EYが実施するアントレプレナー表彰制度『EY World Entrepreneur Of The Year(以下、WEOY)』が、2018年6月16日(現地時間)、モナコ公国のサル・デ・エトワールで開催され、ブラジルのMRV Engenharia e Participações社(以下、MRV社)の会長のルーベンス・メニン(Rubens Menin)氏が世界ナンバーワンのアントレプレナーに贈られる「EY World Entrepreneur Of The Year™2018」を受賞しました。同氏は、モナコでの受賞を目指して46の国と地域から集まった56人の「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」代表を含む761人のアントレプレナーの中から選ばれました。なお、ルーベンス氏は、南米初のWorld EOY受賞者となりました。
ルーベンス氏は、1979年に住宅建設・不動産会社であるMRV社を創設し、同社を販売戸数では南米最大の不動産開発会社、また低所得者向け住宅建設会社ではブラジルでトップの企業に成長させました。2017年、MRV社の純営業収益は14億4000万米ドルに達し、1億9700万米ドルの純利益を計上しました。これらの数字は、2007年に同社がサンパウロ証券取引所(B3)に上場して以降、目覚ましい成長を遂げたことを物語っています。2007年当時、MRV社の純営業収益は1億500万米ドル、純利益は1300万米ドルでした。従業員2万4000人以上を有するMRV社は、150以上の都市で事業を展開し、約30万戸の不動産物件を建設してきました。これらの都市では、200人に1人がMRV社の建てた住宅に住んでいます。
WEOYの審査委員長であり、Nixon Energy Investmentsの会長兼CEOのジム・ニクソン(Jim Nixon)氏は、次のように述べています。
「審査員一同、今年のWEOY受賞者としてルーベンス氏を選出し、南米初のWorld EOYを表彰できることを大変光栄に思います。私たちは、彼のイノベーションを積極的に取り入れるアントレプレナー精神に加え、より公平で平等な社会を目指す彼の理念に感銘を受けました。」
ルーベンス・メニン氏は、受賞にあたり次のように述べています。
「私は生涯を通して、家を持つことが叶わぬ願いだと思っている人々に家を持つ喜びを届けることを理念として、これまで活動してきました。それがこのような形で認められ大変誇りに思います。しかし、これで仕事が終わりというわけではありません。建設業界は市民生活にポジティブな影響をより一層もたらすことができる立場にあります。私は、お金を生み出すことだけでなく、社会を発展させることも経済的エンパワーメントになると信じています。MRV社のレガシーは今後何世代にもわたり継承されていくでしょう。」
EY会長兼CEOであるマーク・ワインバーガーは以下のように述べました。
「ルーベンス氏は明確なビジョンと決意、集中力を持ち、ブラジルの数多くの家族が初めて自分の家を持つという手助けをしてきました。彼はブラジルの困難な経済状況の中にあっても諦めずに進み続け、会社をブラジル最大の公共住宅提供者、そして南米最大の不動産開発業者に育てました。これは彼の成功への飽くなき努力を象徴しています。ルーベンス氏は真にインスピレーションを与えるWEOY受賞者です。」
EYにおけるEOYの責任者であるブライアン・ピアース(Bryan Pearce)は、次のように述べています。
「ルーベンス氏の成功と情熱は、World EOY受賞に値するものです。彼はMRV社をファミリービジネスとして、次の世代にバトンタッチしました。これからは、ルーベンス氏の息子、甥、娘が、ルーベンス家の素晴らしいレガシーを守りながら、ブラジルのみならず世界の多くの人々に住宅を提供し続けていくでしょう。」
ルーベンス・メニン氏とMRV Engenharia e Participações社について
