財源の確保がネットゼロ⽬標達成への最⼤の障壁でしょうか 財源の確保がネットゼロ⽬標達成への最⼤の障壁でしょうか

執筆者
Ben Warren

EY Global Power & Utilities Corporate Finance Leader

Adviser on procurement, regulatory policy and mergers and acquisitions across the entire energy, waste and water value chains.

Arnaud de Giovanni

EY Global Power & Utilities Strategy and Transactions Leader

Future-focused thinker with over two decades of experience guiding power and utilities businesses through transformation.

EY Japanの窓口

複合的サービスを提供するプロフェッショナル・サービス・ファーム

18 分 2021年5月18日

RECAI第57号:COP26の開催が近づき、各国政府と機関投資家はパリ協定を順守するという難題への対応を迫られています。

要点
  • 各国政府は、自国の再生可能エネルギー目標を引き上げ、世界全体の気温上昇を産業革命以前の水準から1.5℃までに抑える取り組みへと世界を導く必要がある。
  • 機関投資家は、インフラ投資に対するより明確なコミットメントと、支援対象となる可能性が高い関連投資のパイプラインの詳しい内容が明らかになることを求めている。
  • 先進国はクリーンエネルギーへの研究開発投資を増やし、発展途上国向けの気候変動ファイナンスに資金を拠出する公約を果たす必要がある。
Local Perspective IconEY Japanの視点

日本において機関投資家からの十分な出資は見込めるのか――機関投資家にとってESG投資の重要性は確実に高まっています。日本政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中で、「洋上風力産業」など14の重点成長分野に対して時間軸と具体策を伴う実行計画を提示しました。重点成長分野への民間投資の呼び水として2兆円の基金の創設など分野横断的な政策を総動員するとしています。

カーボンニュートラルの実現に向けて技術、制度、コストなど各側面で多くの課題がある中、「何をクリアすれば民間投資の促進が進むのか」「融資を希望する企業はどのような情報の開示していくべきか」といった問いへの答えを官民が連携して模索し、対応することが必要です。

また、国の支援や機関投資家からの投資だけではカバーできない事業リスクに対応するため、必要な資金、技術、ノウハウを提供し合う企業間提携が進むことになるでしょう。

 

EY Japanの窓口

EY Japan
複合的サービスを提供するプロフェッショナル・サービス・ファーム

2021年11月に英国で開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が近づく中、気候変動への対応を迫る圧力が高まっています。

この開催は、6年前のパリ協定締結以降で最も大きな節目になるとされており、各国政府が、国が決定する貢献(NDC:Nationally Determined Contributions)を果たし、目標を引き上げ、世界全体の気温上昇を産業革命以前の水準から1.5℃までに抑える取り組みへと世界を向かわせることができるかどうかに注目が集まっています。

世論は、強まる気候危機への対処を政府に促しているだけではありません。これまでの対応を強化し、行動を起こすことを機関投資家に求める声も高まっています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより甚大な影響を受けたことで、機関投資家が環境・社会・コーポレートガバナンス(ESG)とサステナビリティリスクに対処することの重要性は高まりました。

今号のRenewable Energy Country Attractiveness Index(再生可能エネルギー国別魅力指数:RECAI)では、エネルギー移行に向けた投資の公約を各国政府がどのように果たすべきかにスポットを当てています。この1年間に中国と米国がネットゼロ(実質ゼロ)の実現を表明したことは、パリ協定の目標達成に向けた大きな一歩となりました。4月には両超大国が他の国・地域と共に気候変動対策に連携して取り組むと発表しています。両国は排出量の削減策と、発展途上国が低炭素エネルギーに移行する資金の支援策について具体的な協議を進めることで合意しました。しかし、この移行のための資金を米中がどのように拠出するかについてはまだ明確に分かっていません。

