12 分 2020年8月26日
子供を優しく見守る両親

社会契約の再定義で企業に求められる5つの方法

執筆者
EYQ

EYQはEYのシンクタンクです。

EYQは「来たる未来の先に何があるのか」を考察することによって、リーダーたちが未来を形づくるフォース(要因)を予期するサポートをし、ディスラプション(創造的破壊)のチャンスをつかみ、より良い社会の構築していくための力を与えます。

Gautam Jaggi

EY Global Markets EYQ Global Insights Director

EYQ analyst exploring what’s after what’s next. Focus areas: disruption, megatrends, behavioral economics, health, future of work, AI. Passionate about photography, travel and music.

EY Japanの窓口

EY Japan Market Segment Leader, Government & Public Sector , Ernst & Young ShinNihon LLC, Partner

プロフェッショナルとしての知見と情熱をクライアントに届けます。

12 分 2020年8月26日

パンデミックは、社会契約の脆弱性を露呈しました。将来の成功に向けて、各企業は社会契約の再構築を担う必要があります。

本記事は、EYメガトレンドレポート2020からの抜粋です。

要点
  • 所得格差の拡大や、気候変動などの問題により、社会契約は何年も前から持続不可能な方向に進んでいました。
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって平等・格差の問題が深刻化し、社会契約には厳しい視線が注がれていますが、同時にその強化を図ろうという機運も高まっています。
  • 今後は、社会契約が抱える問題を解決し、社会的課題に対処することが企業のリーダーに求められるでしょう。
Local Perspective IconEY Japanの視点

社会契約とは、国民と政府、労働者と雇用主など社会の主要ステークホルダー間における暗黙または明白な合意であり、人々が共に社会で暮らしていく上での基盤を形成するものです。

これまで日本では社会契約を意識することが少なく、暗黙の期待と応答でやり過ごしてきたところがあります。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、国民や労働者などの期待が大きく変化してきた今、政府や企業は社会契約の存在を再認識し、見直す必要があります。政府や企業は、国民や労働者などの期待を受け身でとらえるのではなく、積極的に働きかけ、人々が何を期待するのかを自らつかみに行くことが求められます。

 

 

担当窓口

伊澤 賢司
EY Japan Market Segment Leader, Government & Public Sector , Ernst & Young ShinNihon LLC, Partner

世界中の多くの地域では、長年にわたり社会契約に対する圧力が強まっています。格差がその最⼤の原因になります。グローバル化やテクノロジーの進歩によって経済成長が加速したことで、1990年以降に貧困から抜け出した人は10億人を超えます。国内や国家間の所得格差が縮小した一方で、経済格差の大幅な拡大、社会不安の広がり、ポピュリズムやナショナリズムの広がりという逆の現象が多くの社会で⽣じました。

そのため、メガトレンドレポート2018で私たちが述べているように、社会契約は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の前から持続不可能な方向に進んでいたのです。人工知能(AI)は労働市場に対して大規模な混乱を招く可能性があり、対策が講じられなければ経済格差をこれまでにないほど拡大させ、社会契約が破綻に追い込まれることは明らかでした。気候変動など、一致団結して対応すべき課題の緊急性の高まりもまた、社会契約を持続不可能なものにした要因の一つです。

  • 社会契約とは

    社会契約とは、国民と政府、労働者と雇用主など社会の主要ステークホルダー間における暗黙または明白な合意であり、人々が共に社会で暮らしていく上での基盤を形成するものです。

    社会契約には、その社会全体の優先傾向が反映されます。米国の社会契約では個人の自由が優先される傾向にあるのに対し、東アジア諸国の社会契約で重視されているのは集団の利益です。こうした根本的な優先傾向は、公共政策、規制の枠組み、労働者の保護、社会的セーフティネットのほか、医療、教育、国家安全保障、インフラなど公共財の提供方法にも反映されています。

(Chapter breaker)
1

第1章

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の拡大は社会的弱者に対して甚大な影響を及ぼしており、格差に対する認識を強めています。

