第1章
バイオ医薬品業界のM&A︓取引件数は増加、⾦額は減少
対象企業のバリュエーションが割⾼となり、ディール締結のリスクが上昇したことを受け、バイオ医薬品業界では開発後期段階にある、優先度の⾼い疾患領域の資産が⼈気を集めました。
2020年、バイオ医薬品業界はレジリエンスを発揮して、パンデミックを収束へと導く治療法とワクチンの開発に速やかにかじを切り、新型コロナウイルス感染症拡⼤の荒波を乗り切りました。「何かを達成したいと本気で思えば、これまでにないほど迅速に対応できることを業界全体が実感しています。⼈類と社会が直⾯する脅威への認識、そしてバイオ医薬品業界(中略)が今後⼤きな課題に対応する必要があるとの認識が⾼まってきました」とメルク(Merck)のCEO、Stefan Oschmann⽒は語っています。
私たちが⼒を⼊れてきたのは、全ての事業で新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対するソリューションの提供を積極的に推し進めることであり、それは今も変わりません
このように⾼いレジリエンスを維持したこともあり、バイオ医薬品業界の業績は全体的に予想を上回ることができました。パンデミックが始まったばかりの頃、ウォールストリートではアナリストの多くが、⼤規模なリモートワークへの移⾏により研究に⽀障を来し、その結果臨床開発のスケジュールに影響を及ぼすと警鐘を鳴らしました。どうしても必要な場合を除いて患者が受診を延期する中、新たに発売された治療薬をはじめとする医薬品は収益が⼤幅に減少するとの懸念もありました。
ところが、特定の治験で遅延が⽣じ、⼀部の医療⽤医薬品は苦戦しているものの、データを⾒る限りでは、業界は当初予想されていたよりもはるかにうまくパンデミックを乗り越えてきています。強固なサプライチェーンを築き、ワクチンをはじめとする新型コロナウイルス感染症関連の製品へ速やかにかじを切ったことが奏功し、ファイザー(Pfizer)やアストラゼネカなどの⼤⼿製薬会社が受けた影響は短期的な売り上げ減少にとどまっています。その結果、各企業の売り上げ増加と、業界全体の売り上げ拡⼤の格差と定義されるグロースギャップは2020年、600億⽶ドルから350億⽶ドル弱に縮⼩しました。
こうした業界のグロースギャップの縮⼩によって、特定の買い⼿側バイオ医薬品企業にかかっていたM&A圧⼒は弱まり、短期間での成⻑を⽬指すのではなく、将来的なケイパビリティの構築に向けたパートナーシップへと⼒点がシフトしました。バイオ医薬品業界の2020年のM&A件数は2019年とさほど変わらなかったものの、取引額は前年⽐で51%減少しています。そんな中、英アストラゼネカはアレクシオン・ファーマシューティカルズの買収により、希少疾患分野において強⼒な⾜場を固めることができました。これは、ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)によるイミュノメディクス(Immunomedics)の買収と合わせて、2020年の2⼤M&Aであり、バイオ医薬品業界の年間取引総額の50%を占めています。
バリュエーションの⾼騰と証券市場の堅調さも取引総額の減少を招いた⼀因です。対象企業はほぼ1年間、かなりの流動性にアクセスすることができ、強い⽴場でディール条件の交渉に臨んでいました。事実、2020年は、上場しているバイオ医薬品企業の公表前⽇の株価に対するプレミアムは平均で74%に上っています。
このようにプレミアムが⾼いことで、株主に利益を還元することが⼀層難しくなり、買い⼿は慎重になっています。資産の取得に多額の資⾦を投⼊しているため、買い⼿がそのコストを回収し、増収を図ろうとすると、臨床的にも、商業的にも失敗はできません。さらに⾔えば、このような懸念が⽣まれるのは、その資産が価値のあるものであることに合意できる場合のみです。バリュエーションギャップ(同じ資産に付けたバリュエーションの買い⼿と売り⼿の間の差異)が開きすぎて、埋められないケースが多いのが現状です。
「バイオベンチャー企業の経営幹部と取締役は⼤幅にプレミアムが乗せられることを期待しますが、こうした期待とバリュエーションの上昇が相まって、合意できる価格への筋道を困難なものにしています」とブリストル マイヤーズ スクイブのMily⽒は述べています。結果的に、「資産価値について取引当事者が合意することは⾮常に難しく、それがバイオ医薬品業界のM&Aで、このところ⼊札者が著しく少なくなった理由です。こうした状況の中、価値の合意は⾮常に厳しくなっています」
One-day deal premium
74%The average biopharma deal premium in 2020, which declined only 7% despite the market volatility.
