EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
ナレッジセンター 伊藤恵子・佐伯洋介・吉田剛
平成22年6月第1四半期決算においては、前期決算に引き続いて新たに適用となる会計基準等が数多くあります。本稿では、それらのうち主な決算上の留意事項等をⅠにおいて解説するとともに、Ⅱでは開示上の留意事項について整理します。また、Ⅲではその他の会計処理上の留意事項を解説します。
なお、文中意見にわたる部分は筆者の私見であり、法人の公式見解ではないことを、あらかじめお断りします。
原則として、平成22年4月1日以後開始する事業年度から適用するものとされており、また早期適用が可能となっています(基準17項)。本会計基準等の適用については、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱うことになります(基準20項)。
また、適用初年度における期首残高の取扱いに係る定めが設けられています(基準18項)。
本会計基準は、有形固定資産等の除去に関連する義務である「資産除去債務」の会計処理を定めるものであり、これまでは除去時点の費用や、もしくは引当金として処理されていたこれらの義務に関して、その発生時に負債計上を求めるものです。
会計基準において定義されている主要な用語は図表1のとおりになります。
図表1 資産除去債務会計基準での用語の定義
資産除去債務 (基準3項(1)) | 有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務およびそれに準ずるものをいう。 |
有形固定資産の「除去」 (基準3項(2)) | 有形固定資産を用役提供から除外することをいう(一時的に除外する場合を除く。)。 |
適用範囲は図表2のとおりになります。
図表2 適用範囲
対象資産 | 有形固定資産および投資不動産 |
発生原因 | 「通常の使用」で生じるものに限る |
「除去」の範囲 | 売却、廃棄、リサイクルを含み、転用、用途変更、遊休化、環境修復、または修繕を含まない |
「義務」の範囲 | 法律上の解釈により当事者間の清算が要請される債務や過去の判例等のうち、法律上の義務とほぼ同等の不可避的な支出が義務付けられるようなものを含む |
資産除去債務に係る基本的な会計処理は図表3のとおりになります。
資産除去債務は、資産の取得等により発生したタイミングで負債計上します(基準4項)。また、債務の同額を資産の帳簿価額に加算し、その加算された金額は資産の使用に伴い費用配分されます(基準7項)。一方、債務については、その当初計上後、時の経過による増加額を費用に計上します(基準9項)。
図表3 資産除去債務の基本的会計処理
前述(1)の「適用初年度の期首残高の取扱い」について、基準では以下の差額を特別損失(「資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額」など)に計上することとされています(基準18項)。
なお、2年目以降については、資産除去債務計上額と実際の支出額との差額が異常な原因により生じたものでない限り、特別損益として処理する取扱いはないことに留意が必要です。
資産除去債務に関して、従来引当金を計上していた場合には、資産除去債務、有形固定資産の期首残高は引当金の計上がない場合と同様に算定しますが、引当金の残高を上記資産除去債務の一部として引き継ぐこととされており、その分だけ特別損失の額が減少することになります。
なお、四半期(連結)損益計算書および四半期(連結)キャッシュ・フロー計算書については、規則上四半期固有の取扱いは設けられていないため、図表4の取扱いに従うことになります。
図表4 P/L・C/Fの表示上の取扱い
損益計算書 |
|
||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
キャッシュ・フロー計算書 |
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||||||
平成22年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の第1四半期会計期間から適用となります。本会計基準等の適用については、開示に関する基準であるため、追加情報として記載すると考えられます。
また、すべての企業の連結財務諸表または個別財務諸表に対して適用されますが、連結財務諸表においてセグメント情報等を注記している場合は、個別財務諸表において注記は不要となります(基準3項)。
基準4項において、以下の基本原則が定められています。
セグメント情報等の開示は、財務諸表利用者が過去の業績を理解し、将来のキャッシュ・フローの予測を適切に評価できるように、企業が行うさまざまな事業活動の内容およびこれを行う経営環境に関して適切な情報を提供するものでなければならない。
セグメント会計基準等では、マネジメント・アプローチによる開示が行われます。マネジメント・アプローチの特徴として以下のものがあります。
事業セグメントとは、以下の要件を満たす構成単位をいいます(基準6項)。