ミッション・イノベーションの一環としてクリーンエネルギーへの研究開発投資を年間100億米ドルに増やすという公約を守り、その姿勢を示すことが主要先進国には求められます。また、発展途上国向けの気候変動ファイナンスに年間1,000億米ドルを拠出するという公約を誠実に果たしていることも鮮明にしなければなりません。

一方、4月には低炭素化に向けた機運が高まる出来事がありました。バイデン大統領の主催する気候サミットで米国が二酸化炭素の排出量を2030年までに2005年比で50%~52%削減する目標を打ち出したのです。

インフラ投資に対する各国政府のより明確なコミットメントと、支援対象となる可能性が高い関連投資のパイプラインの詳しい内容が明らかになれば、機関投資家や保険会社による出資機会が増えると考えられます。

RECAI第57号では、パリ協定の履行への道筋を私たちがたどる上で、エネルギー移行に資金を投じる機関投資家が担うことのできる役割にも着目しています。2020年、再生可能エネルギー容量への投資は全世界で2%増えて3,035億米ドルに達しました。これは年間投資額として過去2番目に高く、同年が極めて厳しい年であったことを考えると驚くべき数字です。

とはいえ、財源不足であることに変わりはありません。国際エネルギー機関の現行政策シナリオ(Current Policies Scenario)から、世界の再生可能エネルギー開発に必要な投資の不足額が5兆2,000億米ドルに上るとEYのプロフェッショナルは推計しています。再生可能エネルギーの開発には約7兆7,000億米ドルが充てられることになっていますが、持続可能な開発シナリオ(Sustainable Development Scenario)では12兆9,000億米ドルの資金が必要です。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、ESGが政策課題として浮上し、再生可能エネルギーに対する機関投資家の関心も高まる一方です。しかし、インフラ投資に対する各国政府のより明確なコミットメントと、支援対象となる可能性が高い関連投資のパイプラインの詳しい内容が明らかになれば、機関投資家や保険会社による出資機会が増えると考えられます。

今号では、グリーン水素に関する、異なる地域のケーススタディ2件も取り上げています。グリーン水素を取り巻く状況は、低炭素化が直面するより大きな問題を体現しています。水素だけでなく、電気自動車や蓄電池などの新興技術はネットゼロを実現させる非常に大きな可能性を秘めている反面、生産規模の拡大とコスト競争力の獲得には多額の資金が必要です。

最後に、東アジア全体の電力市場についても掘り下げています。東アジアは、再生可能エネルギーへの取り組みの見通しが極めて明るい地域です。大きな前進となるネットゼロ宣言をしたのは中国だけではありません。この1年の間には日本と韓国もこれを表明しています。そのため、この地域は再生可能エネルギーの拡大加速を追い風に、サプライチェーンを構築し、技術コストを下げ、海外の投資家の関心を呼び込むことが大いに期待できます。

東南アジアでは、エネルギー需要が雪だるま式に拡大しています。4,500万人が電気のない生活を送り、また人口が25%増加することが予想されていることから、このような成長に伴って増える需要を満たす上で再生可能エネルギーは大きな役割を果たすことができるはずです。この地域では、一部の国・地域が気候変動に極めて脆弱であることから、気候変動への対応と気候リスクの管理が今後の優先課題となるでしょう。

COP26は、エネルギー移行を加速させるプラットフォームを世界に提供する場です。会期中と閉幕後にこのプラットフォームの構築・増強を促進し、成功するためには協調的な取り組みが必要となります。本稿では、再生可能エネルギーに関わる世界各国の主要な動向の一部を紹介します。各ステークホルダーがどのように対応を強化し、パリ協定の実現へと世界を向かわせるにはどうすればいいかの参考となるはずです。

