デジタル行政がより優れた行政となるにはどうすればいいのか

執筆者

Arnauld Bertrand

EY Global Government & Public Sector Advisory Leader

Working with governments to build stronger administrations for impactful public policies. Passionate about leading teams to guide public performance, innovation and service.

投稿者
12 分 2019.04.10

デジタル変革は、今や公共部門にとって不可欠な取り組みとなっています。行政がデジタル技術を使用することで、市民にとってより良い結果をもたらす、5つの重要分野を検討してみましょう。

気候変動から経済格差まで、世界はさまざまな問題を抱えています。最近ダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)では、これらを乗り越えるための「官と民とがコラボレーションする必要性」について、多くの議論が集中しました。民間セクターによって開拓されたデジタル技術を採用することで、行政と民間セクターがコラボレーションして、有益なデジタルサービスを提供します。その結果、世界中の市民生活の向上を図れたという例を、幾つか見ていきましょう。これらのデジタル技術によって、行政は以下の活動が行いやすくなります。

  • 市民をよりよく理解し、より良い結果を達成できる。
  • サービスをより効果的、効率的に提供できる。
  • 政策の課題に対する新たなソリューションを見つけられる。
  • 外部パートナーと連携して、新たなデリバリー(配信・配送)モデルを開発できる。
  • 公共サービスの民営化を進め、新たな収益源を開拓できる。

しかし、イノベーションを成功させた幾つかの例を除き、ほとんどの行政はデジタルの活用において、民間企業よりも後れを取っているのが現状です。世界経済フォーラム(WEF)の最新報告において、行政は「デジタル時代の恐竜:歩みが遅く、不格好で時代遅れである」というレッテルを貼られています。WEFがデジタル進化を評価した「2016年度ネットワーク成熟度指数」があります。これによっても、ICTを利用する個人の増加と行政のデジタル経済に対する関与について、温度差がますます広がっている現状が指摘されています。

未来に適合する公共セクターを構築するために、行政は自己改革する必要があるのです。これは、新たなテクノロジーに限ったことではありません。組織構造、ガバナンス、作業プロセス、カルチャー、考え方の見直しが要求されるのです。デジタル変革とは、より広い視野を持って関係性やビジネスモデルを認識することです。例えば、公共サービスがどのように機能すべきかを考慮し、再設計するような取り組みを指します。それがあって初めて、デジタル変革が人々や社会にもたらすより幅広い利益を、行政は享受できるのです。

このように、デジタル力を備えた未来の公共セクターを創造するため、行政が検討すべき5つの重要分野があります。

ラップトップコンピューターを使用する男性
(Chapter breaker)
1

第1章

カスタマーエクスペリエンス

行政サービスを使いやすくする

市民は公共サービスに対して、民間セクターから得られるサービスのように、個人的で即応性の高いものに変わることを期待しています。行政は、市民の公共サービスに対するエンド・ツー・エンドの経験を向上させるために、デジタルをどのように利用できるかについて再考する必要があります。このためには、政策の設計やサービスの提供において「市民ファースト」というカルチャーや考え方が求められます。最終的な目標は、サービス品質の向上、透明性があり効率的な関係性の促進、行政に対する信頼レベルの向上、市民の期待に沿うより良い成果の創出です。

行政に働きかけたり、問題を報告したり、フィードバックを提供したりする手段は、従来の方法から、ソーシャルメディアやモバイルプラットフォームへと置き換えられています。アプリやSMSのようなモバイル・サービスによって、人々は必要とするサービスに、より便利で目的にかなったやり方でアクセスできるようになります。こうしたツールによって、意思決定、政策設定、予算配分、問題解決、サービスの共同作成などに対する、市民の参加が可能になります。これにより、行政と市民の活発なコラボレーションを促します。

先進的な分析手法を使用することで、行政は人やデバイスから継続的に収集したデータを有効に活用できます。これにより、サービス設計も充実して、より個人に合ったサービスの供給が行えるようになります。例えば、医療機関にオンラインで予約を行った患者に対して、近隣の支援グループや体操教室など、健康促進のための追加サービスへ誘導することができます。

すでに、人工知能(AI)が行政のウェブサイト内での取引を完了させるチャットボットを利用して、市民向けのサービスを支援できる状況にあります。AIは運送業者のルートを最適化したり、通勤時間を減らすなど、都市計画の改善にも役立ちます。さらに、学生たちに彼らの学習ニーズに応じた教育サポートを提供するとか、オンラインでの任意照会や審査を可能にすることによって、市民たちが自分たちのニーズや適格性に基づいた社会サービスを提供できるように仕向けるようにします。