マネジメント・アプローチの結果、個々の連結子会社および持分法適用会社がそれぞれ事業セグメントを構成することがあり得ます。
また、持分法適用会社について、セグメント情報として開示する額は、持分法投資損益の金額、持分法適用会社の財務情報の金額または当該財務情報の金額に持分割合を乗じた金額などによります。
マトリックス組織を採用している場合、最高経営意思決定機関が、業績を評価し、資源配分の意思決定を行うに当たり、どのように区分した構成単位をより重視しているかで判断します。
事業セグメントのうち、報告すべきものを「報告セグメント」といいます(基準10項)。
報告セグメントは、以下のように決定されます。
以下のすべての要件を満たす場合、複数の事業セグメントを一つのセグメントに集約することができます(基準11項)。
例えば、長期的な売上総利益率(平均値)が近似することが見込まれるなど、長期的に近似した業績の動向を示すことが見込まれている場合が考えられます(指針8項)。
以下のいずれかを満たす場合、事業セグメントを報告セグメントとして開示しなければなりません(基準12項)。
なお、量的基準に該当しない場合であっても、報告セグメントとして開示することは妨げられません。ただし、報告セグメントが10を超える場合は、当該セグメント情報の区分方法が財務諸表利用者に適切な情報を提供するものであるかについて、慎重に判断する必要があります(基準75項)。
以下の場合には、量的基準を満たしていない複数の事業セグメントを結合して報告セグメントとすることができます(基準13項)。
報告セグメントの外部顧客への売上高の合計額が損益計算書の売上高の75%以上となるまで、事業セグメントを報告セグメントに追加する必要があります(基準14項)。
適用初年度の第1四半期においては、以下の事項を注記します。
A |
B |
その他 |
合計 |
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売上高 |
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計 |
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セグメント利益または損失(△) |
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マネジメント・アプローチの趣旨に従って測定します。
年度決算では、平成22年3月31日以後終了する事業年度の年度末から適用となっていますが、四半期決算としては、その翌年度の四半期決算が原則適用となります。
なお、前事業年度において既に会計基準等が適用となっていることから、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更には該当せず、また注記を新たに記載した場合でも、追加情報の記載は不要と考えられます。
四半期報告書における開示事項は図表6のとおりになります。
図表6 四半期報告書における金融商品の時価等の開示
金融商品関係 (四半期連結財規15条の2、四半期財規8条の2) | 要件 | 科目ごと(※)に以下の二つの要件を満たす ・事業の運営において重要 ・前期末の金額(B/S計上額その他の金額)に比して著しい変動がある | |
注記事項 | ・四半期(連結)B/Sの科目ごとの計上額 ・時価 ・上記の差額 ・時価の算定方法 |
有価証券関係 (四半期連結財規16条、四半期財規9条) | 要件 | 「時価のある満期保有目的債券」・「時価のあるその他有価証券」おのおので以下の二つの要件を満たす ・事業の運営において重要 ・前期末の金額(B/S計上額その他の金額)に比して著しい変動がある | |
注記事項 | ・四半期(連結)B/S計上額 ・時価(満期保有目的債券)または取得原価(その他有価証券) ・上記の差額 |
デリバティブ取引関係 (四半期連結財規17条、四半期財規10条) | 要件 | 対象物の種類(通貨・金利・株式・債券・商品その他の取引)ごとに以下の二つの要件を満たす ・事業の運営において重要 ・契約額等に前期末の金額に比して著しい変動がある | |
注記事項 | ・契約額または契約において定められた元本相当額 ・時価 ・評価損益 |
(※)有価証券・デリバティブを除き、四半期(連結)B/Sに個別掲記されていないものについては、注記を省略できるものと考えられます。
また、実務上のポイントと考えられる点を、以下項目別に記載しています。
金融商品の時価等の開示と同じく、年度決算では、平成22年3月31日以後終了する事業年度の年度末から適用となっていますが、四半期決算としては、その翌年度の四半期決算が原則適用となります。
なお、前事業年度において記載した、追加情報の記載は不要と考えられます。
賃貸等不動産とは、棚卸資産に分類されている不動産以外のものであって、賃貸収益またはキャピタルゲインの獲得を目的として保有されている不動産をいうものとされており(基準4項(2))、以下の不動産が含まれます(基準5項、6項)。
また、物品の製造や販売、サービスの提供、経営管理に使用されている場合は賃貸等不動産には含まれないとされています(基準4項(2))。
