6 分 2019.04.10
気球の日の出を歩く男性

ビジネストランスフォーメーションが3Dを必要としている理由

執筆者

Gil Forer

EY Global Markets Digital and Business Disruption Leader

Leads digital go-to-market strategy and EYQ. Focused on the impact of disruption and what’s after what’s next. Founder and producer of Innovation Realized.

6 分 2019.04.10

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Innovation Realized Summit 2019では、トランスフォーメーションのリーダーたちが、いかに今を解決するか、次を探求するか、またその先を想像するかをテーマに取り上げました。

20世紀 には、「壊れていないものは直さない」という姿勢が企業の傾向でしたが、現在では、先を予想し、実験し、想像しなければ(そして多くの場合は失敗しますが)、時代に取り残されてしまいます。

今日のビジネスの現実では、容赦のない破壊的な変化の一つが起きています。その規模は、第1次産業革命以来、2度目としても、変化のスピードは前例がありません。各企業は、一連のルールと絶えず流動する期待の下でうまく状況に適応し、事業運営を行わなければなりません。

ディスラプション(創造的破壊)という難題は、実在的な脅威であるとともに、空前の成長機会でもあります。ディスラプションを生き残り、うまく切り抜けて、その上昇気流を捉えるには、企業は包括的かつ継続的なビジネストランスフォーメーションを断行する必要があります。その結果、信頼が高まり、デジタルを受け入れ、イノベーションを促進し、顧客中心主義を浸透させることができます。このプロセスに必要不可欠なのが、次の10年とその先を見据えた人員の再構成と成長戦略の再設計です。

こうしたトランスフォーメーションをうまく展開することによって、継続的な成長、強靭な競争力、長期的な価値を創造し、提供するための能力強化が可能になります。すなわち、3次元で考え、実行し、計画する能力を意味します。

1) を解決する 

2)  次を探求する

3)  その先を想像する

Innovation Realized hanging chairs

イノベーションを実現する

Innovation Realized Summit 2019では、 優秀なプロフェッショナルたちが集まり、いかに今を解決し、次を探求し、その先を想像すべきかについて意見を出し合いました。

3次元トランスフォーメーション

3次元の枠組みによって、全社的トランスフォーメーションの実現に向けた包括的アプローチが可能になり、今と次、その先の各次元に、同時に対処でき、ビジネスモデル、オペレーション、サプライチェーン、人材、デジタルインフラを含め、組織のあらゆる側面を網羅できます。これを3次元トランスフォーメーションと呼びます。

既存ビジネスの成長、効率化、収益性と株主価値の最大化にフォーカスし、「今」を解決します。そのための取り組みとして、既存デジタルインフラの最適化、アップグレードなどが考えられます。を解決することは、競争上の脅威、消費者の好みの変化、規制環境の変化といった喫緊の課題に対応することでもあります。業界をリードする企業では、企業リスク・信頼戦略の再構築、イノベーションに基づくグローバル規模・市場全体での影響力の行使、また、購入するか構築するかなどの戦略判断をはじめとする取り組みを通じて、こうした課題に対処しています。「今」は、地域ごと、または機能部門ごとの断片的なトランスフォーメーション活動を、エンド・ツー・エンド(端から端まで)のビジネストランスフォーメーションに統合するための機会でもあります。

業界を問わず、現在体験している変化は、同時に並行して次を検討しておくべき規模の変化でもあります。将来の医療は、予防か治療か。 消費者の将来像をどのように思い描くのか。 あるいは、エネルギーが大衆化すると勝つのは誰か。 企業リーダーはこうした問いを検討し、現在のセクター内、あるいはそれを超えた領域で、新しいビジネスモデルやチャンスを特定し、見つけ出さなければなりません。

同時に、人工知能(AI)、ロボティクス、ブロックチェーン をはじめとする新しいデジタルテクノロジーを、ビジネス全体に採用かつ組み込む方策を見いだす必要もあります。新しい人材モデルやエンプロイーエクスペリエンス(従業員としての経験)の枠組みを検討し、多様性の強化、新しい世代のニーズへの対応、インクルージョンの強化、そして組織全体に浸透した真のイノベーションカルチャーを推進することが重要です。

その先

変化のスピードが加速化していることを考えると、次に何が起きるのかについて、思考を止める暇はありません。次のまたその先を想像する必要があります。価値創出の本質が、どう進化するのか。高度につながったネットワークベースの、しかも超流動的な市場に継続的に順応し、長期的な繁栄を続けるために、貴社の組織はどうすればいいのか。次のテクノロジー進歩の波で火が付く新たな巨大潮流とは。デジタルトランスフォーメーションが可能にする、新しいケイパビリティーと市場機会とは。想像力と好奇心がなくてはならない特性になるのです。トーマス・フリードマンは、「私は既存の枠の外で考えるのではない。既存の枠の中で考えるのでもない。枠なしに考えるのだ」と自著で述べています。この先を考える時、企業にもその姿勢が求められます。