  • オーストラリアではデータのロック解除で子どもの保護サービスを向上

    オーストラリアのニューサウスウェールズ州では、この10年間、保護サービスを必要とする子どもの数が増え続けています。政府の無計画な投資、データ利用率の低さは、子どもの保護に向けたサービスが成果を上げておらず、後手に回っていることを意味していました。

    そこで、ニューサウスウェールズ州の家族・コミュニティー・サービス(FACS)省はシステムを強化するための大きな改革を実施しました。この改革は子どもや若年層に、安全で愛情に満ちた、生涯暮らせる家庭を持つ機会が与えられることを目指し、彼らの能力を発揮できるように手助けします。このビジョンを達成するため、FACSは情報システムを必要としました。それによって意思決定をサポートし、家族、ケア担当者、ケースワーカー、サービス事業者などの、ネットワーク間での協力体制が強化されました。そのために、FACSは別々に機能していた14個のレガシーシステムを、1つのクラウドベース・プラットフォームに置き換えました。これにより、データの統合や照合、融合が行えるため、ケアを受けている子どもや若年者の一人一人の個別意見や全体的見方を提供しています。当事者にとって、デリケートな問題であるため、データ共有の管理には、厳格な統制やプロトコルが設けられています。

    このプラットフォームは、個々の子どもについて、最前線のスタッフが把握する関連情報が含まれ、適切なタイミングで正しい関与が行える仕組みです。サービス事業者や家族、ケア担当者が情報にアクセスし、共有して、子どものサポートに関わる全員の間で、協力体制を強化できるようになっています。

コンサートを楽しむ人々
(Chapter breaker)
2

第2章

公共の価値

公共投資のリターンを最大化する

成長が不確実でありながら、需要は高まるといった環境にあって、政府は公共の金融サービス、インフラへの持続可能な方法を見つける必要に迫られています。デジタル技術はサービスを提供する新たなモデルを開拓し、よりスマートな消費を通じて、リソースの管理を改善します。そして、プログラムやサービスの中に投資された資金を、デジタル技術が市民のために生み出した成果に結び付け、そのことによって説明責任や信頼性を高めることになります。

ブロックチェーン技術は、資金がシステムを通じてどのように支出されるかを追跡する手助けができます。例えば、財務省から支出部署へ、さらには送金業者へといった具合です。支出の視覚化が進んだことで、政府は公共資源をどのように配分するかについて、より良い意思決定が行えます。 

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)は、よりスピーディーで効率的なサービス、ピーク時の需要や売れ残りにも対応できる柔軟性を提供します。さらに、手動操作では発生しがちなエラーも無くすことができます。行政の中には、すでにバーチャルな労働力を利用して、自動で定常業務プロセスを実施しているところもあります。そうしたところでは、大量の反復業務という負荷を減らし、時間や人材を解放して最前線でのサービスに注力させることもできます。

予測的分析、テキストマイニングは、さまざまな問題を予測し、予防的措置を可能にします。これによって公共リソースのスマートな管理面で重要な成果を上げることが考えられます。例えば、支払いを行わない可能性のある納税者を特定するようなケースで有効です。

3Dプリントは処理時間の短縮、インフラや公共交通機関のプロジェクトに対する建設コストの削減、防衛機関にとって、より効率的で低コストなサプライチェーンを構築します。新たな製造能力の導入によって、遠隔地の雇用創出や経済的変革を推進します。

行政は、このようなテクノロジーを利用して公共の価値を押し上げると同時に、自らの役割についても異なる見方をする必要があります。そうすることによって、行政機関、民間企業、非営利団体、社会的企業、市民などを含むパートナーが構成するエコシステムのためのプラットフォームになります。そのパートナーはこぞって革新的サービスやビジネスモデルを開発することができます。

  • インテリジェント・オートメーションはイギリスの地方議会のサービス向上を支援する

    EYはエディンバラ市役所と協働し、問題を抱えている環境下で基本サービスを維持する方法として、インテリジェント・オートメーション(IA)を導入する取り組みを進めています。「問題は、市民のニーズがより複雑化していることに加え、一人一人が市役所から安価でより多くのサービスを受けられるものと期待していることです」と、市役所の収益・給付担当マネージャー(Revenues and Benefits Manager)を務めるShelia Haigは言います。