四半期決算においては、前期末と比較して著しい変動がある場合に注記が必要とされており、金融商品や資産除去債務のように「事業の運営において重要」であるかどうかは要件とされていない点に留意する必要があります。
この四半期決算における具体的な注記事項については、以下のとおりとなります。
四半期決算において、賃貸等不動産の時価等の開示を要するか否か、十分な検討が必要と考えられますが、そのポイントとして、例えば以下のような点が挙げられます。
また、四半期決算では、時価の算定においても、開示の迅速性をかんがみ、会計基準の容認規定を用いることが考えられますが、そのポイントはおのおの以下のとおりと思われます。
本改正により適用される会計基準等は図表7のとおりとなります。
図表7 企業結合関係の会計基準等の平成20年12月改正一覧
また、これらの公表・改正を受けて、平成21年6月9日付で日本公認会計士協会より会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」等の改正が公表されています。
原則として、平成22年4月1日以後実施される企業結合、事業分離等または非連結子会社および関連会社に対する投資に係る会計処理から適用するものとされています(企業結合基準57項など)。この場合、その他連結財務諸表に係る事項は平成22年4月1日以後開始する連結会計年度から適用になります(連結基準44項(1))。
3月決算以外の会社においては、平成22年4月1日を含む事業年度の企業結合等の会計処理が、同日の前後で相違することになる可能性がありますが、中間または四半期・年度の首尾一貫性が保持されていない場合には該当しないものとされています(企業結合基準129項など)。平成22年4月1日の前後で相違するのは、会計基準等の適用時期が「事業年度」ベースではなく、企業結合等の「実施日」ベースとなっていることによります。
なお、首尾一貫性が保持されていない場合には該当しなくとも、同一年度内の会計処理の相違が重要な場合には、その旨およびその内容を追加情報として注記することを検討する必要があります(企業結合基準129項ただし書きなど)。
本会計基準の適用により、従来の取扱いと異なる主要な点は図表8のとおりとなります。
図表8 企業結合会計基準の改正等による従来との主な相違点
項目 |
改正後の取扱い |
従来の取扱い |
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企業結合(共同支配企業の形成および共通支配下の取引以外)の会計処理 |
持分プーリング法が廃止され、パーチェス法にて処理されることとなった(企業結合基準17項)。 |
企業結合が取得と判定された場合にはパーチェス法で、持分の結合と判定された場合には持分プーリング法で処理されていた。 |
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企業結合に係る対価(株式を対価とする場合)の測定日 |
企業結合日の時価を基礎として算定されることとなった(企業結合基準24項など)。 |
原則として、企業結合の主要条件が合意され公表された前5日間の株価を基礎とするとされていた。 |
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連結財務諸表における段階取得の会計処理 |
取得原価を企業結合日における時価で算定することとし、個々の取引の原価の合計額(持分法評価額を含む)との差額は損益として認識されることとなった(企業結合基準25項など)。 |
個々の取引における原価の合計額(持分法評価額を含む)をもって、支配獲得時の取得原価とするものとされていた。 |
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負ののれんの会計処理 |
識別可能資産・負債の把握、取得原価配分の見直しを行い、なお負ののれんが生じる場合に、発生時の利益とするものとされた(企業結合基準33項など)。 |
のれん(借方)と同じく、一定の年数での償却処理が求められていた。 |
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仕掛研究開発費の会計処理 |
識別可能な仕掛研究開発費について、無形固定資産として取得原価を配分し、資産計上することとなった(企業結合基準28項および29項など)。 |
仕掛研究開発費に取得原価が配分された場合、配分時の費用とするものとされていた。 |
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連結財務諸表作成時の子会社の資産・負債の評価方法 |
部分時価評価法が廃止され、全面時価評価法に一本化された(連結基準20項)。 |
全面時価評価法と部分時価評価法の選択適用とされていた。 |
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在外子会社株式の取得により生じたのれんの換算 |