  • 調査方法

    本指数の順位は、再生可能エネルギーが脱炭素化を実現し、補助金への依存を脱した後の社会で、市場としての魅力を高める要因をEYが評価した結果に基づいています。

    質問内容は、投資と導入の優先順位に影響を与える世界の市場動向と、EYのクライアントに影響を与える課題と成功要因を踏まえて決定しています。

    • 長期的に供給エネルギーを追加または変更する必要はあるか。必要がある場合には、特に再生可能エネルギーを支持する声は強いか
    • 国・地域の政策は、再生可能エネルギーの可能性を有効に活用する能力を阻むものか、それとも後押しするものか
    • 長期契約、送電網インフラ(蓄電を含む)、調達可能な資金など、プロジェクトを確実に実施するために欠かせない要素は整っているか
    • 特定の再生可能エネルギー技術について、天然資源、実績、プロジェクトのパイプライン面の強みから、どのような見通しを立てることができるか
    • 他の要素が全て整っていたとした場合、マクロ経済の安定と投資環境は、その国・地域でのビジネスのしやすさにプラスに働いているか、それともマイナスに働いているか

    指数の各項目で重視しているのは、エネルギーに関する喫緊の課題、政策の安定、プロジェクトの実施(資金調達の可能性を含む)、天然資源の多様性などの基本的な事柄です。市場がグリッドパリティ到達に向けて動き始め、政府の補助金あるいはテクノロジーのリングフェンス化など「人工的」なモチベーションの重要性が低下する中、これらの要素は今後ますます重要な市場の差別化要因となっていくでしょう。

    新型コロナウイルス感染症の影響を加味

    パンデミックによる影響を加味するため、新型コロナウイルス感染症の補正パラメーターをRECAIに暫定的に追加しています。暫定的な措置にしたのは、再生可能エネルギーへの移行に与える影響は短期的なものにとどまると考えているためです。新型コロナウイルス感染症の補正パラメーターについては、2020年5月に発表したRECAI第55号から追加しましたが、それ以降その比重を下げてきています。RECAIに使用するデータにはすでに新型コロナウイルス感染症の影響が織り込まれ始め、パンデミックの影響も薄らいできており、今後6カ月間でおそらく完全に必要なくなるでしょう。新しい新型コロナウイルス感染症の補正パラメーターは4つの基準を中心とし、それに応じて各国・地域にはスコアが付与されます。4つの基準は以下の通りです。

    • 国・地域の医療システムの強靭性
    • 人口動態別のリスク人口の規模
    • 経済的脆弱性または経済的打撃
    • 新型コロナウイルスの感染状況指標(死亡者数、新規患者数、検査件数)
    順位の決定

    5つの項目の各パラメーターはデータセットで構成されています。このデータセットを1~5までのスコアに換算し、重み付けして各パラメーターのスコアを算出します。その後、再度重み付けを行って各項目のスコアを算出し、RECAIの総合スコアと順位を決定します。重み付けは、投資と導入の決定を下すに当たっての各データセット、パラメーター、項目の相対的重要性をEYが評価し、その結果に基づいて行います。各テクノロジーに対しても、過去と今後計画されている投資レベルに占めるその割合に基づき重み付けされます。

    主要な指数の他に、EYは独自にテクノロジー固有の指数を算出し、順位付けしています。この順位は、テクノロジー固有のパラメーター全体の加重平均スコアとその他のマクロ経済・エネルギー市場のパラメーターをカバーする総合スコアで決まります。このような仕組みにしたのは、一部の市場は特定のテクノロジーにとって魅力度が高くても、参入障壁が高い可能性があるためです。

    データセットは、一般公開されているデータ、有料のデータ、EYの分析結果、第三者のデータに調整を行ったものに基づいています。指数の算出に用いた基礎データセットや重み付けを一般に公開することはできません。

    今回の分析結果がどのように貴社の経営判断や取引の一助となるかについての詳細は、本レポートのシニアアドバイザーであるPhil Dominy(Ernst & Young LLP)までご連絡ください。

(Chapter breaker)
1

第1章

中国:風力発電が過去最高を記録したものの、排出量削減目標は消極的

脱炭素化が「穏やかに加速」している中国は、気候変動への対応で米国と協力していくことを表明しました。(RECAIの順位は2位)