今回のパンデミックは、さまざまな面でさまざまな動きがあったように、その力を加速させ、影響を増大させています。新型コロナウイルス感染症の拡大により経済格差が広がり、特に経済的に恵まれない地域やそこで暮らす人々が、その影響を大きく受けています。かねてから、自動化が進むことで労働力の大規模な混乱が起きるとの見方がありましたが、パンデミックによる経済の混乱で、突如、これが当面の大きな問題として浮かび上がりました。一方で、この問題に対する認識と行動に関して切迫感が高まってきており、よりレジリエントな社会契約を結ぶさまざまなモデルに注目が集まっています。

格差の拡大

オックスファムの調査は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって5億人が貧困線以下の生活水準にあると推察しています。それは、全世界の貧困率が10年以上前の水準に逆戻りすることになります。その一方で、株価など資産価値が上昇し続け、富裕層はますます裕福になっています。今回の危機発生から数カ月間で、米国の億万長者が保有する資産の総額は推計で5,000億米ドル増えました。

このような格差の広がりは、新型コロナウイルス感染症が社会的に最も弱い層に甚大な影響を及ぼしているためです。そして、その原因は次のような社会契約の弱点にあります。

医療格差

社会がパンデミックへ対応する中、人種、民族上のマイノリティグループでは高い罹患率や死亡率を示し、医療格差がみられました。こうした格差によって、マイノリティでは慢性疾患の持病を持つ傾向が高く、新型コロナウイルス感染症にかかりやすい人が多くなっています。また、マイノリティグループは健康保険を利用できることが少ないため、病気にかかると経済的負担が大きくなります。

労働者保護の不備

スーパーの店員から公共交通機関の従業員や食肉加工工場の作業員まで、日常生活を支える職に就いている「エッセンシャルワーカー」は、その労働条件により、今回の危機で大きな感染リスクにさらされています。

経済的脆弱性

このような深刻な危機を切り抜けるための経済的な保護がほとんどないまま、格差問題はワーキングプアを置き去りにしました。その上、低賃金労働者は一般的に貯蓄もあまりなく、無給休業を余儀なくされると生活が立ち行かなくなります。インターネットで単発の仕事を受注するギグエコノミーで働いている者から、統計の数字上には表れないような途上国のインフォーマルセクターといった、リモートで働くこともできず、失業保険など社会的セーフティネットによる保護も受けられない人たちがかなりいるのが現状です。

狭い居住環境

今回の危機では、その居住環境が貧困層の感染リスクを高めています。住居が狭いため、ソーシャルディスタンスをとったり自宅隔離をしたりすることが難しい上に、衛生状況もあまり良くありません。その結果、シンガポールの移民労働者の宿舎、途上国のスラム街、米国の都市の貧困地域などが、パンデミックの甚大な影響を受けているのです。

変化の機運

今回の危機には、格差に対する意識を高め、格差是正と、社会契約の基盤をより持続可能なものにすることへの幅広い支持を生んだという側面もあります。その経緯は、以下の通りです。

まず、パンデミックがニュースで広く取り上げられ、特に弱者が過度な犠牲を強いられたことが大きく報道されました。リスクと不確実性が高まり、大切な人の命が危険にさらされる中、ニュースに注目する人が増えました。利用者の嗜好に合わせた情報ばかりが提示される「フィルターバブル」から抜け出し、正確な情報を知りたいという意欲が人々の間で高まったことにより、パンデミックが起きる以前よりも経済格差に対する認識が強まったのです。

次に、今回のパンデミックで、社会に暮らす以上はすべての人がつながっていることを、私たちは痛感しました。それは、社会の安定になぜレジリエントな社会契約が不可欠なのか、その理由でもあります。これは、パンデミックでは逃れようのない現実なのです。有給休暇がなく、無給休業になると生活ができない低賃金労働者は、体調が優れなくても出社する傾向にあるため、全ての人を危険にさらします。医療機関へ行くことができない人たちは、検査や治療を受ける可能性も低いため、全ての人を危険にさらします。狭い住居に暮らす人たちは、ソーシャルディスタンスをとることが非常に困難です。これは、全ての人を危険にさらします。

パンデミックがニュースで広く取り上げられ、特に弱者が過度な犠牲を強いられたことも大きく報道されました。今回のパンデミックで、社会に暮らす以上はすべての人がつながっていることを、私たちは痛感しました。それは、社会の安定になぜレジリエントな社会契約が不可欠なのか、その理由でもあります。