    これまでに進めたオートメーションには、以下の内容があります。

    • ケア担当者(介護者)の支払いプロセスの自動化によって、ソーシャルワーカーの時間を解放します。
    • 家主の登録プロセスの正確さやスピードを改善します。
    • 公営住宅の修理プロセスを改善します。
    • 顧客からの問い合わせプロセスを強化します。
    • 全ての購入カード取引に関係する監査や報告のオートメーション化を導入します。
    • ケアを必要とする子どもをサポートできるように、ソーシャルワーカーのスケジュール作成を支援。

    エディンバラ市役所は大きな成果を達成しました。顧客サービスは改善され、状況に応じて年中無休とするなど、サービスの可用性は劇的に高まりました。

    行政の仕事は、今や「負担が低く、正確性は高い」状態で提供されるようになっています。一方、従業員はルーティン業務が減ることで時間に余裕ができ、専門的なスキルを活用する機会が増えています。結果として、従業員の貢献度や仕事に対する満足感がこれまでよりも高くなりました。

    「基本的な質問は以下の通りです。すなわち、ソーシャルワーカーが費やす時間の8割を事務処理に使うか、それとも誰かを助けるために使うか、どちらをお望みですか」。エディンバラ市役所の元戦略企画室長(Head of Strategy and Insight)、Kirsty Louise Campbellは「結局のところ、人を助けたいという思いこそが、そもそも彼らがこの職業を選んだ理由なのですから」と言います。

サーバー制御室で作業する同僚
(Chapter breaker)
3

第3章

市民の安全

人々、情報、さらに戦略的な利益を安全に保つこと

私たちは不確実な時代に生きています。テロリスト集団など、非国家主体からの脅威が増し、デジタル技術を通じて複雑性が高まっており、予測不可能な状態です。今日、抗争は戦地のみならず、公共の交通機関でもソーシャルメディアやサイバースペースでも仕掛けられています。

行政は自らの市民を全ての脅威から守り、彼らが恐怖を感じることなく生活し働くことができるようにする責任があります。デジタル化はこうした行政の闘いにおける障害でもあり、支援でもあります。

行政はデジタル技術を擁護し、パートナー組織やスマートデバイスとの相互の結び付きをより強化していますが、その一方でサイバー攻撃者に付け込まれる新たな脆弱性も生まれてきています。テロリストや詐欺師、ハッカーの集団は、基本的な公共サービスの配信や、選挙手続きなどの市民社会の円滑な運営を脅かす恐れがあります。

他方、デジタル技術やデータの共有化が進むことは、脅威に対抗する優れた手段を得ることにもつながります。防御組織は、AIやマシンラーニング、サイバーウェポンや脅威検出プログラム、サイバーセキュリティ装置、ロボティクスやデジタルツールなどに投資をし、それらをより迅速で効率的にしようとしています。警察部隊も、モバイルテクノロジーを利用して、事件発生時の対応時間を減らし、データ分析で予測的な治安維持モデルを確立します。それに伴って、より優れた脅威分析についての計画を実行できるようになっています。

市民はますます、自らのデータがどのように使用されるのかについて、関心を高めています。従って、依存度がさらに高まっている保管データを保護するために、行政は情報セキュリティ管理システムを導入しています。

行政はまた、クラウド・コンピューティングの力を利用して、自らの計算能力を高め、安全なバイオメトリック認証プログラムを支援します。そして、市民取引に向けた安全な決済プラットフォームを提供するのもまた、行政の責務です。

  • ノルウェー鉄道におけるサイバー・セキュリティ・リスクを管理する

    ノルウェーの鉄道インフラ事業者であるノールラン鉄道(Bane NOR)は、1950年代の技術を次世代の交通管理システムに置き換えるタイミングを迎えていました。メンテナンス・コストを抑え、サービスをより信頼できるものにします。そして、利用者や鉄道作業者にとってより良い情報をより迅速に提供します。そのために、ノールラン鉄道は、これまでにもデジタル化の取り組みを導入してきた経緯があります。しかし、サイバーセキュリティのリスクを管理するための、一貫したフレームワークがありませんでした。

    EYチームは、ノールラン鉄道がサイバーセキュリティ用のリスク・マネジメント・プロセスを開発し、実施するための支援を行いました。IP(インターネット・プロトコル)ベースの交通管理、新しいIoTシステムや分析手法などの新たなテクノロジーを導入します。これにより、問題を解決するだけでなく、組織が考慮しなくてはならない新たな課題やリスクにも光を当てたのです。リスク・マネジメントの中で、サイバーリスク分析を継続的に行い、正しい対策を実施します。台頭する脅威の緩和に役立てるために、これらは非常に重要な取り組みでした。

