カーボンネガティブ実現は、どのように地球にプラスの価値をもたらすのか?

10 分 2021年1月25日
執筆者 EY Global

複数の強みや専門性を兼ね備えるプロフェッショナル集団

10 分 2021年1月25日

より良い社会の構築に貢献するため、EYは2021年にカーボンネガティブを、2025年までに実質ゼロ(ネットゼロ)を実現します。

Local Perspective IconEY Japanの視点

脱炭素に関する課題は広く議論されており、日本でも多くの企業が検討しています。
EY Japanでは、このような企業や組織の課題対応を包括的にサポートするために、2021年1月に「SDGsカーボンニュートラル支援オフィス」を設立しました。カーボンニュートラルの実現は非常に重要な課題であると考えており、EY自らが行ってきた施策をベースに少しでも多くの企業に、長期的で持続可能な対応策の提案ができると考えています。

EY Japan の窓口

瀧澤 徳也
EY Japan Regional Accounts Leader LTV推進室リーダー
要点
  • 二酸化炭素(CO2)排出量の抑制に向けた世界的なアクションが急務である。企業として、さらに先へ、より速く進む責任がEYにはある。
  • EYは、事業活動に伴うCO2絶対排出量の大幅削減、そして年間に排出する量を上回るCO2を除去および相殺するという目標を設定。2021年のカーボンネガティブ実現、2025年までのネットゼロの達成を目指す。
  • この意欲的な目標は、Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)という理念の実現と長期的価値の創出に対するEYのステークホルダー、中でもEYのメンバーの期待の変化を反映している。

気候変動は、現代における重要な課題の1つです。この科学的事実に疑問の余地はありません。人間が引き起こした、不可逆的で著しい気候の変化に私たちは直面しています。パリ協定に沿って世界の気温上昇を産業革命前の水準プラス1.5℃以内に抑えるのであれば、直ちにアクションを起こす必要があります。そうする以外に、大惨事を防ぎ、次世代のために地球を守る方法はないのです。

世界のCO2の排出源は企業です。私たちにはアクションを起こす責任があります。総じて企業には、低炭素の未来に向けたソリューションを見いだし、不可逆的な損害から地球を守るために必要な財源、技術力、グローバルネットワーク、イノベーション力があります。私たちには、今すぐ共にアクションを起こす手段と責任があるのです。

多くの企業がCO2削減目標を設定し、ネットゼロに向けて取り組みを進め、温室効果ガスを大気中から除去しています。一方で、こうした現在の取り組みでは不十分であることを示すエビデンスが増えています。

Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)というEYのPurpose(理念)が、さらに先へ、より速く進むよう私たちを突き動かしています。EYは2021年にカーボンネガティブを、2025年までに実質ゼロ(ネットゼロ)を実現します。

この目標を実現するため、年間のCO2絶対排出量を大幅に削減し、排出する量を上回るCO2の除去または相殺を行います。

Science Based Targetsイニシアチブ(SBTi)から承認を受けたSBT(科学的根拠に基づいた排出削減目標)のプラス1.5°C目標に沿った形で、EYは2025年度までにスコープ1、スコープ2、スコープ3の絶対排出量を2019年度比で40%削減し、2025年度のネットゼロを実現します。

2021年のカーボンネガティブ実現という目標は、2020年にカーボンニュートラルを達成した実績をさらに強化するものであり、EYのステークホルダーに長期的価値を創出する一助となるでしょう。

2021年にカーボンネガティブを、2025年までにネットゼロを実現し、SBTに沿ってCO2排出量を削減することは、掲げるにふさわしい目標であると確信しています。
Steve Varley
EY UK Chair, EY UK & Ireland Regional Managing Partner

EYのCO2削減目標における7つのアクションとは

EYは、以下の取り組みを行うことで、2021年にカーボンネガティブを、2025年までにネットゼロを実現します。

  • 1. 2025年度までに、出張によるCO2排出量を2019年度比で35%削減する

    EYのサービス提供にあたっては出張を伴うことが多いのですが、中でも飛行機による移動は環境に大きな悪影響を与えており、2019年度にはEYの全世界総排出量の約75%を占めています。