買収プレミアムが⾼騰を続ける中、買い⼿が特定疾患領域のボルトオン買収に⼒を⼊れていたのは当然といえば当然のことです。ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)によるモメンタ・ファーマシューティカルズ(Momenta Pharmaceuticals)の買収と、ブリストル マイヤーズ スクイブによるマイオカーディアの買収は、こうしたトレンドの⼀例です。このように的を絞ったM&Aが業界の「⼿法」であり続ける理由の1つに、それが業績に結び付くことがあります。「2019年版 EY M&A Firepowerレポート」に掲載されたデータを⾒ると、疾患領域に特化する姿勢と業績との関係がよく分かります。
最新データもやはりこれを裏付けています。バイオ医薬品企業上位25社の財務実績を5つの経営・財務指標から分析した結果、疾患領域に特化する10社の業績が、多⾓化の進んだ15社の業績を上回っていることが判明しました。後者の数字が前者を上回っている唯⼀の指標は、株主総利回りの平均でした。
バイオ医薬品企業が集中による成⻑を成し遂げるための⼿段は、M&Aだけではありません。提携もまた、将来のイノベーションに⼿が届きやすくなるメカニズムです。2020年は、バイオ医薬品企業の提携活動が件数、⾦額ともに急増しました。11⽉30⽇までに成⽴したパートナーシップは261件で、前払いとマイルストーン⽀払いの⾦額が1,400億⽶ドル近くに達します。
こうした数字が⽰唆しているのは、提携かM&Aかを選択する際、現在の状況には提携の⽅が適していると考えるM&A担当者がバイオ医薬品業界には多かったということです。EYのインタビューの中で、ファイザーのグループプレジデント兼最⾼業務責任者(CBO)を務めるJohn Young⽒は次のように語りました。「主に、当社の中核的な疾患領域の開発初期から開発中期のパイプラインを探しています。価値創造の⼤きなポテンシャルを秘めているからです」
ビオンテックへの投資と同社との関係拡⼤は、⻑期的な連携がいかに両者に価値をもたらし得るかを⽰す好例です
ファイザーはmRNAワクチンを開発したビオンテックと2018年に結んだ関係を拡⼤させましたが、この動きは、2020年になって⼤⼿バイオ医薬品企業の間でいかに全⾯買収より連携・協業が好まれたかを⽰す1例と⾔えます。メルク(Merck & Co. Inc.)と抗体薬物複合体を開発するシアトル・ジェネティクス(Seagen)の提携、バイオジェン(Biogen)と中枢神経系疾患の治療に⼒を⼊れるセージ・セラピューティクス(Sage Therapeutics)の提携も同様です。これらの報酬はマイルストーン⽀払いを含めると、M&Aの取引額に相当する⾦額です。それでも、前払い⾦額はパートナーを全⾯買収するコストの数分の⼀でした。
2021年も、バイオ医薬品企業は引き続き決断⼒を持ってM&Aを⾏う必要があるでしょう。財務規律を守ることも必要です。そのため、買い⼿はおそらく、マイルストーン⽀払いと株式での⽀払いを組み合わせたボルトオン買収や提携に重点を置き、⾦銭的リスクを軽減する買収構造を好む傾向を強めるはずです。メガディールについては、必要な短期的収益を⽣む⽅法が他にない限り、⼤規模な統合と業務上の諸課題を伴うことから、今後も選択肢としての魅⼒が⾼まることはないでしょう。
最⼤の不確定要素︓予想以上に治験の遅延が増えたり、売り上げが鈍化したりすると、実際のグロースギャップの拡⼤率が現在の予測を上回る可能性があります。このようにグロースギャップの拡⼤が加速した場合、短期的に収益を増やすことができる買収を⾏う緊急性が増すはずです。これまでの例からみて、こうした買収はプレミアムが⾼くなります。