ルーベンス・メニン氏が起業しようと思ったのは、多くのブラジル人にとって持ち家を所有することは実現不可能な夢であることを知ったからでした。そして、まだ21歳だった1979年に、MRV Engenharia e Participações社を他の2人の共同創業者と共に設立しました。彼が創業した1970年代には、ブラジルの都市の「スラム化」が問題になっていました。ルーベンス氏はこの状態を、より手ごろな価格の不動産をブラジルの一般市民に提供する機会と捉えました。それまでほとんど職人だけの世界だった建設業を真の意味での建設業界に変えていくことで、これを実現しようと考えたのです。
MRV社はルーベンス・メニン氏のリーダーシップの下、2017年までにブラジル国内で32万戸以上の一戸建てや集合住宅を建築し販売してきました。これによって、100万人以上のブラジル国民がマイホームを持つという夢を実現することができました。同社は現在合計214の建設現場を管理していますが、1現場当たり平均で398戸の住宅が建設されています。また、2008年以降、他の数社の建設会社と共同で、ブラジル連邦政府の社会住宅プログラム「Minha Casa, Minha Vida (私の家、私の生活)」に参加しており、これまで300万戸の住宅をブラジル国民に提供しています。
ルーベンス・メニン氏はその経営アプローチの一環として、常にイノベーションを模索しています。その一例として、MRV社は経済的で、柔軟性があり、持続可能な建設方式であるコンクリート壁工法を取り入れています。コンクリート壁工法を取り入れたことで、建設に必要な人員を平均12人から3.5人に削減することが可能になったと同時に、例えば4階建てで16戸の集合住宅の建設をわずか10日間で完成できるようになりました。また、その戦略の一部として、ブラジルの主要都市での建築戸数を抑え、より土地の価格が安く、競争が少ない中規模な市町村での建築戸数を増やしています。2015年には中規模市町村での住宅販売は、同社の住宅販売全体の70%を占めるまでになりました。
ルーベンス・メニン氏は過去20年以上に渡り、事業を多角化させています。例えば、1994年にはBanco Inter(Inter銀行)を創業しており、同行は2018年にブラジルの証券取引委員会に上場申請を行っています。また、2008年には、ロジスティクス用の不動産、ショッピングモール、オフィスパーク、商業用地の開発とリースを行うLOG社を創業しました。さらに2012年には、米国で低所得者層向け住宅販売会社American Housing Solutions (AHS)を創業し、収入の半分以上を家賃に充てている家庭に、品質の良い住宅を供給しています。また同じ年の2012年に、URBAMAIS社も創業しました。URBAMAIS社は、大きな土地を分割していくつもの戸建住宅を建設するプロジェクトで高品質かつ持続可能な住宅を建設する開発会社です。
MRV Engenharia e Participações社はその38年に渡る歴史の中で、道路、下水道、電力ネットワーク、学校、デイケアセンター、地域ヘルスケアセンターなどの都市インフラに3億200万米ドル以上を投資しています。それだけでなく、緑化事業にも力を入れ、公共広場の建設や、公園のリニューアルを行なっています。100万本の木を植えて、大気から55万トンの二酸化炭素を取り除くという同社の目標は、ブラジルの「Programa Amigo do Clima(気候の友達プログラム)」を通じて達成されました。
ルーベンス・メニン氏のリーダーシップのもと、MRV Engenharia e Participações社は同族経営企業に成長し、彼の「やればできる」という前向きな姿勢が次世代に受け継がれています。MRV社では現在、息子のラファエル・メニン氏、および甥のエドゥアルド・フィッシャー氏が共同CEOとして活躍しており、娘のマリア・メニン氏がCLO(最高法務責任者)を務めています。
審査員について
独立審査委員会はNixon Energy Investments(米国)のジム・ニクソン氏を審査員長として、以下のメンバーで構成されています。
- Rosario Bazan (DanPer/ペルー)
- Diane Foreman (Chelsea Group Ltd./ニュージーランド)
- Ruigang Li (CMC Capital Partners/中国本土)
- Manny Stul (Moose Enterprise Holdings & Controlled Entities/(オーストラリア)