    私たちは以下の取り組みを行うことで、出張によるCO2排出量を削減します。

    • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大時において、EYのチームによる卓越したクライアントサービスの提供を支えてきたバーチャルコラボレーションテクノロジーの利用を、引き続き促進する
    • 新たなツールとテクノロジーを利用することで、EYのメンバーが出張に際してより良い選択をし、可能な限り環境に配慮した代替手段を使うよう奨励する

    この35%という削減目標を2025年度までに達成した場合、EYはCO2排出量を2019年度比で200万トン以上減らすことができます。

  • 2. EY全体のオフィス電力消費量を削減した上で、残りの必要電力を100%再生可能エネルギーで賄うようにし、2025年度までにRE100に加盟する

    EYは2025年度までに、RE100に正式に加盟します。RE100は、世界で最も大きな影響力を持つ企業を結集させ、使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す世界的なイニシアチブです。この目標を達成するため、EYは100%再生可能エネルギーに切り替えてオフィスの電力消費によるCO2排出量を削減し、2025年度までにゼロにします。

    革新的な働き方を導入した結果、不動産の1人当たりの専有面積を2009年度の13.8m²から7.6m²に減らすことができました。この10年間でスペースの利用を190万m²減らしたことで、15万 tCO2eを超える削減を達成しました。これは、1万7,830世帯の年間エネルギー消費量または平均的な乗用車が3億8,000万マイル走行したときの数値に相当します。

    EYの柔軟な職場環境とリモートワークのトレンド、そして新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴う変化を反映し、2020年からはグローバルのスコープ3排出量測定値に在宅勤務者の排出量が含まれるようになりました。

  • 3. PPA(再生可能エネルギー供給業者から直接電力を購入する契約)を構築し、EYの消費量を上回る電力を送電網に供給する

    複数の太陽光・風力発電所とバーチャルPPA(vPPA)で合意しています。この合意を通じ、複数の国において、100%再生可能エネルギーの発電量を、EYが消費する電力量の2倍以上に増やす計画を立てています。それにより、オフィスでの電力消費による排出量を相殺し、総電力コストを削減すると共に、発電セクターの脱炭素化に向けてEYの役割を果たすことができるでしょう。

    Ernst & Young LLP(EY US)は2019年、100%再生可能電力を使用することを目的に、テキサスの大規模な風力発電所2カ所に出資、建設するバーチャルPPA(vPPA)を締結しました。英国でも、Ernst & Young LLPが欧州最大の太陽光発電デベロッパーであるLightsource bpと初のゼロ炭素に向けたPPAで合意しています。この2件のプロジェクトで、それぞれ年間約510 GWhと20 GWhを発電することになります。これは、EYが2019年度に全世界で消費した電力256 GWhのおよそ2倍に匹敵します。

  • 4. 自然由来のソリューションや炭素削減技術を活用し、EYの年間排出量を上回るCO2を大気中から除去または相殺する

    EYは2020年12月、South Poleとの提携を開始しました。同社は、排出されたCO2を除去、相殺する自然由来のソリューションと技術への投資を行う、プロフィット・フォー・パーパス(目的のために利益を得る)企業です。

    以下のようなSouth Poleを介したEYの貢献は、世界的なカーボンフットプリントへの取り組みと合わせて大切な自然環境を保全する一助となり、再生可能エネルギープロジェクトに寄与するでしょう。

     
    • ジンバブエのKariba Forest Protection。78万ヘクタール以上の森林を保全することで、年間350万トン以上のCO2が大気中に排出されることを防ぐ
    • ウルグアイのGuanare Forest Restoration。荒れた草地を森林に再生することで、土壌の質と生物多様性が改善している
     

    このコラボレーションで、EYは北スマトラのRenun River Hydro ProjectやトルコのKoru Wind Power Plantを含めた風力・太陽光・水力プロジェクトにも投資をしています。

    この他にも、大きな効果をもたらす独自のCO2除去・削減プロジェクトで、クライアントやより広範なエコシステムの参加者と連携していきます。

  • 5. クライアント業務実施時のCO2排出量を計算し、その削減に取り組めるよう、EYのチームに支援ツールを提供する

    クライアントと直接やり取りをするプロジェクトの実施がCO2排出を招いているものの、クライアントの多くはCO2削減に共同で取り組みたいとも考えています。そこで、クライアント業務実施時のCO2排出量を計算、評価し、その削減に取り組むことのできるEngagement Carbon CalculatorなどのツールをEYの全チームに提供します。