3次元トランスフォーメーションの必須事項

急速に進むイノベーション、テクノロジーの変化の中、企業はこれら三つの次元を同時に考えて、実行しなければなりません。さもなければ、たちまち取り残されます。こうした三つの次元によって、想定される結果を理解したり、あるいは達成したりするための前置きにすぎない、目の前のトランスフォーメーションのその先を考えられるようになります。企業は、最終的には環境の変化に難なく順応できる「超流動企業」へと、進化を遂げる必要があります。この新しい現実にうまくかじ取りするには、同様に順応型のデジタルインフラと同様に、、次の次、さらにその先へと、常に注意を払う変革が必要です。

3次元トランスフォーメーションを成功させるための10カ条をご紹介します。

1.      アプローチ:先回りし、自らを打ち壊す。受け身のアプローチでは遅すぎる

2.      考え方:前向きになって機敏な考え方を。過去の前提に頼るのは禁物

3.      カルチャー:起業家精神とイノベーションを育む、正しいカルチャーとプロセスを創造。このカルチャーの一部として、勇気づけられ、報われる経験にフォーカスし、さらに正しいリーダーにフォーカする。早めに失敗しておくこと

4.      エコシステム:アウトサイドイン(外から内へ)戦略を追求。エコシステムとパートナーシップを通じた組織イノベーションを推進。全てを1人で行うのは、時間がかかりすぎる

5.      人材:多様性と包括性を推進。その二つは、より革新的なカルチャーの重要な成分である

6.      テクノロジー:人工知能(AI)、ブロックチェーン、5Gなど、組織のさまざまな側面を再考、あるいは再設計できる新しいテクノロジーを受け入れ、統合する。データを戦略的資産として取り扱う

7.      価値:価値の概念を再考する。価値がどのように定義付けられ、構築されるかによって、非財務的な構成要素、社会と株主双方のための長期的な価値創造を推進する、協調的な枠組みにもフォーカスすることができる

8.      顧客:顧客中心主義の組織になれ。そのための手段として、データとテクノロジーの活用によってカスタマージャーニーを再設計し、セグメントや市場ごとの顧客の違いをより深く理解することができる

9.      人材:人材の研修・能力開発に投資を。組織内にデザイン思考、行動科学、あるいは人工知能(AI)などの新しいスキルセットを取り入れるために、新しい人材を募集し、獲得する。社内人材だけに頼ってはならない

10.      考え方:「デジタルをやる」から「デジタルになる」に移動せよ

C-Suitesと取締役への重要な質問

  • 独自の顧客中心主義を実現するため、製品・サービスの設計をどのように変えるべきだと思いますか
  • カスタマーエクスペリエンスへの投資と同様に、独自のエンプロイーエクスペリエンスに投資するために、人材チームと取り組んだことはありますか
  • LyftやAirbnbを一例に、世界はますますネットワーク化が進んでいます。自社のビジネスモデルを再考したことはありますか
  • 貴社の垂直型組織構造は、変革時代の目的にかなっていますか?それとも、機敏性を備え、将来の人材ニーズに対応し、顧客中心主義の組織に進化するために、水平構造にシフトすべきだと思いますか
  • 現在のC-Suites構造の妥当性を疑い、戦後に機能したC-Suitesモデルが、次の10年、さらにその先の時代に成長機会を獲得する最善の体制であるのかについて、疑問を投げ掛けたことはありますか
  • 変革時代の成功は、個々(人、組織、国)の話ではありません。業界内でも業界間でも、官と民でも、新興企業と既存企業でも、人と機械でも、コラボレーションが重要な成功要因となります。コラボレーションを促すための重要なメカニズムは、イノベーションと新しいビジネスモデルを後押しするエコシステム構造です。コラボレーションやエコシステムについて、どのような枠組みやアクションプランを定めていますか
  • 顧客、サプライチェーン、取引、人材、リスク、財務、製造など、組織のさまざまな側面を再構築するために、人工知能(AI)や量子コンピューターといった、新しいテクノロジーやデータをどのように活用しますか
  • 超流動的な市場とますますネットワーク化する世界において、どのように価値を生み出しますか。社会全体のステークホルダーに届く価値を、どのように構築しますか

2019年4月8日~9日のInnovation Realized Summit では、プロフェッショナルたちが集まり、いかに今を解決し、次を探求し、またその先を想像すべきかについて意見を出し合いました。最新の意見や知見を知りたい方、または議論に参加ご希望の方は、#InnovationRealizedをご覧ください。

サマリー

変革の時代に後れを取らないためには、どの企業も変革に備えておく必要があり、そのためには、今、次、その先という三つの次元を、同時並行の視点として、変革を検討しなければなりません。この3次元フレームワークを組織のさまざまな側面に当てはめて、特に人材戦略、コーポレートリスク、イノベーション、消費者インサイト、資本配分に注目することが必要です。

この記事について

執筆者

Gil Forer

EY Global Markets Digital and Business Disruption Leader

Leads digital go-to-market strategy and EYQ. Focused on the impact of disruption and what’s after what’s next. Founder and producer of Innovation Realized.