中国では2020年、風力発電の新規導入量が72.4GWにも達しました。12月1カ月間だけを見ても、48GWに上っています。その背景には、陸上風力発電の補助金の廃止を前にデベロッパーがプロジェクトの完了を急いだことがあります。中国では2020年以降、陸上風力発電プロジェクトの補助金が認められなくなりました。導入量は2019年から3倍に増えた上に、これまでの最高記録を2倍以上上回ったことになります。

しかし、世界風力会議(Global Wind Energy Council)でStrategy and Market Intelligenceの責任者を務めるFeng Zhao氏によると、中国国家エネルギー局から発表されたこの数字には、2019年末までにすでに設置されていたものの接続されていなかった系統接続設備も含まれており、実際より26.3GW多い可能性があります。ただし、この分を差し引いたとしても、2020年の新規導入量は46.1GWになります。これは2018年の世界全体の導入量にほぼ等しく、中国が大きな飛躍を遂げたことに変わりはありません。

中国の2020年の洋上風力発電導入量は3GWでした。これは昨年の世界全体における新規導入量の半分に当たります。中国が洋上風力発電の年間新規導入量でトップになるのは3年連続のことです。太陽光発電の新規導入量も、2019年の29.7GWを大幅に上回る49.3GWでした。

風力発電と太陽光発電の導入量がこのように増えているにもかかわらず、政策レベルでは第14次5カ年計画(2021年~2025年)に示された排出量削減目標は不十分であり、今後10年間で排出量の増加を招く可能性を残すと一部アナリストは指摘しています。

5カ年計画に掲げられた主な目標の1つは、エネルギー消費量全体に占める非化石エネルギーの割合を、2020年の15.9%から2025年までに20%に引き上げることです。しかし、これもコメンテーターらからは「緩やかな加速」と評されています。これにより、中国は二酸化炭素排出量を2030年までに減少に転じさせるという自国の気候目標を達成するために取り組みを強化するよう求められています。

中国と米国は4月に、他の国・地域と共に気候変動対策に連携して取り組むと発表しました。両超大国は、排出量の削減策と、発展途上国が低炭素エネルギーに移行する資金の支援策について具体的な協議を進めることで合意しています。

(Chapter breaker)
2

第2章

ブラジル:洋上風力発電セクターの法規制に向けて大きく前進

発電などのコストのうち、最⼤で5%の⽀払いをデベロッパーに求める法案が提出されました。(RECAIの順位は11位)

ブラジルは洋上風力発電の導入計画を推し進めているところです。現時点では大西洋沖8,000キロの海域にタービンは一基もありませんが、2月に議会に提出された新たな法案が可決されれば、洋上風力発電セクターが誕生することになります。

同国は、洋上風力発電開発による自国海域の利用をコンセッション方式にするか、またはリース方式にするか、その内容をめぐる議論一色に包まれてきました。新しい法案は、発電などのコストのうち、最大で5%の支払いをデベロッパーに求める内容です。先の洋上風力発電法案は上院で可決され、下院で審議されているところです。こちらは「先着順」方式とし、権利金やリース料金を課さないことを提案しています。新たな法案が下院に送られた時点で、この2つの法案が一本化されることが予想されます。

一方、環境関連の連邦政府機関である環境・再生可能天然資源院(IBAMA)は2020年、洋上風力発電プロジェクトへのライセンス付与に関するガイドラインを発表しました。エネルギー計画関連の連邦政府機関であるEPEも、洋上風力発電セクター向けのロードマップを発表し、インフラのボトルネックへの注意を喚起しています。