    ノールラン鉄道は、今ではシステムやネットワークのリスクを管理してサイバー脅威を抑止、検出、対応することができます。さらに、もし実際にサイバーインシデントが発生した場合には、復旧手順を実施できるようになりました。

    政府はノールラン鉄道のサイバーセキュリティ管理が要求水準に達したことに満足しています。サイバーセキュリティの改善によって、リスクに関する透明性が増し、ネットワークはより安全になり、通勤者の安全が図られ、データ保護も改善されました。

回路基板上で作業する女性電気技師
(Chapter breaker)
4

第4章

未来の労働力

公共セクターにおける能力を改善し、仕事を考え直す

経済成長、社会的一体感、均等な機会などの実現には、訓練を受けて21世紀の雇用者ニーズに対応した労働力があるかどうかに懸かっています。

行政は効率を高め、利用者からの注目度を上げて、ダイバーシティやインクルージョンを強化するため、従業員のスキルや能力を築き上げる必要があります。競争の激しい労働市場において、公共向けのセクターはこれまで、必ずしも最高の人材が選ぶ職場ではありませんでした。行政は、必要とされるスキルや能力を持つ人材を引き付け、定着させ、育成するために、さらに努力する必要があります。より動的で対応度の高い環境を、徐々に構築していくことができた時点で、行政は社会に影響を及ぼすような、目的志向の役割を探している若年労働者を手繰り寄せることができるようになるでしょう。

こうしたカルチャーを形成するには、行政は、従業員の時間を解放し、より刺激的で付加価値の高いタスクに集中できるようにすることが不可欠です。これは、インテリジェント・オートメーション・ツールを利用し、人間の労働者を補完することで実現します。手作業や反復作業の量を減らすことによってが、より高いレベルの生産性や従業員の充実感が得られます。その見返りとして、高い素質を持つ志願者を引き付け、定着させる助けにもなります。その結果として、市民の公共サービスに対する利用体験を向上させることができるのです。

モバイルテクノロジーは、公共機関が労働力を強化し、より効率的な形で業務を行えるよう支援することができます。公共セクターの従業員の多くは、規則的にオフィス外で勤務する必要があります。そのような状況の中で、彼らはスマートフォンやタブレット、ラップトップといったデバイスを身に付けたり、そばに置いたりして、どこにいても職務を遂行することができます。

行政は、そうした労働力をデジタル時代に向けて準備しています。オートメーションやAIなどの技術的な変化は、一般的な仕事や経済、社会の未来に対して、広範囲にわたる影響を及ぼします。今後、行政が採用し、更新し、強化すべき政策は、より低いスキルの仕事に就いている労働者の解雇や、社会的格差の拡大のような社会や経済にとって、望ましくない結果をもたらさないようにすることです。

  • スマートフォンやウエアラブル技術がマンチェスター警察を勢いづけた

    犯罪や規則違反を減らすため、警察官は管轄する地域について、よく理解する必要があります。マンチェスター警察が実施した、デジタル変革の主な施策において、EYは新しいモバイル機能を設計、配備しました。その結果、警察官は価値の高い、公共に向き合った活動に費やす時間が増え、署内での書類処理業務の時間を減らせるようになりました。

    9カ月の配備を通じて、6,500名の警察官と他のスタッフが、スマートフォン、タブレット、ウエアラブル技術などを含めて9,000以上のデバイスを装着しました。彼らは初めて、モバイルアプリを使用して、目撃者の証言聴取、証拠の入力、メインデータベースの照会など、現場での主要な警察業務をこなしました。

    この警察業務方法の大きな変化は、新しい業務運営モデルや警察業務の統合システムによって支えられています。それによってユーザーは、より高品質な情報にアクセスでき、市民の関与を助け、消防や救急隊員など、パートナーとの情報共有を高めることができます。

    この取り組みによって生み出された時間は、1年当たりの、警察官66名の現場出動時間に匹敵しています。「私の部下である警察官全員に、モバイルテクノロジーを装着させるという本プロジェクトは、目覚ましい成功事例となっています」と、マンチェスター警察署長の Ian Hopkinsは言います。「警察官が必要とする、現代的なツールを与えることで、彼らは警察署に戻ること無く、事件や問題を解決することができるようになり、効率や成果が劇的に上がりました」

