EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
インドが電子商取引への課税として従前から導入している平衡税(Equalization Levy)は、2020年財政法により範囲が拡大され、「電子商取引の供給またはサービス(e-commerce supplies or services)」が対象に含められました。これにより、平衡税は、企業間(B2B)取引、企業対消費者(B2C)取引、電子商取引マーケットプレイス、およびデジタルサービスを含む幅広いデジタル取引を網羅するものになっています。
インドをターゲット市場に含むデジタルビジネスを営む非居住者によって「受取済みまたは受取可能(received or receivable)」である対価には、2020年4月1日以降、2%の平衡税が課されます。平衡税はクロスボーダー取引に対する物品・サービス税(GST)とは別個の独立した税目であるため、インドにおけるビジネスのコストは増加することになります。
2020年財政法による改正後の平衡税の諸規定については、その複数の側面の明確化を求める声がさまざまな関係者から上っていました。これに対し、2021年2月1日にインド財務大臣が提出した2021年度予算案では、2020年4月1日に遡って効力を生じるいくつかの明確化が提案されました。
この改正はまだ法案の段階にあり、法律の成立時点(2021年3月中の見込み)で所得税法の一部となる予定です。この改正には以下が含まれます。
1. ロイヤルティおよび技術サービス料(fees for technical services)の性質を持つ対価は、所得税法(二重課税防止協定の下で解釈される)に基づく課税の対象であり、平衡税の課税対象にはなりません。よって、ロイヤルティおよび技術サービス料に相当する所得は、引き続きグロスベースで10%の税率(適用される付加税(surcharge)および特別追加税(cess)がこれに上乗せされる)で課税され、平衡税は課されません。
2. 「物品のオンライン販売(online sale of goods)」および「役務のオンライン提供(online provision of services)」という用語の範囲には、オンラインで実施される以下のあらゆる活動が含まれます。
この改正案によると、以上の活動のいずれか1つをオンラインで行った場合、平衡税の規定の適用対象が、物品および役務の物理的供給やオフライン供給にまで広がる可能性があります。
3. 現在、電子商取引の運営者は、「受取済みまたは受取可能(received or receivable)」である対価の金額に対して2%の平衡税が課されています。今回の改正案では、かかる対価に以下が含まれることが明確化されました。
この改正に対しては、非居住者であるアグリゲーター(データ収集者)や仲介者の税務ポジションについての疑問が提起される可能性があります。すなわち、これらの者に係る平衡税の課税対象は、物品の販売や役務の提供に関連して受け取る対価全体ではなく、取引の促進や仲介によって稼得する報酬や手数料に限定されるべきではないかとの議論です。
4. 平衡税の対象となる取引から生じる所得については、2021年4月1日以降、法人所得税を免除することとされていました。そのため、2020-21課税年度は、平衡税の発効日とこれに対応する法人所得税免税の発効日の間における隙間の期間となっていました。今回の改正案には、2020年4月1日に遡って法人所得税を免税とすることで、このずれを解消する提案が盛り込まれています。
これらの規定は(法律の成立時点で)、2020年4月1日に遡って効力を生じるため、インドでビジネスを営む非居住者においては、これらの改正が及ぼす影響の検討や再評価を行うことが推奨されます。要検討事項の例としては、商取引上の取決めを変更する必要性の有無や、自社のコンプライアンス義務の確定が挙げられます。
※本アラートの詳細は、下記PDFからご覧ください。