ブラジルでオフショアパイプラインが設置されるようになった場合には、水深50メートル、幅30キロに及ぶ大陸棚と秒速7~7.5メートルの風速といった地の利があることなどから、この敷設が急速に増える可能性があります。すでにEquinor社とIberdrola社がそれぞれ4GWと9GWのライセンスを申請しているほか、ブラジル国内企業BI Energia社が洋上風力発電所の建設許可申請書を提出しています。Total社とEnauta社も興味を示しています。

しかし、新たな産業が羽ばたくためにはコストの削減が必要です。ブラジルでは現在、建設を計画する事業者は規制に従って最低価格を提示し、かつ電力供給を保証する契約を結ばなければなりません。同国では陸上風力発電フリートの売電価格がMWh当たり90ブラジル・レアル(13米ドル)ですが、洋上風力発電の電力は世界的な平均価格がMWh当たり約50米ドルに上ります。そのため、現時点では洋上風力発電事業者が政府の入札で勝つことは価格的に到底不可能です。

(Chapter breaker)
3

第3章

ポーランド:洋上風力発電法が可決

風力発電所を送電網に接続するための設備を建設し、その資金を出す責任を負うのは投資家です。(RECAIの順位は22位)

ポーランドはバルト海での洋上風力発電所の開発を規制する洋上風力発電法案を可決しました。この法案の目的は、差額決済契約(CfD)締結による電力導入量を2021年6月末までに5.9GWにすることです。洋上風力法案の前回の草案では、この数字が4.6GWとされており、導入量が引き上げられたことになります。第一弾のプロジェクトは2025年までに運転が開始される可能性があります。

風力発電所を送電網と接続するための設備の建設と、その出資の責任は投資家が負うことになる見通しです。売却する投資家が出てきた場合には、ポーランドの国営送電系統運用者Polskie Sieci Elektroenergetyczne社に先買権があります。

これは、ポーランドの風力発電開発の第1フェーズとなります。第2フェーズでは、1回目が2025年、2回目が2027年と計2回の入札が計画されています。いずれも募集容量は2.5GWです。これによりポーランドの洋上風力発電の総導入量は、すでに運転している発電所と開発中の発電所を合わせて2027年までに10.9GWになります。同国は最高28GWのパイプラインの設置も視野に入れています。ポーランドは、非西欧市場が発展する足掛かりとなる可能性を秘めていると考えられており、これを成功させることができれば、デベロッパーの注目を黒海に向けさせることができるかもしれません。

(Chapter breaker)
4

第4章

トルコ:今後3年以内に洋上風力発電の入札を開始する予定

世界銀⾏によると、トルコには⾃国の沿岸200キロ圏内で75GWを発電する技術的ポテンシャルがあります。(RECAIの順位は25位)

トルコは今後2、3年以内に洋上風力発電の入札実施を目指しています。そのため、世界銀行がトルコの長期的な洋上風力発電ロードマップをまとめているところです。2018年半ばに1.2GWの洋上風力発電の競争入札が中止されたことを受け、2回目の入札実施を前に、今は世界銀行がフィージビリティスタディと環境調査を支援するEU基金の支出を管理しています。

マルマラ海と黒海では、用地の評価が行われているところです。黒海のトルコ海域では深海水域を中心に風速が推定で秒速7~7.5メートルに達します。エーゲ海と地中海では、2018年に中止された入札のために3カ所の調査が行われましたが、現在評価が行われている用地はありません。エーゲ海については、トルコ沿岸近くにギリシャの島が複数あることから、発電所が建設される可能性は低いでしょう。

世界銀⾏によると、⾃国の沿岸200キロ圏内で75GW(内訳は浮体式が63GW、着床式が12GW)を発電する技術的ポテンシャルがトルコにはあります。

トルコは風力発電の導入量が欧州でトップ10。陸上と洋上両方の風力タービン設備を製造しており、その生産量は欧州で5本の指に入ります。

(Chapter breaker)
5

第5章

ギリシャ:再生可能エネルギーの入札の募集容量が2025年までに合計2.1GWに達する可能性も

ライセンス付与処理のデジタル化で、今後は国の入札にデベロッパーが参加するための手続きが迅速化されます。(RECAIの順位は26位)