2020年のバイオ医薬品企業のファイヤーパワー利⽤率は、2019年の20%を下回る12%にとどまりました。しかし、先に述べたような買収を⾏うためには、これを⼤幅に上回るファイヤーパワーの利⽤が必要となるでしょう。また、これまでの資本配分の⽅法から脱却することも求められます。膨⼤な⾦額に上った2019年のM&A⽀出を計算に⼊れても、バイオ医薬品企業の収益上位25社が2015〜2019年の5年間に株主に還元した⾦額は、その間M&Aに費やした資⾦を2,000億⽶ドル近く上回っています。今後、バイオ医薬品企業が追加投資を検討する可能性があるのは、遠隔医療の⼤規模な展開に必要なデジタルスキルとデータセントリック技術です。
第2章
医療機器業界のM&A︓取引件数は減少、取引⾦額は増加
2020年の医療機器業界の取引件数は減ったものの、その規模は拡⼤しました。多くの企業がレバレッジを⾼めており、2021年にはディールが活発化する兆しを⾒せています。
2019年は、医療機器業界で企業買収を⾏うより、株主に資⾦を還元する傾向が⾒られ、M&Aで保守的な姿勢が⽬⽴ちました。新型コロナウイルス感染症の拡⼤により、関係構築からディールの実⾏と成⽴に⾄るまでM&A取引のあらゆる側⾯に⽀障を来す中、2020年上半期も2019年同様にM&Aが少ない状況が続きました。
しかし、業界として2020年上半期を振り返ったときには、おそらく嵐の前の静けさだったと思うことでしょう。実際、2020年下半期には取引件数の増加が発表されました。仮にこの傾向が続くのであれば、2021年は最終的に医療機器業界全体のM&Aが持つ優位性が存分に発揮される年になるかもしれません。ライフサイエンス分野で2020年に⾏われた最も規模の⼤きな2件のディールが、その可能性を予感させます。1件は、8⽉のシーメンスヘルシニアーズ(Siemens Healthineers)によるバリアン メディカル システムズ(Varian Medical Systems)の買収です。164億⽶ドルのメガディールでした。9⽉後半には、イルミナ(Illumina)が80億⽶ドルでグレイル(GRAIL)の株式の100%を取得すると発表しました。グレイルは元々2017年にイルミナからスピンアウトした、リキッドバイオプシー分野をリードする企業です。
医療機器業界のファンダメンタルズも、M&Aが中⼼に躍り出る絶好のタイミングであることを⽰唆しています。2020年は、医療機器業界のディールのファイヤーパワーが41%拡⼤し、過去最⾼を記録しました。業界の売り上げ上位企業はこの1年間、堅調な証券市場の恩恵を受けて、主に負債や公募増資により、多額の資⾦を調達しています。その⼀⽅で、医療機器企業全体の1年間のファイヤーパワー利⽤率は2020年11⽉30⽇時点でわずか7%でした。結果として、⼤⼿医療機器企業には潤沢な資本の蓄えがあり、2021年には、その気があればこの資⾦を企業買収に充てることができます。
新型コロナウイルス感染症とそれに伴う不確実性がきっかけとなり、医療機器業界の買い⼿企業の間でこのような資⾦調達競争が起きたと考えられます。新型コロナウイルス感染症の拡⼤によって欧⽶で⼿術の延期や中⽌が相次ぎ、業界の成⻑に⼤きな悪影響が出ました。事実、医療機器企業上位35社のグロースギャップは90億⽶ドル拡⼤し、290億⽶ドルに達しています。2020年下半期になり待機⼿術などが再開され、⼿元資⾦を維持しなければならないというプレッシャーが和らぐ⼀⽅、資本準備⾦を早急に企業買収に使う必要性が⾼まったと企業は感じているように⾒受けられます。ただ、さまざまな国・地域で新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が急増しており、こうした姿勢が今後変化する可能性もあります。
