
BEPS update ~カナダ、ドイツ及び台湾~
Japan tax alert 2017年4月10日号
本BEPS updateでは、EYグローバルから発行されているタックス アラートから各国のBEPS最新情報を抜粋してお知らせします。なお、各国の詳細情報については、英語の原文を参照ください。
カナダ
2017年3月22日、カナダ財務相は2017-2018年度連邦政府予算案を発表しました。予算案では、OECDのBEPS行動計画におけるミニマムスタンダードの勧告をカナダが確実に実施する方針であることが示されています。また、ミニマムスタンダードの実施に向けてカナダが講じる措置の概要が示されています。例えば、国別報告書に関する法制の整備、租税条約に関するBEPS勧告の実施に向けた多国間協定策定への参画、租税条約の下での相互協議手続の改善、タックス・ルーリングに関する自発的な情報交換等が挙げられています。他のBEPS勧告については、カナダ政府は今後も他国と連携しながら、過度の租税回避に対抗していくとしています。さらに予算案では、カナダの生命保険会社について、カナダのリスクに係る保険から生じる所得であれば、その保険が国外支店を通じて提供される場合でも課税対象とすることが提案されています。
詳細:Canada issues Federal budget 2017-18, dated 24 March 2017(英語)
ドイツ
ドイツ財務省は先日、OECDのBEPS行動13における提言に基づき、移転価格文書化要件の3層構造アプローチ(マスターファイル、ローカルファイル及び国別報告書)を導入する最終法案を公表しました。前事業年度の年間グループ連結売上高が7億5千万ユーロ以上ある多国籍企業グループの最終親会社であるドイツ企業は、2015年12月31日より後に開始する事業年度から国別報告書の提出が義務付けられます。前回法案からの変更点として、国別報告書の提出義務を遵守しなかった場合(未提出、期限後の提出もしくは情報の不足)の罰金が10,000 ユーロに引き上げられます。また、ドイツ税務当局が他国から国別報告書を受領しない場合には、グループの構成事業体であるドイツ居住法人が国別報告書の提出義務を負います。さらに、2016年12月31日より後に開始する事業年度からは、グループの最終親会社、代理親会社、外国の多国籍企業グループの構成事業体のいずれに該当するかを税務申告書において届け出る必要があります。マスターファイルの作成義務については、適用開始が1年延期され、2016年12月31日より後に開始する事業年度が適用初年度となります。
台湾
2017年3月8日、台湾財政部は、付加価値型及び非付加価値型営業税法(2016年12月28日に一部改正が施行された営業税法)の修正案を発表しました。修正案によれば、台湾の個人顧客に電子商取引サービスを提供する国外事業者は、税務申告代理人を通じて、税務当局に登録を行い、直接的あるいは間接的に営業税を納税する義務を負います。税務当局への登録と営業税申告義務が発生するのは、年間の電子商取引売上高が480,000 台湾ドル(16,000米ドル)を超える場合のみです。この義務を怠った場合、3,000 ~30,000 台湾ドル(100~1,000米ドル)の罰金が科される可能性があります。
詳細:Taiwan issues new tax guidelines on cross-border e-commerce transactions, dated 22 March 2017(英語)