2021年5月31日
2013年改訂版COSO ‐17の原則と87の着眼点‐

Price Point:2021年第2四半期の原油・ガス価格の見通しを理解するための4つのトレンド

執筆者 EY Japan

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子どもは3人。趣味は料理をすること、食べること、犬と遊ぶこと。

2021年5月31日

市場に活気が戻りつつある中、ESG経営への意識の高まりを契機として世界はエネルギー政策の大転換期を迎えています。本稿では、最新の原油・ガス市場の⾒通しについて解説するとともに、価格の⾒通しに関するEYの分析を提供します。投資の減損や回復可能性を評価する上でも参考となるでしょう。

要点
  • OPECプラス減産合意の継続表明や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種開始など、市場にとって明るいニュースとともに2021年は幕を開け、実際に原油価格は回復傾向にある
  • 欧州におけるパンデミック第3波など市場に存在する不確定要素により、市況がパンデミック以前の水準にいつ戻るのかという予測はいまだ困難である
  • パンデミックは脱炭素化社会への転換の契機となり、投資家たちは脱炭素化へ向けた企業の⻑期的理念と取り組みに高い関心を寄せている

2021年第1四半期を終えるにあたり、EYが疑問を呈したのは次の2点です。①新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が開始され感染抑制に効果が表れるまで原油市場に対する信頼を維持できるかと、②OPECプラスの加盟諸国が協調減産を順守し続けることができるかです。これらの疑問に対する答えは、少なくとも現時点においては「YES」であると断言できるでしょう。WTI原油価格とブレント原油価格は、1月上旬の1バレル当たり50米ドル付近からピークとなった3月中旬には65米ドルを超える水準へと着実に上昇しました。この原油価格の回復は、サウジアラビアが主導するOPECプラスにより綿密に計画されたもので、OPECプラスが生産量を前倒しで以前の水準に戻したいという衝動を抑えることに成功したことによるものです。サウジアラビアが1月上旬に日量100万バレルの自主減産を約束した(続いて3月にも自主減産期間の延長を再表明した)ことが、それ以降、私たちが目撃している市況回復のきっかけとなったことは明らかです。

この回復基調は上流市場に限った話ではありません。製油所の操業停止と需要の回復により、2021年第1四半期において精製マージンは64%まで上昇し、昨年10月下旬に1バレル当たり11米ドル付近で取引されていたRBOBクラック・スプレッドも、3月下旬には20米ドルを上回る水準にまで回復しました。当四半期における最も劇的な話題としては、米国テキサス州を襲った強烈な寒波による影響が、グローバルの原油・ガス市場にとっては極めて小さかったということでした。

LNG市場に関しては、新たな投資を後押しする安定した価格という、長く待ち望んでいた時代がついに到来し、市場に対する期待の高まりに満ちて2021年第1四半期の幕が開きました。

原油在庫は正常化しつつありますが、依然として不確実性に満ちています。パンデミックはいずれ収束すると考えられますが、そのタイミングを予想することは非常に困難です。米国ではワクチン接種に一定の効果が見られましたが、欧州では依然として感染の第3波に苦しめられています。

原油先物のフォワードカーブは、前四半期末以降において根本的に変化しています。2020年12月下旬には、ブレント・フォワードカーブは将来に向かって徐々に増加していましたが、現在は、バックワーデーション(将来に向かって減少)の状態となっています。これは、市場参加者が短期の価格変動を中長期的なファンダメンタルズから切り離されたものとして捉えている明らかなサインと考えられます。

2021年第2四半期には、次の4つのトレンドが見られます。

1.原油在庫が正常化するまでの道のり

原油の需要と供給はいずれも増加していますが、OPECの協調減産により市場全体で見れば依然として供給不足となっています。在庫が正常に戻るには、それほど時間を要さないでしょう。

2.持続可能な水準へ完全には回復していない設備投資

設備投資は2020年よりも増加しているものの、パンデミック以前と比較すると、はるかに低い水準のままです。需要が正常な水準へ回復するにつれて、供給が追い付かないというリスクも考えられます。

3.回復基調にある精製マージン

前回の供給主導型の不況時には下流ビジネスはセーフヘイブンでしたが、今回の需要主導型の不況ではバリューチェーンのすべての点において前回とは対照的な影響がありました。しかし、当四半期において精製マージンは回復傾向にあります。

4.環境・社会・ガバナンス(ESG)により注目する投資家たち

今後、石油・ガス企業は脱炭素化へ向けた長期的理念と取り組みを通して、投資家からより多くの資本を得られるでしょう。投資家からの質問は、より頻繁かつより具体的なものとなっています。

サマリー

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が開始されたことに伴って市場に活気が戻りつつある中、2021年が始まりました。市況の予測は依然として困難を極めていますが、各指標は回復傾向にあると言えるでしょう。他方、ESG経営への意識の高まりを契機として、世界はエネルギー政策の大転換期を迎えています。今後も情勢を引き続き注視していく必要があるでしょう。

この記事について

執筆者 EY Japan

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子どもは3人。趣味は料理をすること、食べること、犬と遊ぶこと。