バイオ医薬品企業と同様、医療機器企業にとってもM&Aは⾃社のグロースギャップ解消に役⽴ちます。対象企業のバリュエーションは⾼⽌まりしていますが、中⼩医療機器企業が間もなく流動性の問題に直⾯する兆しが⾒られます。2020年上半期は、ベンチャーキャピタル投資とIPOが減少したことで起業して間もない医療機器企業が新たな課題に直⾯しました。下半期になってベンチャーキャピタル、IPO共に投資⽔準が回復したとはいえ、世界的な経済情勢が影響し、中⼩企業はあまり好ましくない条件でも買収を受け⼊れざるを得なくなるかもしれません。エグジットを急ぐこのような事態が現実のものとなれば、医療機器業界をリードする企業にとっては、買い⼿市場のときに⼿元資⾦があるという、人もうらやむ状況にいる可能性があります。
Medtech growth gap
US$29 billionThe medtech industry’s growth gap increased 45% in 2020 as procedures were delayed or canceled.
医療機器業界では、⼤きな市場ポテンシャルを秘めたイノベーションを⾒極めることが、かねてから買い⼿にとっての課題の1つでした。これは特に治療機器分野において顕著です。⼼臓⾎管・整形外科⽤製品の開発には数⼗年にわたる投資が必要であり、こうした製品の改良は難しく、新しいソリューションを⽣み出そうとすると返済というハードルが⽴ちはだかります。
その⼀⽅で、新たな機会が医療機器業界の別の分野で⽣まれつつあります。その1つが診断分野です。診断機器企業は2020年、最前線に⽴ってパンデミックと闘いながら従来の対⾯型で⾏われる医療とは異なる診断⽅法を可能にしました。医療分野で遠隔診断、遠隔トリアージ、遠隔医療の重要性が増しており、これは医療機器企業がこれらの製品分野に進出したり、これらの製品をポートフォリオに加えたりする強い動機となっています。このような遠隔医療への移⾏は、2020年の出来事が加速させた、医療分野のより幅広いシフトのほんの⼀部にすぎません。2021年は、医療機器企業もバイオ医薬品企業も対応を迫られることになるでしょう。
第3章
2021年に向けて
来年も的を絞ったビジネスモデルを構築する必要があるでしょう。
パンデミックによって複数の業界で成⻑が鈍化し、財務上、業務上の圧⼒が新たに⽣まれています。その結果、ライフサイエンス分野全体で2020年のM&A活動が低迷しました。⼀⽅、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの買い⼿が活動を控えた反⾯、医療分野では幅広いトランスフォーメーションが加速しています。
何年も前から、デジタルテクノロジーとデータアナリティクスを活⽤すれば、より便利で優れた医療に⼿が届きやすくなると吹聴されてきました。世界的な公衆衛⽣危機は、不便で⼀貫性がなくアナログ的なものだった医療を、デジタルを活⽤した便利でシームレスな医療へ迅速に移⾏できることを図らずも実証する結果となりました。2020年上半期の迅速な遠隔医療の導⼊は、ヘルスエコシステムの進化のほんの⼀例にすぎません。
もう1つの例が、テラドック(Teladoc)によるリヴォンゴヘルス(Livongo Health)の買収です。リヴォンゴヘルスは疾病の個別化管理ツールを開発するスタートアップで、取引額は180億⽶ドルを超えています。このM&A案件は、2020年における最⼤規模のディールの1つであり、デジタルテクノロジーと伝統的な診断⽅法・機器の融合によって医療の在り⽅を永久に変えられることを⽴証しました。
