IPOの基礎 第1章 株式上場の意義

2017年7月27日
カテゴリー IPOの基礎

2017年7月発行のIPOガイドブックを転載したものであり、本文中特に断り書きのない限り、2017年3月31日現在の法令・規則等に準拠して作成しています。

1. 株式の上場とは

株式の上場とは、広く一般投資家から資金調達を行うことを目的とし、証券市場で株式を自由に売買できるようにすることです。具体的には、同族や特定の限られた者に保有され、株式の譲渡が制限されていた自社の株式を、不特定多数の一般投資家に開放して、証券市場において自由に売買できるようにすることをいいます。

2. 株式市場の仕組み

株式会社は、広く一般投資家から資本参加を求めることで大規模な事業を営むことが可能ですが、他方で一般投資家に資本参加を求める場合、一般投資家がいつでも投下した資本を回収できる仕組みが必要となります。資本参加したものの換金することが容易でなければ、資本参加する一般投資家は限られてきてしまいます。このため、一般投資家がいつでも株式を売買できる市場が設けられており、これが証券取引所です。
国内には、日本取引所グループの東京証券取引所の他、名古屋、札幌、福岡の計4カ所の主要な証券取引所があり、それぞれの取引所が証券市場を開設しています(なお、先物市場には日本取引所グループの大阪取引所があります)。

証券市場には、「本則市場」と称される市場と、「新興市場」と称される市場があります。
本則市場に関しては、東京、名古屋の各取引所はそれぞれ1部市場と2部市場があり、札幌と福岡には1つの市場が開設されています。

新興市場とは、その名の通り成長する新興企業のための市場であり、「マザーズ(東京)」「JASDAQ スタンダード(東京)」「JASDAQ グロース(東京)」「セントレックス(名古屋)」「アンビシャス(札幌)」「Q-Board(福岡)」が、各証券取引所にそれぞれ開設されています。

また、プロ投質家向けの「TOKYO PRO Market」が東京証券取引所に開設されています。

これらの新興市場は、既存の市場と比較して、上場基準が緩和され、審査も短期間で済むようになっています。しかし、上場基準が緩和されている分、投資家にとって新興市場は、「ハイリスク・ハイリターン」の市場であるといえます。

3. 株式上場のメリットと社会的責任の発生

会社は、株式を上場して資金調達を多数の一般投資家に求めれば、資金調達の多様化が図られ、更なる会社の成長が期待できます。

その一方で、株式を一般投資家に開放して証券市場に流通させることで、会社にとって見ず知らずの株主が参加してくるため、投資者保護の見地から「上場会社としての適格性」を問われることになります。会社は、株式を上場することで、パブリックカンパニーとしてタイムリーな企業内容の開示やより高いコンプライアンス等が要求され、より高い社会的責任を負うことになります。