2022年6月21日
光るドローンが飛ぶそばで手を動かす男性の体

エンタープライズ5Gについて把握すべき6つの傾向

執筆者
Tom Loozen

EY Global Telecommunications Sector Leader

Fascinated by the positive impact of telecoms. Passionate musician. Enjoys educating himself on psychology, wine, sports, technology, arts and much more. Husband and father of three daughters.

Adrian Baschnonga

EY Global Telecommunications Lead Analyst

Lead Analyst with deep sector knowledge in technology, media and telecom, gained in professional services and business intelligence environments.

EY Japanの窓口

EY Japan テクノロジー・メディア & エンターテインメント・テレコム・ストラテジー・アンド・トランザクションリーダー EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 パートナー

事業開発、M&Aや事業投資に関する意思決定のためのアドバイスを提供。趣味は映画鑑賞や音楽、旅行。

2022年6月21日

5Gは業界変⾰の鍵となっていますが、5Gのプロバイダーは法⼈顧客の⽬標と信頼のレベルを⾼める必要があります。

要点

  • 2022年における5G投資の見通しは、業種を問わず引き続き旺盛である。
  • しかし、5G採用に成功する能力が自社にあると強い自信を持っている企業はわずか4分の1にすぎない。
  • サステナビリティは依然として企業の最重要課題であることから、5Gプロバイダーは5GとIoTのユースケースをサステナビリティのニーズにより緊密に合わせる必要がある。
Local Perspective IconEY Japanの視点

5Gの高速・低遅延、同時多接続性を生かした導入事例は、日本においても増えています。日本においてはローカル5Gにより、各企業や自治体が地域やエリアを限定して独自のネットワーク網を構築できることで、エリアにおける独自アプリケーションを使ったエコシステムを構築することが可能になり、地域独自のアプリケーションサービスやコンテンツサービスの導入も進んでいます。

企業においても、5Gによる競争力のあるエコシステムの構築を進めることは、DXを実現する上で考慮すべきキーテクノロジーとなっています。そのためには、業務や業界に関する知見に加えて5G通信に関する知識、さらにサイバーリスク対応、IoTデバイスの組み込みなどの接続性やそこから得られるデータに関する知見を深めること、特に多数の接続デバイスから多くのデータを収集し分析してAIやアナリティクスにより判断や自動化のレベルを高めることで、競争力のあるエコシステムの構築が実現できるよう態勢を整えることが重要なポイントとなります。

 

EY Japanの窓口

岩本 昌悟
EY Japan テクノロジー・メディア & エンターテインメント・テレコム・ストラテジー・アンド・トランザクションリーダー EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 パートナー

各種エマージングテクノロジーへの現在および今後の支出は健全なレベルであり、パンデミックの最中でもレジリエンスを保てるユースケースへの関心が高まっていますが、産業用5Gの世界は大きな課題に直面しています。最新の調査EYによる産業の未来図を再構築するための調査2022(EY Reimagining Industry Futures study)(pdf) によると、自社の組織は5G採用を成功させられると強い自信を持っているのは回答のわずか24%であることが明らかになっており、5Gの機会について、企業がどれだけ確信を持っているかが問題となっています。

そこで、5Gプロバイダーが企業への対応を前進させることがますます重要になっています。企業が重大な問題点への対処や、エコシステムパートナーシップの強化、財務的成果の追求を実現できるよう支援するとともに、5Gとその関連テクノロジーを企業が安心して導入できるようサポートすることです。

そのためには、5Gについての企業の本音を理解することが重要になります。そうすることで、サービスプロバイダーは、信頼できるビジネスパートナーとしての地位を確立させることができます。最新の調査報告 EYによる産業の未来図を再構築するための調査2022(EY Reimagining Industry Futures study)(pdf)では、全てのベンダーが考慮すべき6つの価値ある知見を明らかにしています。

1. ⽀出意向は強いが、5G採用は保証されていない

企業によるエマージングテクノロジー導入については、今後3年間は明るい見通しが広がっています。EYの調査によれば、オートメーションとブロックチェーンのみ前年比減となっているものの、エマージングテクノロジーの8つあるカテゴリーのうち5つで、現在および今後の投資は増加しています。

 

エマージングテクノロジーへの企業の投資

今後の支出意向は5Gが最も高く、環境・社会・ガバナンス(ESG)リスク対応への役割が最重要視されています。サステナビリティ目標の達成(68%)やサプライチェーン管理の向上(65%)に役立つ5Gのユースケースに対する企業の関心は、以前にも増して高くなっています。