だからこそ、従来型のバイオ医薬品企業や医療機器企業ではなく、ヘルスサービスを⼿掛ける企業が買い⼿であった点が注⽬を集めました。ライフサイエンス企業が将来の成⻑を⾒据えた準備を⼗分に整えるためには、データアナリティクス、ユーザー中⼼設計、製品の個別化を含めて、従来の製品中⼼型イノベーションを補完するテクノロジーに継続的に投資をする必要があります。
2021年になり、ライフサイエンス企業が事業戦略を⾒直していることから、テラドックによるリヴォンゴの買収を受けて、多くの企業がデジタルテクノロジー関連のM&Aを今まで以上に念入りに検討するようになることが予想されます。この分野では、バイオ医薬品企業の間で明らかに従来型イノベーションを好む傾向が⾒られた2020年の取引件数を、2021年では確実に上回ることになるでしょう。
2020年の「レジリエンス」のように、2021年にたちまち合⾔葉となる最有⼒候補と⽬されているのは「フォーカス(集中・重点)」です。新型コロナウイルス感染症拡⼤による影響で最も⻑く続くものの1つとして、遠隔医療の⼤規模な展開を⽀えるビジネスケイパビリティの需要が考えられます。しかし、こうしたケイパビリティの構築に必要な投資をバイオ医薬品企業や医療機器企業が⾏うにあたり、戦略的に考えてどこに賭けるべきかをより慎重に検討することが不可⽋です。真に画期的なイノベーションの実現から、⼿の届きやすい慢性疾患の個別化管理まで、さまざまなビジネスモデルがありますが、他社よりも優れた業績を上げるには、それぞれまったく異なる疾患領域の製品を販売するわけにはいきません。卓越した業績を達成するために極めて重要な差別化を⽣むケイパビリティへの投資に必要な⼈的資本と⾦融資本を⼗分に確保することは、今後は難しくなるでしょう。
2021年は、このような優先順位付けがM&Aで重要な意味を持ちます。治療の幅を広げる製品やサービスに重点を置くことに加え、これらの資産を、⾃社が選んだコマーシャルモデルに沿ったものにすることを望む企業もあるかもしれません。その前に、事業戦略に沿わなくなった事業の売却やスピンアウトを早急に⾏う必要性が増す可能性もあります。EYの分析結果は、バイオ医薬品企業が先を⾒据えて事業を売却することで集中が可能になるだけでなく、業績を向上させることができることも⽰唆しています。
バイオ医薬品企業と医療機器企業が将来に向けたリポジショニングを図る中で、今後もM&Aが重要なツールであり続けることは間違いありません。新型コロナウイルス感染症に対する不安が徐々に解消されるにつれ、特に保険者や個々の患者など、多様で多くを要求するようになったエコシステムの顧客のニーズを満たすデータやケイパビリティに、企業は重点的に投資する必要があるでしょう。より便利でシームレスな医療を可能にするスキルへの投資を先送りしているバイオ医薬品企業や医療機器企業は、医療を最も重要な成⻑分野と位置付けるテクノロジー企業や消費財メーカーと競い合うことが難しくなるかもしれません。
サマリー
新型コロナウイルス感染症のパンデミックとそれに伴う厳しい経済情勢でディール環境が悪化する中、バイオ医薬品業界は、特定の疾患領域を対象とした提携や中⼩規模のボルトオン買収に関⼼を寄せるようになりました。⼀⽅、医療機器業界では進化する医療システムのニーズに狙いを定めた領域である、診断・個別化医療のケイパビリティに注⽬が集まりました。こうしたトレンドを踏まえると、2021年は少なくとも取引総額の⾯でディールが活発化する可能性が⾼いでしょう。