タイにある都市の路上交通状況
(Chapter breaker)
5

第5章

スマートインフラ

社会や経済がより良く機能するのを支援する

都市化、グローバリゼーション、公害、水不足、気候変動など、今日の根本的な問題の多くは、コネクテッド・カー、電気自動車、スマート・パワー・グリッド、エネルギー効率の高いビル、モノのインターネット(IoT)ネットワーク、オープン・データ・ポータルといった、スマートインフラの発展で乗り越えることが可能です。

行政は、インフラの建設や改築、人口増加などにより、老朽化した設備へのプレッシャーが増す一方の都市中心部などのインフラ問題に直面しています。新興国の多くは、増え続ける人口、増大する経済活動を支援する新たなインフラを必要としています。その一方で、成熟した市場では、劣化し効果が薄くなってしまったインフラの再建が必要とされています。しかし、長年インフラへの投資が少なかった新興国も、今や世界の多くの国に追い付こうとしています。概算では、今後20年間に、世界中でインフラに対して必要とされる資金は、およそ100兆米ドルと見込まれています。

スマートインフラは、最新テクノロジーを利用して、最大の価値や効率を上げ、弾力性や持続可能性を創出するための方法を提供します。例えば、スマートデバイス、センサー、ソフトウエアなどのデジタル技術を、発電所や橋といった物理的な構造物に適用させるのです。エネルギーや水システム、交通ネットワーク、人的サービス、公共の安全に関わる業務など、行政のあらゆるコア機能に対して、インテリジェントデバイスは、より効率的で効果的なモニタリングや管理を可能にします。

また、行政は、繁栄していくデジタル経済を強化させるための施策を推し進めていかなくてはなりません。この活動には、民間企業と協力して4Gや次の5Gネットワーク、データセンターを普及させたり、市民の高いデジタルリテラシーを育てたり、デジタル・インクルージョンを推進したり、デジタル特定システムを通じてサービスへの安全なアクセスを可能にするなどの内容が含まれています。

各インフラプロジェクトに対し、公共セクターが自ら資金提供することはできません。そこで、他の投資家と協働するための革新的な方法を探す必要があるのです。

  • ナグプールはテクノロジーを利用して経済成長や生活の質の向上を図ります

    インドの都市であるナグプールは、急速に拡大を続け、無計画な都市化が進行していました。これによってスラムや公害、ゴミの管理問題や公共交通機関の不適切な状態が生み出されています。

    インド政府のスマート・シティー・ミッションから着想し、マハラシトラ州はテクノロジーを利用した都市センター変革憲章を作成しました。この変革のために最初に選ばれた都市がナグプールでした。ナグプールの地方自治体(NMC)は、都市の管理や開発を責務とする団体です。彼らは、デジタルネットワーク、スマートセンサー、先進的分析手法やITソリューションといったテクノロジーの力を利用して、より良い生活、職場環境を全ての市民に与えたいと考えていました。

    そこで、スマート・シティー・ビジョンの統合プランを準備したのが、EYチームでした。市民の生活を改善するために、市民が関与することやアイデアを出すことは不可欠です。それは、スマートサービスの提供を優先しやすくすることや、安全や衛生、インターネットへのアクセスといった重要な問題の対処に利用されました。

    このプログラムは順調に進められており、市民に向けた利益還元が始まっています。

    • 公共サービスは全ての市民が年中無休で利用できます。
    • 社会のあらゆる人々が、都市発展、改革のプロセスに参加することができます。
    • 市民は安全、安心を感じています。
    • 救急サービスはナグプール市内のどこでも利用可能です。
    • キャッシュレス経済が推進され、ファイナンシャル・インクルージョンの取り組みに向けた準備が始まっています。
    • 交通管理が改善され、よりクリーンな大気、良好なモビリティーへと進んでいます。

あらゆる角度からデジタルトランスフォーメーションの可能性を探る

EYのデジタル変革についてのインサイトでは、貴社が新たな価値を発見し、未来の企業をつくり上げる支援を行 います。 

もっと見る

サマリー

デジタル変革を効率的に管理する行政は、市民にとって世界標準のクオリティー・オブ・ライフを提供します。また、公共の信頼を取り戻し、グローバル経済における国の競争力を高めます。彼らはまた、ディスラプションの次の高まりがどのような形でやってきても、それに耐えられるよう、今回よりもさらに良い形を築き上げることでしょう。

この記事について

執筆者

Arnauld Bertrand

EY Global Government & Public Sector Advisory Leader

Working with governments to build stronger administrations for impactful public policies. Passionate about leading teams to guide public performance, innovation and service.

投稿者