3. 会計部門と財務部門を融合させる
企業がすべてのステークホルダーに企業価値を配分できるのは、経営指導部によるビジョン共有の下で、組織全体のスキルや持てる能力を活用した場合のみです。会計部門と財務部門はこの集団的努力の中で重要な役割を果たします。特に投資家などのステークホルダーの要求を聞き入れ、理解し、関連付け、妥当かつ重要な指標や開示に変換します。
報告はステークホルダーに信頼され、信用され、妥当なものであり、財務情報と非財務情報の間に明確な関連性がなければなりません。CFOと財務責任者は、サステナビリティとESGの報告実践を指導してきた経験や知識に基づき、非財務報告のプロセスと制御に規律を加えることができます。財務部門は効果的なガバナンスを確立し、財務以外のプロセス、管理、データ公表に関して独立した保証を取得する手助けができます。これはステークホルダーとの信頼と透明性を築くのに欠かせません。
EYがOxford Analytica社と共同で新たにまとめたレポート『The future of sustainability reporting standards』でも述べているように、今後12~18カ月間は、ここ数十年の間で最も重要なイノベーションを企業会計とコーポレートレポーティングにもたらす大きな転換期となるかもしれません。
各国・地域の基準やグローバル基準の策定が進められていますが、気候関連の報告や情報開示がネットゼロ社会を実現させる万能の解決策でないことを忘れてはなりません。一方で、排出量を削減し、気候変動対策に取り組むという世界的な課題に対応するためには、これらの基準づくりが不可欠です。