パンデミックを受けて、各国政府は、社会契約の最も弱い部分を応急的に手当てする対策を講じました。関係法案はイデオロギーに関係なく幅広い支持を得て可決されています。社会への信頼が損なわれ、政治の二極化が進む中、これは注目に値すべきことです。多くの国が新型コロナウイルス感染症の検査の無償化や助成金支給を開始しました。経済協力開発機構(OECD)は加盟国の半数ほどが、感染した労働者を対象とする有給休暇制度を拡大または開始したと報告しています。

国民の多くが一時帰休や一時解雇になる中、各国政府は新規失業者の支援策を拡充しました。具体的には、米国の雇用保険金支給額の引き上げや、多くの欧州諸国の給与助成などです。移民労働者の狭い宿舎でのクラスター発生による感染者急増を受けて、シンガポールでは密集を避けた寮が建設されました。ボツワナでは、食糧の配給、企業の給与助成金、生活必需品の価格凍結などを盛り込んだ幅広い支援制度が行われています。アフリカでは、食糧の配給、現金給付、公共料金の支払い免除といった、支援策をスタートさせた国がほかにも多くあります。世界銀行は、今回の危機を受けて社会的保護政策や労働市場政策を導入または修正した国が推計で126カ国に上るとしています。

ただし、こうした措置は多くの場合、一時的な解決策にとどまり、抜本的な改革にはなりません。新型コロナウイルス感染症の検査の無償化は、医療へのアクセスの拡大とは異なります。その一方で、今回の危機は、幅広い改革を行い、社会契約の基盤をより持続可能なものにしようという機運も生んでいます。ユニバーサル・ベーシック・インカムなどの革新的な所得支援制度が改めて検討されるようになってきました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い消費者や市民からの圧力が強まり、企業が社会的課題に対してより大きな責任を担うことを余儀なくされる中、ステークホルダー資本主義(企業は投資家以外のステークホルダーにも責任を負うべきだとする考え方)への転換が進みつつあります。

こうした状況は社会不安の拡大も招いています。ブラック・ライヴズ・マター運動や人種の平等を求める闘いが今、世界中で継続的な支持を得ているのは決して偶然ではありません。今後、この動きはさらに広がるでしょう。

(Chapter breaker)
2

第2章

次なる社会契約はどのようなものになるのか

状況に適した、そして社会の価値観と優先度を反映した解決策を、それぞれの社会が講じる必要があります。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会契約はどのように変わっていくのでしょうか? その答えは1つではないでしょう。状況に適した、そして社会の価値観と優先度を反映した解決策を、それぞれの社会が講じることになります。とはいえ、パンデミック後のよりレジリエントな社会契約には、次のような共通点があると考えられます。

公平

新型コロナウイルス感染症の拡大で、格差が広がりましたが、社会契約をより公平な内容に変えるべきだという認識と意識が高まりました。

集団重視

社会契約には個人の自由と集団の利益のどちらを優先するかについて、それぞれ異なるアプローチが長きにわたって反映されてきました。今回のパンデミックでは、利益の共有を優先する社会が、個人の自由を重んじる社会より上手く機能したことから、今後は集団の利益を重視する方向にシフトするのではないかと考えられます。企業に対して、幅広いステークホルダーの利益のために行動することを求める声が強まる中、おそらく社会契約は包括的で、組織だけでなく個人にも力を与える内容になるでしょう。

長期的

新型コロナウイルス感染症の拡大により、パンデミックにかぎらず気候変動や慢性疾患においても、長期的なリスクに注力することの重要性が実証されました。次なる社会契約では、今まで以上に長期的課題と長期的価値に重点が置かれることになるでしょう。

データ重視

今回の危機では、データに基づく対応をとった社会や政府が成果を上げており、データを活用したアプローチの有効性も証明されました。公共政策全体にもっと幅広くデータを活用すれば、派閥意識や二極化が進む今、歓迎すべき転換となり得るでしょう。その一方で、データ重視の動きは、データの権利と倫理という課題をもたらしています。パンデミックによって、こうした課題の一部がクローズアップされています。その一例が、接触追跡アプリのプライバシー保護です。データの権利、責任、所有権のバランスが取れたアプローチの下、新たな社会契約はどのように考案されるのでしょうか?

