2020年12月4日
水素エネルギーの灯が照らす未来

CO2削減に向けてコミットした菅政権:再生可能エネルギーへの転換は、どう進められて行くのか?

執筆者 渡辺 徹

EY Japan Assurance FAAS, Ernst & Young ShinNihon LLC, Principal, パブリック・アフェアーズ サブリーダー

「一寸先は明るい。最後は裸一貫」がモットー。

投稿者
2020年12月4日

菅首相は、先日の所信表明演説で、2050年までに温暖化ガス排出実質ゼロという目標にコミットしました。結果、目標実現のための政府の改革パッケージの具体化方針に、関心が集まっています。特に、経済社会における再エネ利用の促進に向けた規制改革の進展は要注目です。

要点
  • 菅政権の温暖化ガス削減目標は、従来の日本政府のスタンスより一歩進んだもので、首相のコミットメントといえます。
  • 温暖化ガス削減が産業政策の柱として位置付けられたことで、再エネ可能エネルギーの利用促進に向けた規制改革や税制改正の方向性に注目が集まっています。

10月26日に臨時国会が開会し、菅首相は、衆参両院の本会議で、初の所信表明演説を行いました。

発足当初、「携帯電話料金の引き下げ」「縦割り110番」「ハンコの廃止」といった、分かりやすい取り組みを掲げて関心を集めた菅内閣ですが、去る10月26日の所信表明演説で、気候変動・地球温暖化対策への取組みとして、「温暖化ガス排出を2050年度に実質ゼロ」とする目標を菅首相が掲げたことが、注目を集めています。

これは、政府が昨年決定した地球温暖化対策の長期戦略で示していた「2050年までに温室効果ガスを80%削減する」という目標からさらに踏み込んでおり、かつ排出ゼロの目標期限を示している点で、菅首相のコミットメントを示しているといえるでしょう。

さらに、先のアメリカ大統領選挙で民主党のバイデン候補の当選が確定すれば、アメリカがパリ協定に復帰することが見込まれており、温暖化対策は、世界規模で次のフェーズへと進むと予想されます。

今後の日本の公共政策上の焦点は、2050年までの温室効果ガスの削減目標をどのような政策の組み合わせで、どう実現していくかという「改革工程表」の具体化です。すでに河野規制改革担当大臣の下に、再エネ推進政策の検討を中心とする規制改革チームが動き出しています。また、菅首相自らも、自民党の甘利税制調査会長に対し、目標達成に向けて、企業の内部留保を設備投資や研究開発への投資へと促すため、税制面での施策を検討するよう指示を出しました。

これらの動きは、関連する企業にとっては、再エネビジネス拡大の好機が到来したということができるでしょう。温暖化ガス削減が、産業政策の柱として位置付けられることで、日本経済の成長のドライバーとなって行くのかどうか、要注目です。 

サマリー

菅首相が、所信表明演説で打ち出した温暖化ガス削減目標は、従来の日本政府のスタンスより一歩進んでおり、首相のコミットメントとして理解できます。
目標実現に向けて、再生可能エネルギーの利用促進を軸に、規制改革や税制改正の検討が始まりました。
温暖化ガス削減が産業政策の柱として位置付けられることで、再エネ関連産業が成長のドライバーとなって行くのかどうか、要注目です。

この記事について

執筆者 渡辺 徹

EY Japan Assurance FAAS, Ernst & Young ShinNihon LLC, Principal, パブリック・アフェアーズ サブリーダー

「一寸先は明るい。最後は裸一貫」がモットー。

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