    これにより、EYのプロジェクトチームが直接クライアントと削減努力を共有することも可能になります。クライアントからは、地球への影響を軽減するために連携強化を図りたいとの声が上がっていました。これを公表することで、EYは環境およびビジネスパフォーマンス向上を共に実現することを目指します。

  • 6. EYのサプライヤーの75%(支出額ベース)に対し、2025年度までにSBTを設定するよう求める

    EYのサプライヤーの75%(支出額ベース)に対し、2025年度までにCO2削減目標の設定とSBTiの承認取得を求めました。全サプライヤーと連携して、SBTiの承認取得と、私たちがサプライヤーから調達する製品やサービスの脱炭素化を支援します。サプライヤーと共に取り組み、またEYと取り組むことをサプライヤーに奨励することで、EYのカーボンネガティブ実現によるインパクトはさらに拡大するでしょう。

  • 7. EYのサービスやソリューションへの投資を行い、ビジネスの脱炭素化から価値の創出に取り組むクライアントの支援、そしてサステナビリティ(持続可能性)に関わるその他の課題や機会に対するソリューションを提供する

    EYが生み出すことのできる最大の変化は、クライアントのビジネスの脱炭素化を支援し、持続可能な行動によって全ステークホルダーに価値(投資家への財務的価値を含む)を創出することです。今後は、EYがサステナビリティの世界的なリーダーとしてあり続けるためのサービスとソリューションへの投資を増やしていきます。

    これには気候変動・サステナビリティ・サービスのケイパビリティに加え、ストラテジーコンサルティング税務の各サービスラインに対する投資の大幅な拡大などがあります。EYのクライアントからは、サステナビリティを高めることによる価値創造、低炭素の未来への移行加速、環境・社会・ガバナンス(ESG)分野の課題と機会への対応に支援を求める声が高まっています。

    EYは主要アライアンスへの投資を拡大して、現在利用できる最先端のテクノロジーソリューションをクライアントが活用できるよう支援していきます。また、サステナビリティに関わるマルチステークホルダーアライアンスでの活動も続けていきます。世界経済フォーラムの国際ビジネス評議会との指標および開示方法の策定、S30の創設および主導、CEO気候リーダーズ同盟のメンバー、国連グローバル・コンパクト、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)との連携などです。

    EYのメンバーにも引き続き投資を行い、自宅や職場で、そして卓越したクライアントサービスを提供する際に、気候変動対策をけん引する上で必要なスキルと知識を身に付けてもらいます。

    昨年、EYはサステナビリティの要素を組み込んだEY Tech MBAとEY Badgesという2つの研修プログラムを立ち上げました。EY Badgesでは、Badge in Climate Change & Sustainabilityを含め、さまざまな科目・分野の認定取得のための体系的な学習の場を提供します。ハルト・インターナショナル・ビジネススクールの認証を受けたEY Tech MBAは、EYのメンバーがテクノロジー、リーダーシップ、ビジネスの課題に取り組み、前進する後押しをします。パーパス、個人のウェルビーイング、ダイバーシティ&インクルーシブネス(D&I)、サステナビリティなどの幅広い科目・分野から自分に合ったカリキュラムを組み、MBA取得に向けて学ぶことができます。

カーボンネガティブ実現に向けたトランスフォーメーションに取り組み、同じ取り組みを行うクライアントの支援に注力することで、組織内にとどまらず、外部にまで私たちのインパクトを拡大することができます。一丸となって力を合わせ、経験を共有することで、変革の推進役を果たし、他者と連携を図りながら共にソリューションを見いだしていきます。

より持続可能な未来に向けてイノベーションを起こし、取り組みを加速させるためには、連携が不可欠です。どの企業にも積極的に果たすべき重要な役割があります。EYは、すでに持続可能な変革を推し進めてきた企業に触発されています。
Carmine Di Sibio
EYグローバル会長兼CEO

