ベトナム - 裾野産業に対する優遇税務

ベトナム タックスアラート - 2020年8月6日

ベトナムの製造業では依然として、部品などの現地調達率が低く、製造業の国際競争力の強化にあたっては裾野産業の強化が課題となっております。そこで、ベトナムの法令により、一定の部品などの裾野産業製品を製造している企業(以下「裾野産業企業」)には、法人税の優遇措置(4年間免税、次の9年間50%の減税、売上計上後15年間は10%)が与えられています。当該措置は、2015年1月1日以降の新規投資プロジェクトや拡張投資プロジェクトなどが対象となり、広く一般的に2015年1月1日より前の期間は、優遇措置の対象とならないものと解釈されています。

ただしEYとしては2015年1月1日よりも前に進出された企業や、2015年1月1日よりも前に拡張投資を行った裾野産業企業が優遇税制を適用できないのは不公平であると考えております。一方、政府としても、裾野産業については優遇していく方針であるため、現在優遇税制を適用できていない裾野産業企業も、優遇税制適用をトライすべきであると考えております。当該優遇税制の適用時期につき、公式に改正が行われるかどうかは現時点で決まっておりません。そのため、2015年1月1日より前の期間についての優遇措置を受けることができるかはケース・バイ・ケースで個別に確認する必要があります。

本件に関し、EYでは従前から政府に対し、当該適用時期の拡大につき交渉しており、該当する企業の皆さまにおかれましては、十分に優遇税制適用の可能性があるものと考えております。

EYの経験では、優遇措置を申請するためには、以下のステップを実施する必要があります。
  1. 優遇措置確認書(「Incentive Confirmation, IC」)の発行の申請
    確認書を取得するため、ICの申請書を商工省に提出する必要があります。提出日より30営業日以内に結果が発行されます。
    このステップでは、商工省は会社によって製造された製品が、裾野製品に該当するかどうかを判断します。
  2. 優遇措置の税務ルーリングの作成
    ICを取得した後、税務当局に優遇措置が適用されるためには、税務当局と調整する必要があります。
    ただし、実務上、商工省からICが発行されている場合、税務当局とのルーリング手続きは複雑にはならないケースが多いです。

法令が不明確であるため、プロセスの結果には不確実性が残りますが、優遇措置のベネフィットは大きいためEYで上記の手続きを全力でサポートさせていただけますと幸いです。製造業の皆さまにおかれましては、添付のファイルから貴社製品が裾野製品に該当する可能性がありそうかご確認いただき、該当する可能性が少しでもある場合には、弊社までご連絡いただければと存じます。

”裾野産業への税務上の優遇措置の概要”をダウンロード