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EY 税理士法人

2016年3月15日
カテゴリー 間接税

Japan tax alert 2016年3月15日号

VATの立ち上げ前に導入すべき膨大なシステムとプロセスを踏まえると、企業各社はVATの仕組み、並びにVAT管理が自社の事業及び業務・財務システムに及ぼし得る影響を十分に把握することが賢明です。

今後の課題

以下のような企業が、新制度による恩恵を受けることができます。

VATは単なる会計上又は税務上の課題ではありません。VATはキャッシュフロー、資本コスト、製品及びサービスの価格設定、財務報告書、税会計、コンプライアンス・プロセス、サプライチェーン、調達及び契約、並びに現在エコシステムを機能させている全てのテクノロジーに関連する、企業のあらゆる分野に影響を及ぼします。これに加えて、従業員がVAT制度を理解し、その制度の下で効率的に運営するためには、多大な訓練が必要とされます。

VATを実施するためのプログラムを策定して準備を整えるには、積極的かつタイムリーな準備が求められます。企業はまず初めに、自社のビジネスモデルに影響を及ぼす主要分野について理解し、VAT課税に係るオペレーションの設計と適用に関する様々なシナリオを準備する必要があります。変更内容の導入は、バリューチェーン全体の様々な企業のステークホルダーにわたる確固としたプログラム管理を通じて運営される必要があります。特にGCC地域の企業は、これまで全てのバリューチェーンを網羅する複雑な税制度に遭遇したことがないため、今後2018年1月1日までの導入に向けた時間枠は多くの企業にとって厳しいものとなるでしょう。

VATの計画にあたって「様子見」の姿勢を取ることは、避けられないことを先送りすることになります。利用可能な時間を生産的に利用する企業は、新たな制度に対応し、VATの潜在的なメリットを最大化する上で、最終的に優位に立つことになるでしょう。

VATの準備を整えるための主要な検討事項

2018年1月1日をVAT導入開始日とするとの発表を受けて、企業各社は従業員及び組織、プロセス及び管理、並びにデータ及び技術に対する影響を考慮した包括的な行動計画を策定する必要があります。VATの準備を整えるためには、以下の活動を考慮することが求められます。

  • 自社事業において影響が及ぶ主要分野を理解する
  • VATの設計と適用に関して様々なシナリオを準備する
  • 既存スタッフの訓練、及びスキルを持つ人材の採用のための計画を策定する
  • VATに関する方針の策定を継続的に監視し、準備されたシナリオをアップデートする
  • 悪影響が及ぶ分野を特定し、緊急事態対策を準備する
  • 既存のITシステムの性能を評価し、複数のアプリケーションの統合を管理する
  • 当局への説明が必要とされる課題を特定し、効果的な弁護戦略を策定する
  • 実施のためのロードマップを策定し、関連チームを調整する
  • 持続的な実施を推進する
  • 企業の戦略的課題と対立するのではなく、連携するVATイニシアチブを管理する

※本アラートの全文は、PDFでご覧いただけます。

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