各子会社に適用される決算日時点の換算レートで、毎期換算替されることとなった(改正適用指針77-2項)。 |
親会社の通貨である円貨で固定されているとし、発生時のレートで換算されていた。 |
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共同支配投資企業に対する投資の会計処理 |
「のれん」部分を処理する方法(通常の持分法)で会計処理を行うこととなった(企業結合基準39項(2))。 |
「のれん」部分を処理しない方法(持分法に準じた処理方法)で会計処理されていた。 |
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連結会計基準に定めのない企業結合に係る会計処理・開示 |
企業結合会計基準に準拠した処理・注記を行うことが明確化された(連結基準注15)。 |
企業結合会計基準の定めに準じて処理することができるとされており、準じた処理を行った場合には注記が必要とされていた。 |
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「少数株主損益調整前当期純損益」の表示 |
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税金等調整前当期純損益と最終損益(当期純損益)との間に段階損益は表示されていなかった。 |
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特に、開示面において、従来は企業結合や事業分離の注記が求められていなかった、連結会計基準に従って会計処理された企業結合(新たに子会社を連結に含めることとなった場合や子会社株式の追加取得および一部売却等があった場合)についても、以下の注記が必要とされたため、留意が必要です(上表(※))。
図表9 連結会計基準に従って会計処理された企業結合の注記
取引 | 注記事項 |
他の会社(関連会社を含む)の子会社化 | 取得とされた企業結合の注記 |
子会社株式の追加取得 | 共通支配下の取引に係る注記 |
子会社株式の一部売却 |
他の会社(関連会社を含む)の子会社化 | 取得とされた企業結合の注記 |
なお、図表9で(※)を付した取引について、株式の売却先が同社を連結しない場合には、注記が求められていないと考えられます。これは、連結基準(注15)が必要な注記として分離基準54項(子会社の企業結合の注記)を参照している一方で、分離基準28項(事業分離における分離元企業の注記)を参照していないことによるものです。
原則として、本会計基準等の適用により、従前の会計処理についてはその取扱いを継続し、適用日において会計処理の見直しおよび遡及(そきゅう)的な処理は行わないとされています(企業結合基準58項ただし書きなど)。従って、過年度に負債に計上した負ののれんについても、従来の処理・開示を継続することになります(平成21年内閣府令第5号附則3条1項1号)。
ただし、本会計基準等の適用前において、子会社の資産・負債の評価方法として部分時価評価法を採用していた会社は、その適用初年度の期首時点において、全面時価評価法を用いた評価額に修正する必要があります(連結基準44項(3)ただし書き)。
①に記載した、部分時価評価法から全面時価評価法への修正による影響額を除いて、会計方針の変更に伴う影響額の注記は要しないものとされています(連結基準44項(4)など)。
(*)が付された事項については、個々の取引に重要性が乏しい場合でも、当該四半期に行われた企業結合全体で重要性がある場合には、注記が必要とされている事項になります。
平成22年4月1日以後開始する事業年度から原則適用するものとされています(基準18項)。
本会計基準等の適用について、持分法が適用される被投資会社の会計処理の原則および手続きを投資会社と統一するために変更する場合には、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱われることになります(基準28項)。
本会計基準公表の目的は、持分法に関する会計処理および開示を定めることにあります(基準1項)。すなわち、従来「連結財務諸表原則」に定められていた持分法に関する会計処理等を独立の会計基準として定めたものであり、原則として新たな会計処理または表示方法の採用が強制されることはないとされています(基準28項)。
しかしながら、新たな定めが一つ設けられており、同一の環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社および持分法を適用する被投資会社が採用する会計処理の原則および手続きは、原則として統一するものとされています(基準9項)。従来、持分法適用関連会社の会計方針については、会計基準で特に明示されておらず、「原則として統一することが望ましい」(平成21年6月改正前会計制度委員会報告第9号「持分法会計に関する実務指針」5項)とされていました。また、持分法を適用している非連結子会社についても、「必ずしも統一することを要しない」(監査・保証実務委員会報告第56号「親子会社間の会計処理の統一に関する当面の監査上の取扱い」2. なお書き)とされていました。
