健康長寿社会のプラス面を捉える

執筆者 Pamela Spence

EY Global Health Sciences and Wellness Industry Leader and Life Sciences Industry Leader

Ambassador for outcomes-based performance and healthy aging. Advocate for women.

3 分 2016年12月31日

高齢化は世界的規模で起きている変化の五大要因の一つであり、深刻な人口構造の変化がイノベーションを喚起しています。

2017年1月、世界経済フォーラムは、世界的規模で起きている変化の五大要因の一つとして高齢化を挙げました。高齢化に伴う疾病の治療費が高騰し、世界的に医療システムや国家・企業レベルでの政策がその波に飲み込まれる危機にひんしています。そんな中、高齢化の問題を人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)などのテクノロジーの飛躍と同レベルのディスラプションをもたらすメガトレンドとして、捉える必要が出てきています。

このような環境下で、高齢化対策費の増大によって他の重要施策が削られてしまう前に、各国の政府・企業・個人が一体となって行動しなければなりません。全世界が一丸となり、高齢化に伴って発生する疾病に対応していく余裕がもはや無いことを認識し、企業や個人が活気を取り戻すための戦略を見いだしていかなければならないのです。

高齢化社会のプラス面を捉えるためには、健康とは何かという定義付けを行うことと合わせて、異なるステークホルダー間でインセンティブを連動させるなどして、官民一体となって、健康社会の基盤を築き上げていかなければなりません。健康に対する考え方を転換し、投資価値のある長期資産として再定義することや、さまざまなツール、テクノロジー、データ、行動経済学などを通じた人間一人一人の自立が必要になります。 

その一環として、各国政府は若い世代、特にベビーブーム世代、ミレニアル世代、X世代に対して健康意識の向上や保健活動への積極的参加を促すインセンティブを積極的に支援していかなければなりません。

これとは別に、規制当局はビジネスの発展スピードに合わせてテクノロジーの変化に適応した法制度を整え、イノベーションを奨励していく必要があるでしょう。最後に、企業が連携して製品やサービスをまとめて斬新で拡張性のあるプラットフォームとして提供し、個人の生活のニーズを充足していくことが求められます。

健康増進のインフラをつくるための四つの柱

1. 健康長寿の指標

「健康とは何か」をよりよく定義付けすることができて初めて、「改善とは何か」についてのコンセンサスを得ることができます。政府と納税者が、実生活の中で新しいソリューションの利用を支援するのであれば、そのソリューションは双方が合意した改善結果をもたらすものであることが必要です。

2. データの新しい組み合わせ

主要な生物学的指標をモニターする新しいモバイルテクノロジーは、消費者の行動に抜本的で前向きな変化をもたらすと考えられます。今後は、遺伝子データやプロテオミクスデータをウエアラブル、環境センサー、TwitterやFacebookなどのソーシャル・ネットワーキング・サービスなどから集めた情報と結び付けて、特定の疾病のリスクや発病のタイミングを特定しやすくすることが重要になります。

3. インセンティブの連動

官民各組織の間には、健康長寿社会の目標や達成時期についてそれぞれ異なった動機付けがありますが、プラス面を捉えていくためには、インセンティブを連動させ、大きな枠組みでの「勝ち」を収めなければなりません。これを急速に進めていくための重要な要素として、さまざまなステークホルダーによるアライアンス構造が考えられます。このアライアンス構造では、ステークホルダーはあらかじめ設定されたお互いに有益なタイミングでの、パートナーシップへの参入および離脱が可能です。

4. 目的の共有

健康長寿社会の確立に向けたソリューションが、先進国の富裕層だけが享受できるものになってしまったら、それは「健全」でも、真の「解決策」でもありません。目的を共有するということは、健康長寿はぜいたく品などではなく、基本的権利であると認識することでもあるのです。

この人口構造のディスラプションの中にある希望の光

この深刻な人口構造の変化によって、とてつもないイノベーションが起きています。向こう3年から5年が、従来型のカスタムメイドでサイロ化されていたソリューションを、多くのテクノロジーやスキルを包含したより幅広いプラットフォームを基盤としたサービスへと統合するチャンスです。

高齢化は避けられないことかもしれません。しかし「どう年を取るか」は私たち次第です。

サマリー

各国の政府、企業、市民が一体となって、「年を取る」ことをより健全で誰にでもある基本的な権利にしていかなければなりません。

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執筆者 Pamela Spence

EY Global Health Sciences and Wellness Industry Leader and Life Sciences Industry Leader

Ambassador for outcomes-based performance and healthy aging. Advocate for women.

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