ビジネス主導

最後に、レジリエントで長期的、かつ包括的な社会契約の構築において積極的な役割を果たすことが、ビジネス界には求められるでしょう。パンデミック前から、このような圧力はすでに高まっていましたが、企業の対応に厳しい視線が注がれる中、ますます強まっています。多くの企業が、検査の実施(場所の提供)から製造(換気設備や消毒剤など)や従業員、顧客、地域社会の個人防護具の調達まで、さまざまな分野で格差是正に踏み出しています。こうした動きは今後も続くはずです。企業は、幅広いステークホルダーに対して責任を負い、次なる社会契約づくりの中心的役割を果たすことになるでしょう。

(Chapter breaker)
3

第3章

企業が取るべき5つの行動

今回のパンデミックで、個人と企業の行動が社会に与える影響への認識が高まってきました。

社会契約への圧力が強まるにつれ、企業に対する圧力も強まるでしょう。投資家に責任を負うだけでなく、従業員、消費者、市民の認識や期待に応える責任を負うことが、企業に求められてきています。今回のパンデミックで、個人と企業の行動が社会に与える影響への認識が高まってきました。

企業が取るべき行動は、次の5つです。

1. 労働者保護を強化する

企業が直ちに、そして直接的に取ることができるのは、労働者に関する行動です。労働者の保護に焦点が当てられ、社会的弱者に関する問題が深刻化する今、健康や衛生面だけでなく生活賃金、有給休暇、退職金制度などにも対応した保護の強化が不可欠です。

1世紀以上前、ヘンリー・フォードが工員の賃金を2倍に引き上げ、当時としては異例の1日5ドルにしたことは有名な話です。批判を受けたフォードは、これは会社自体の利益になると反論しました。高い賃金を支給すれば労働者の生産性が向上し、愛社精神が高まり、ひいてはフォード製自動車を購入する経済力も高まるとしたのです。この論理は、今日にも通用します。

 
  • 従業員の福利厚生プログラムは、今日のニーズの変化にどの程度沿っているでしょうか?
  • 経済・医療面で従業員が最も支援を必要としているのは何でしょうか? そうした格差を是正するために何ができるでしょうか?
 
2. 進んで立場を表明する

ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter: BLM)運動や人種の平等を支持する抗議行動が起きています。企業も、業種を問わずこれを支援する声が驚くほど高まりました。数年前であれば、政治的な問題で一方を支援する立場を強く表明することに、企業は慎重だったでしょう。政治・社会的問題に巻き込まれると、顧客基盤の多くを失う恐れがあるというのが長年の常識でした。

そうした古い方程式がどのように一変したのか、ここ数カ月の出来事を見れば明らかです。今や企業は、立場を明確にしたことで批判されることはなく、逆に行動を起こさないことで批判される恐れがあるのです。ビジネスリーダーが重視すべきポイントは、行動を起こす(ひいては、うそ偽りのないことが認知される)タイミングが極めて重要だという点です。長年、BLM問題になかなか取り組まず、最近になって慌てて態度を変えた企業は、行動を起こしても懐疑的な目を向けられ、評判を上げることはできませんでした。

このような行動もまた、企業自体の経済的利益になるのです。社会問題に対する先見性のあるリーダーとしてブランドを構築することは、人材と顧客を引き付け、つなぎとめる上で役立ちます。突き詰めると、企業には安定し、公平な社会の構築を主導する機会があり、こうした社会は、企業の成長目標の達成に必要な購買力の維持に不可欠だということです。

 
  • 新たな社会問題をどのように考えていますか?
  • 先行者として利益を手にし、評判を高めるために、どのように積極的な行動を取りますか?
 
