「機会・リスクへの対応」(図1の②)では、①で実施した機会およびリスクの評価に基づき、金融機関自身のリスク管理のほか、顧客企業の気候変動対応を積極的に支援することの重要性が示されています。
まず顧客企業への支援については、顧客企業における事業の成長・持続可能性向上に向けた着実な道筋を検討し、必要な支援を提供することが指摘されています。なお具体的な進め方は各金融機関の自主的な経営判断に基づき実施されるべきと示されており、金融機関の創意工夫が尊重されている点は金融庁の現在の検査・監督の考え方が反映されているものと言えます。
次に金融機関のリスク管理については、気候変動リスクを短期的に顕在化し得るものと中長期的に顕在化していくものに識別し、それぞれについて、自らのビジネス特性も踏まえ、国際的な議論やリスク管理の手法・実務などの進展を見ながら対応することが重要とされています。特にシステム上重要な銀行は、シナリオ分析などの評価方法の改善に取り組みつつ、中長期的には財務健全性を確認することが重要とされています。
その他重要な事業拠点・オペレーションの分散・冗長化を検討し、気候変動による自然災害の激甚化などのリスクを踏まえ業務継続計画を見直すことや、レピュテーションの問題への対応やコンプライアンス態勢の確保も求められています。
「ステークホルダーとのコミュニケーション」(図1の③)では、国内外の開示の枠組みを参照しながら、以下の点について正確な情報を提供することの重要性が指摘されています。
- 気候変動への対応に係る戦略
- 顧客企業の気候変動対応の支援の方針やその取り組み状況
- 気候関連リスク管理の状況など(データ制約がある場合は当該制約情報も)