ギリシャのエネルギー規制当局(RAE)は風力発電と太陽光発電の共同入札を5月24日に実施すると発表しました。3回目となる今回の再生可能エネルギーの国家共同入札では、350MWが募集されます。対象となるのは、容量が太陽光発電で20MWまで、風力発電で50MWまでのプロジェクトです。

RAEは、上限価格をMWh当たり53.86ユーロ(64.04米ドル)に設定するとしています。ギリシャ初の風力発電と太陽光発電の共同入札が実施されたのは2019年4月のことです。その時の落札容量は437MWでした。2020年の入札の落札容量は503MWです。これには、国営電力会社Public Power Corporation社がプトレマイダで実施する太陽光発電プロジェクトの200MWも含まれていますが、その落札価格は破格のMWh当たり49.11ユーロ(58米ドル)でした。

ギリシャは次回を皮切りに、2024年末までに計6回の入札を行い、2.1GWの容量を募集する予定です。同国では入札制度によって電力価格が確実に下がり、国内企業の競争環境が生まれました。

ギリシャはライセンス付与処理のデジタル化を進め、国の再生可能エネルギーの入札にデベロッパーが参加するための手続きの迅速化も図っています。

(Chapter breaker)
6

第6章

ベルギー:フランダース地域で風力発電の補助金を削減

デベロッパーが補助金の段階的廃止に備える中、新規則の影響を受けるプロジェクトは約30件に上ります。(RECAIの順位は30位)

ベルギーのフランダース地域は、今後の風力発電プロジェクトに対する補助金が削減されました。これまで、3MW以上の風力発電所が補助金給付額の低い区分の対象となっていましたが、今後は2.5MW以上の風力発電所がこの区分の対象となります。

同地域では、支援制度に加入できる風力発電所の内部収益率のパラメーターも引き下げられました。風力発電プロジェクトは今後、公称容量に見合った給付額しか受け取ることができません。これらの措置の実施は、デベロッパーが2024年までに補助金が段階的に廃止されることに備える中で決定されました。

デベロッパーは、補助金の段階的廃止には抜け穴があり、風力発電所の導入量を引き下げることで補助金給付額が高い区分の対象になると考えていましたが、今回の変更でそれもできなくなりました。フランダース地域で許認可を受けた風力発電プロジェクトのうち約30件が、新たな規制の影響を受けることになります。

(Chapter breaker)
7

第7章

ハンガリー:ハンガリーの太陽光発電セクターに明るい兆し

前回の入札の落札者には固定価格買取制度(FIT)支払いが15年間給付されます。(RECAIの順位は38位)

ハンガリーで10月に実施された2回目の再生可能エネルギーの入札には、募集容量を大幅に上回る応募がありました。申し込みのあったプロジェクト257件(内訳は256件が太陽光発電プロジェクト、残りの1件が0.5MWの地熱発電プラント)のうち、落札できたのは36件だけでした。

最低落札価格は、300kW~1MWの小規模な太陽光発電プラントがMWh当たり21,000ハンガリー・フォリント(71米ドル)、1MW~49.9MWのプロジェクトがMWh当たり16,180ハンガリー・フォリント(54.9米ドル)でした。

ハンガリーのエネルギー・公益企業規制当局(HEA:Hungarian Energy and Public Utility Regulatory Authority)は合計で390GWhの契約を結ぶことができると見込んでいます。2020年3月に行われたハンガリー初の再生エネルギーの入札では、契約容量が199GWhでした。2回目の入札は、大規模プロジェクトの容量の制限を20MWから50MWに引き上げ、海外投資家の間で人気を集めました。HEAは落札された36件のプロジェクトに対して、卸電力価格を支払う他に、FIT制度支払いを15年間にわたり給付します。

