2021年2月8日
2013年改訂版COSO ‐17の原則と87の着眼点‐

Price Point:2021年第1四半期の原油・ガス価格の見通しを理解するための4つのトレンド

執筆者 EY Japan

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2021年2月8日
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最新の原油・ガス市場の見通しについて解説するとともに、添付のファイルでは原油・ガス価格の見通しに関するEYの分析を提供しています。投資の減損や回復可能性を評価する上でも参考となります。

2021年はグローバルヘルス、世界経済および石油・ガス市場に関して控えめな期待感と共に始まりました。昨年12月の第1週には米国と英国で、世界初となる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンが承認されました。ワクチンは前例がないほどのスピードで開発されましたが、市場からは間違いなく歓迎されています。11月上旬にワクチンの有効性が90%以上であると発表された翌週には、WTI原油価格は10米ドル上昇し、昨年3月上旬以来の最高値となる1バレル当たり48米ドルを記録しました。持続可能性はまだ戻っておらず、世界が平穏を取り戻すのにどれほどの時間を要するかも分かりませんが、石油・ガス市場が落ち着くにはより長い時間がかかると予想されます。原油在庫は歴史的にも高い水準となっており、楽観的に見ても過去5年間の水準に戻るには4月までかかるとみられています。昨年11月下旬、石油輸出国機構(OPEC)は需要の回復が弱いことを受けて生産計画の見直しを行いました。12月中旬には、国際エネルギー機関(IEA)は航空燃料への需要が引き続き停滞していることから、2021年の需要見通しを引き下げました。

2021年第1四半期には、次の4つのトレンドが見られます。

1.ワクチンに関する報道がもたらした原油価格の回復

米国と英国では、短期間の間に続けて新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種が承認されました。事態が完全に正常化するにはまだ遠いですが、原油市場ではそれに反応して価格が上昇し始めています。

2.LNG市場におけるリバランシングの兆候

液化天然ガス(LNG)スプレッドは過去3年間では見られなかった水準となっています。アジア経済の急速な回復、冬の始まり、最終投資判断(FID)の先送りが、需要と供給を均衡させるプロセスを加速させました。

3.航空燃料需要のゆっくりとした回復

航空燃料は、石油需要の中で新型コロナウイルス感染症拡大の影響を最も大きく受けました。今後、大規模なワクチン接種が行われ、ウイルスの脅威が軽減された場合に、旅行目的とビジネス目的の客足がどれほどのスピードで航空業界に戻るかが注目されています。

4.国際大手石油会社のエネルギー転換に向けた取り組みに対する資本市場の慎重な反応

石油経済への新型コロナウイルス感染症の即時的な影響と、エネルギー転換によってもたらされる不確実性によって、多くの石油企業は戦略的に炭化水素の代替策の検討を始めています。しかしながら、株価はまだその取り組みに反応しておらず、投資家は石油会社を依然として石油会社としてしか見ていないことを示唆しています。

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  • 現時点でのアナリストや投資家による将来油価・ガス価想定について、主要指標ごとの分析をダウンロードする(英語版のみ)

サマリー

世界が一つの転換点を迎えていることは言うまでもありませんが、それがどの程度大きな影響をもたらすのか、現時点では知る由もありません。
今後需給がどのように変動するか、それにはどれほどの時間を要するかについて、正確な予想は困難であることは明白です。情勢を引き続き用心深く注視していく必要があるでしょう。

この記事について

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