この意欲的な目標は、EYのステークホルダー、中でもEYのメンバーの期待の変化を反映しています。気候変動と闘い、地球を守るという自らの役割を果たすことは、Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)というEYのPurpose(理念)を実現し、長期的価値を創出する1つの方法です。

 

2020年にカーボンニュートラルを達成する過程で、私たちにもっとできることは何かを自問し続けました。新型コロナウイルス感染症危機で出張によるCO2排出量は減少しました。出張の機会は減ったものの、EYのチームは今まで通り卓越したクライアントサービスを提供することができました。この事実は低炭素の未来の姿について新たな視点をもたらし、世界が回復する過程において安易に以前の習慣に戻らない方法を考える機会となりました。

また、企業や国全体がネットゼロを目標に掲げるなど、私たちの周囲における機運の高まりも感じました。しかし、ここからさらに踏み込んで一段と大きなインパクトをもたらし、低炭素の未来への移行を加速させる必要がありました。これを実現するとともに業績を向上させ、サステナビリティを高めることで価値と新たな機会を生み出したいと考えました。

さらなる取り組みとカーボンネガティブ実現に向けて、私たちの背中を押してくれたのは、世界中で働く30万人のEYのメンバーです。カーボンネガティブの実現はEYのメンバーの意欲と好奇心をかき立て、卓越したクライアントサービスを提供する一方で自らが気候に与える影響を考え、配慮することにつながるでしょう。また、選ばれる職場というEYのメンバーファームの評判を高め、責任ある企業で働きたいと考える人材を引きつけることにもなるでしょう。

これを単独で成しとげる組織などありません。EYは、インスピレーションとモチベーションをもたらすサステナビリティの先駆者が通った道をたどり、また志を同じくする組織と協力して、この意欲的なプロジェクトを進めることを誇りに思っています。

 

EYは一丸となって力を合わせ、組織の壁を超えて変革を進め、政策や規則を形成・策定する組織やイニシアチブとの関わりも活用していきます。このような組織やイニシアチブには、S30、世界経済フォーラム(国際ビジネス評議会を含む)、COP26、国連グローバル・コンパクト、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)、Race to Zeroキャンペーンなどがあります。こうしたコラボレーションを通して、EYは人々の価値を守り創出する、低炭素ビジネスとサステナビリティの実現に向けた動きへの機運を高めていきます。

  • 用語の定義

    Science Based Targets(SBT、科学的根拠に基づいた排出削減目標)

    温室効果ガス削減目標。組織によるCO2排出量を気候科学とパリ協定の目標に沿って削減し、地球温暖化を産業革命前の水準プラス1.5℃に抑制することを目指す。

    カーボンニュートラル

    組織が1年間に出すCO2排出量に相当するCO2を除去、相殺した状態を指す。

    カーボンネガティブ

    組織が、SBTのプラス1.5℃目標に沿った形でCO2排出量を削減すると同時に、自然由来のソリューションと炭素技術への投資により年間のCO2排出量を上回るCO2を除去、相殺した状態を指す。

    ネットゼロ

    SBTのプラス1.5℃目標の達成および大気中からの残留排出量の除去という2つを両立した時点を指す。

    排出量のスコープ

    排出量は温室効果ガスプロトコルで、以下の3つに分類されています。

    • スコープ1:事業者またはその支配下の事業者の活動に伴う直接排出量すべて
    • スコープ2:事業者が購入し消費する電力からの間接排出量
    • スコープ3:事業者の活動に伴う、電力を除いた、その他の間接排出量すべて

    EYでは、スコープ1とスコープ2は主にオフィスのエネルギーに関連したもの、スコープ3は出張によるものです。

サマリー

EYは2021年にカーボンネガティブを、2025年度までに実質ゼロ(ネットゼロ)を実現します。この目標を実現するため、年間のCO2絶対排出量を大幅に削減し、排出する量を上回るCO2の除去または相殺を行います。

CO2排出量に関する私たちの新たな目標は、2020年にカーボンニュートラルを達成した実績をさらに強化するものであり、ステークホルダーに長期的価値を創出する一助となるでしょう。

この記事について

執筆者 EY Global

複数の強みや専門性を兼ね備えるプロフェッショナル集団