ハンガリーでは太陽光発電市場が堅調に拡大しているにもかかわらず、小規模な地域熱供給事業者を支援する税制措置が依然として再生可能エネルギー市場の成長を阻んでいます。ハンガリーは、再生エネルギー政策の中心に太陽光発電を据え、太陽光発電の導入量を現在の1GW強から、2030年までに6GWに増やすことを目指しています。

(Chapter breaker)
8

第8章

ケニア:目指すは太陽光発電での画期的な躍進

ケニアは国内および産業での普及を目指し、2021年末までに40MWのプラント2基を稼働する予定です。(RECAIの順位は40位)

ケニアでは今年の太陽光発電の新規導入量が80MWになると予想されています。同国の太陽光発電量が現在約200MWであることを考えると、これは大幅な増加です。2基のいずれも40MWの太陽光発電プラントが承認を取得しました。民間投資家が建設を進めており、2021年末までに稼働する予定です。

ケニアは⼀年を通して国⼟の⼤半が⽇照に恵まれ、メガソーラー型、ルーフトップ型、いずれの太陽光発電にとっても理想的な立地です。

一方、同国は製造業での普及の拡大を図るため、太陽光発電の法的枠組みの見直しを計画しています。住宅用ルーフトップ型の設置を普及させるため、輸入された太陽光発電設備の基準の規制を導入して、規格外の製品から消費者を保護することが目的です。現在、同国の太陽光発電設備の90%以上が輸入品です。

ケニアの課題は、国内の生産技術と生産能力の不足です。そこでエネルギー・石油規制局(EPRA:Energy and Petroleum Regulatory Authority)は現在、技術移転を促進する新たな規制の枠組みを検討しています。

(Chapter breaker)
9

第9章

フランス:ノルマンディーの洋上風力発電第4次入札(募集容量:1GW)を開始

500キロに及ぶ風力発電所を3段階でイギリス海峡に建設し、80万世帯分の電力を供給する予定です。(RECAIの順位は5位)

フランスは、ノルマンディー沖のイギリス海峡での洋上風力発電所(ウインドパーク)の建設、運転、メンテナンス事業の入札募集を1月に開始しました。募集容量は、500キロに及ぶゾーン一帯を対象に900MW~1,050MWです。

今回の入札は3段階に分けて実施されます。まずプロジェクトの資金調達と管理を担うデベロッパーを選定し、それを2022年に発表してから、ステークホルダーの意見を聞きながらプロジェクトの実施エリアの環境調査を行います。その後、漁業、海上交通、海洋環境への影響を最小限に抑えるため、ノルマンディー沖から30キロ以上離れた地点に建設します。

この風力発電所が完成するとフランスで8番目の洋上風力発電所となり、80万世帯分の電力を供給する見通しです。2020年、フランス政府は2023年までに運転を開始する洋上風力発電所の入札(募集容量:2.4GW)を行う計画であることを発表しています。

サマリー

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、6年前のパリ協定締結以降で最も大きな節目になると見られています。自国の公約を果たすことを各国政府に求める圧力はかつてないほど高まり、機関投資家もまた、ESGとサステナビリティリスクにどのように対処しているかについて厳しく問われています。Renewable Energy Country Attractiveness Index(再生可能エネルギー国別魅力指数:RECAI)第57号では、英国グラスゴーで開催される会議でどのような行動を起こす必要があるのか、また、世界全体がネットゼロ(実質ゼロ)に移行するために必要な資金の調達方法について説明しています。

この記事について

執筆者
Ben Warren

EY Global Power & Utilities Corporate Finance Leader

Adviser on procurement, regulatory policy and mergers and acquisitions across the entire energy, waste and water value chains.

Arnaud de Giovanni

EY Global Power & Utilities Strategy and Transactions Leader

Future-focused thinker with over two decades of experience guiding power and utilities businesses through transformation.

EY Japanの窓口

複合的サービスを提供するプロフェッショナル・サービス・ファーム