今後生じる特許切れと科学の進歩の速さを考えると、M&Aとアライアンスの両方が今後も引き続き検討課題となるのは確実でしょう。
高額な買収プレミアムは2022年も引き続き、買い手側の大手バイオ医薬品企業にとって障害となるでしょう。有力な臨床データが含まれた後期開発段階または市販段階の資産は、特にがんなどの競争の激しい治療分野では引き続き高額で取引されるでしょう。しかし大手企業の中にはM&Aに投入できる多額の現金資金を有する企業もあり、それを足固めに使う圧力が高まるかもしれません。そうした買収が行われれば、過去2年間減少傾向だったバイオ医薬品企業の取引額が上昇に転じることもあり得ます。
しかし大半の企業には、首位の座を買う資金や意向はないでしょう。そうであればアライアンスが第一の優先事項となります。
こうした理由から、2022年の戦略は2021年の戦略を継続することになるでしょう。企業が今後考慮すべき点は以下の通りです。
- 成功が不確実なメガ案件に支出するリスクを取るよりも、ボルトオン型買収を行う方が有利
- M&Aを実行する資金を確保するためにダイベストメント(資産売却)を模索
- 取引当事者間でリスクとリターンを等しく共有する戦略的関係など、パートナーシップや戦略的提携を優先
こうした環境の中、成長目標の達成を目指してより賢く早く、戦略的にパートナー選びを模索するバイオ医薬品企業が増えるにつれ、M&Aはそれを支える役割を帯びることになるかもしれません。
サマリー
取引を行うファイヤーパワーに余⼒があることから、バイオ医薬品企業はボルトオン買収やパートナーシップに注力するとともに、成長目標達成のための資金調達としてダイベストメント(資産売却)を模索することになるでしょう。