持分法適用関連会社については、本会計基準における原則的な定めに対して、実務対応報告第24号において当面の取扱いが定められており、その概要は以下のとおりとなります。
本会計基準および実務対応報告第24号の適用による影響額について、以下のように取り扱う旨が示されています。
原則として、平成22年4月1日以後開始する事業年度から適用するものとされており、また早期適用が可能となっています(改正基準21-2項)。本会計基準等の適用については、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱われることになると考えられます。
なお、適用初年度における影響額の取扱いに係る定めが設けられています(改正基準21-3項および21-4項)。
本会計基準の適用により、従来の取扱いと異なる主要な点は図表10のとおりとなります。
図表10 改正棚卸資産会計基準の適用による従来との主な相違点
項目 |
改正棚卸資産会計基準 |
従来の取扱い |
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「後入先出法」の廃止 |
棚卸資産の評価方法として以下の四つの方法が明示された。
|
企業会計原則注解21(1)において五つの方法(個別法・先入先出法・後入先出法・平均原価法・売価還元原価法)が例示されていた。 |
「最終仕入原価法」の要件の明確化 |
上記四つの方法に含まれていないが、一定の条件下で容認される方法とされた。 |
会計基準上、最終仕入原価法への言及はなかった。 |
平成22年度税制改正(グループ法人税制の導入など)に対応し、以下の実務対応報告の改正が提案されています。
これらについては、6月末までに改正後の実務対応報告を公表することが予定されており、実施時期として平成22年6月30日以後終了する事業年度末および四半期会計期間末からとすること(同日より前に終了する事業年度末および四半期会計期間末からの早期適用が可能)が予定されています。
なお、実務対応報告第4号「連結納税制度を適用する場合の中間財務諸表等における税効果会計に関する当面の取扱い」は、必要と考えられる定めのみ引き継いだ上で、廃止することが提案されています。
改正案では、主に以下の事項に係る改正が提案されています。
金融市場における混乱を背景に債券の保有目的区分の変更に関して当面必要と考えられる取扱いを示したものであり、本実務対応報告公表日(平成20年12月5日)から平成22年3月31日までの適用となっており、平成22年4月1日以後の保有目的区分の変更の取扱いについては、あらためて検討することとされていました。適用事例が少数にとどまること、最近の経済環境を踏まえたところで継続する必要性に乏しいと考えられることから、同取扱いは廃止されることとなりました。
経理の状況以外の部分では、以下のものについて新たに開示を要求されます。
以下については、従来、事業の種類別セグメント(事業部門等含む)に関連して記載されていましたが、セグメント情報に関連した記載が求められることとなりました。
平成22年2月1日以後に開始する四半期会計期間において、行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況として、前四半期会計期間と当四半期会計期間に係るものについて以下の開示が必要となります。
当四半期会計期間において、有価証券届出書、発行登録追補書類または臨時報告書に記載すべき手取金の総額ならびにその使途の区分ごとの内容、金額および支出予定時期に重要な変更が生じた場合には、その内容を記載する必要があります。
減損会計基準等では、以下の事項が減損の兆候として例示されていますが、これらはあくまでも例示であり、会社の状況に応じて適切な判断が行われる必要がある点に留意する必要があります。
減損の兆候の有無の把握、減損損失認識の要否の判断および減損損失の測定に際し、特に留意して実施すべきと考えられる項目は以下のとおりです。
時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損失として処理します。
時価が、おおむね1年以内に取得原価にほぼ近い水準まで回復することを合理的な根拠で予測できる場合は、回復する見込みがあると認められますが、以下の場合は、通常、回復する見込みがあると認められません。
発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したとき、相当の減額をなし、評価差額は当期の損失として処理します。
実質価額の算定に当たっては、決算日までに入手し得る直近の財務諸表を使用し、その後の状況で財政状態に重要な影響を及ぼす事項が判明していればその事項も加味します。
なお、子会社や関連会社等の株式については、事業計画の合理性および実現可能性がある場合には、5年以内に回復すると見込まれる金額を上限として回復可能性の判定を行いますが、回復可能性は毎期見直すことが必要であり、事業計画が予定通りに進まないことが判明したとき(実績が事業計画を下回った場合など)には、減損処理の要否の検討が必要になります。