3. 長期的価値を重視する

これらの問題に対する企業の行動で最も重要なことは、何を指標にするかです。「測定できるものは管理できる」という古い格言はいささか陳腐かもしれませんが、今日でも十分に通用します。企業レベル、政府レベルを問わず、創造した価値の測定方法が行動の幅を狭め、近視眼的姿勢を促しているのです。企業が(投資家だけでなく)全ステークホルダーに(今後3カ月間ではなく)長期的にもたらす価値を測る指標を持っていなければ、企業行動を大きく変え、それを維持させることはほぼ不可能です。

こうした指標を変えるには、企業間のみならず規制当局との協調的な行動が必要です。ビジネスリーダーには、社会的利益と自社の事業目標をうまく両立させる指標を策定する話し合いに、積極的に参加することが求められます。

 

  • 自社に適した長期的価値と幅広いステークホルダーにもたらす価値を測定するには、どのような指標を用いるべきでしょうか?
  • そのような指標を策定するために、どのようなステップをとっていますか?

 

4. 社会的・政治的リスクを監視し、軽減する

今後は社会契約の改革に向けた行動が増える一方で、社会的・政治的不安が高まるでしょう。こうした問題に対し、企業が先を見越した取り組みを行っているとはいえ、これまで以上に緊張感を持ち、事業を展開する各市場の社会的・政治的なリスクを監視する必要があります。経済大国間の技術・経済面での冷戦が激しさを増す中、すでに地政学的リスクは今回の危機が起きる前から高まっていました。パンデミックが、こうした情勢をより厳しいものにしたのです。

 

  • 社会的・政治的不安の高まりに伴う新たな地政学的リスクをどのように監視していますか?
  • これらのリスクをどのように戦略と成長計画に織り込んでいますか?

 

5. 透明性を高め、一貫性を持ち、協調する

この3つに共通しているのは、信頼の醸成と維持です。そしてこれは、企業の大きな課題でもあります。

企業が信頼を得るには、透明性と信ぴょう性のある言動をしなければなりません。消費者や市民は、企業にとって都合の良い発信・広報活動を敏感に感じ取り、それを容認することはありません。

企業が信頼を得るには、組織のあらゆるレベルで、常に一貫性を持って行動しなければなりません。一度の過ちがソーシャルメディアで瞬く間に拡散され、長年の取り組みを失ってしまう可能性もあります。文化、プロセス、管理対策の重要性がかつてないほど高まっているのです。

最後に、協調なくして信頼関係を築くことはできません。社会契約の実行可能性が戦略や成長計画の実行可能性に影響を及ぼすことから、企業は今、社会的領域に属していると言えます。しかし、本来これは社会全体の問題であり、1つの企業が単独で解決できるものではありません。他の企業とだけでなく、政府、消費者、市民と協調することが不可欠です。

 
  • 社会や目的を重視した目標の下に企業全体が一丸となる体制の整備に向け、文化、行動、管理対策をどのように変革していますか?
  • これらの目標を達成すべく、官民両セクターとどのようにパートナーシップを組んでいますか?
 

サマリー

社会契約は、経済格差などの長期的トレンドですでに揺らいでいましたが、今回のパンデミックによってさらなる圧力を受けています。今後は社会不安が高まる一方、是正策が講じられて、社会契約の基盤がより持続可能なものになるでしょう。企業にはより厳しい視線が注がれ、社会的利益への活動に対する期待が、これまで以上に高まることになります。ビジネスと政治を人為的に分ける境界は急速に消えつつあります。ステークホルダーからの期待があること、社会契約の実行可能性が戦略や成長計画の実行可能性に影響を及ぼすことから、企業は今、社会的領域に属していると言えます。今後、より良い社会契約を再構築するうえで、組織としてどのような役割を果たしますか?

この記事について

執筆者
EYQ

EYQはEYのシンクタンクです。

EYQは「来たる未来の先に何があるのか」を考察することによって、リーダーたちが未来を形づくるフォース(要因)を予期するサポートをし、ディスラプション(創造的破壊)のチャンスをつかみ、より良い社会の構築していくための力を与えます。

Gautam Jaggi

EY Global Markets EYQ Global Insights Director

EYQ analyst exploring what’s after what’s next. Focus areas: disruption, megatrends, behavioral economics, health, future of work, AI. Passionate about photography, travel and music.

EY Japanの窓口

EY Japan Market Segment Leader, Government & Public Sector , Ernst & Young ShinNihon LLC, Partner

プロフェッショナルとしての知見と情熱をクライアントに届けます。