とはいえ、5G採用が長期に及ぶという保証はなく、ベンダーは油断できません。5Gへの投資を予定しているアジアの企業の数は、昨年から10%近く低下しています。5Gは今後さらに主流になるとはいえ、採用に対してむしろ消極的になる企業もある可能性をテクノロジープロバイダーは認識しておくべきです。

2. 企業の5Gビジョンは守りの傾向を強めている

5GやIoTに対しては、隣接市場に参入してトップラインの成長を目指すよりも効率や最適化の方を重視する、より堅実な守りの姿勢が定着しています。IoTによる業務効率化の推進が企業にとって最大のIoT優先事項となっており、回答でもこれを挙げる比率は前年よりも増加しました。

こうした結果を反映して、新商品や新サービスをIoT支出の理由に挙げる企業は前年よりも減少しており、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)による高度な5Gユースケースを重要な活用方法とする企業もわずか28%となっています。

また、5Gへの関心を高めている要因であるESG対応は、テクノロジープロバイダーに対する新たな要求にもなっており、プロバイダーは対応を迫られています。回答した企業の47%は、ベンダーが提供するユースケースは自社のサステナビリティニーズに十分に対応していないと考えています。

ESG対応

47%

の企業が、ベンダーが提供するユースケースは自社のサステナビリティニーズに十分に対応していないと考えています。

5Gプロバイダーはこうした意見を受け止め、トップラインの成長を促進させる5Gのポテンシャルについてより説得力のあるビジョンを示すとともに、5Gのユースケースが企業の短期的ニーズに合致したものになるよう取り組む必要があります。

3. 企業は5Gの新たな購⼊⽅法や新しい展開方法に対して理解を⽰している

ディスラプティブ(破壊的)なビジネスモデルを通して提供される5Gソリューションに対して、企業は理解を示すようになっています。調査によると、77%の企業が、5GおよびIoTのユースケースの導入に対応するためのプライベートネットワークの活用に関心を示しています。また、回答では50%がプライベートネットワーク機能の購入は事業にとって重要な5G投資戦略だと考えており、ネットワーク管理能力の強化(68%)とネットワークの信頼性向上(64%)を筆頭にさまざまな特長を挙げています。

 

プライベートネットワークの特長に対する企業の考え方

同時に、71%の企業が仮想移動体通信事業者(MVNO)などを介した5G採用を検討しており、64%が5G周波数帯の直接取得が重要になるかもしれないと回答しています。

以上のことから、顧客が発するこうしたディスラプティブなシグナルは、テレコム事業者の法人顧客との従来の関係が厳しい状況にあること、また5Gを活用したIoTの世界では今まで以上に迅速な市場開拓戦略が不可欠であることを示しています。

4. 5Gと他のテクノロジーとの関係が注目されているが、サイバーリスクへの関心は低い

企業は自社の課題の第1位に、5Gと他のエマージングテクノロジーとの関係を十分に理解できていないことを挙げています(前年は5位)。今後についても、5Gと他のテクノロジーとの関係を調べることが企業の最優先事項となっています。この結果には、さまざまな「フロンティア」テクノロジー同士を相互に有益な形で組み合わせて活用したいという企業の考えが明確に表れています。同時に、企業がエマージングテクノロジーの基本について継続的に学ぶことで得られる利点を求めていることが読み取れます。

興味深いのは、サイバー脅威の軽減をIoTの優先事項と捉えている企業はわずか22%で最下位となり、サイバーリスクの軽減も5Gの優先事項で6位にとどまっている点です。インダストリー4.0における潜在的攻撃対象の範囲を考えると、こうした傾向が続けば危険な盲点となるかもしれず、「セキュリティ・バイ・デザイン」の原則に裏付けられた5Gおよび関連エマージングテクノロジー導入を徹底させる必要があります。

5. ネットワークベンダーはトランスフォーメーションのエキスパートとして信頼を得つつあるが、テレコム事業者は後れを取っている

5Gへの道をサポートする存在として、企業はテクノロジープロバイダーやテレコム事業者に注目していますが、その選定条件について、今回の調査結果は興味深い点を示しています。企業がベンダーに今最も求めているのは「競争力のある価格設定」がトップで、「実施のスピード」を抜いています。また今後に目を向けると、企業がサプライヤーに最も望む特性のトップ2は「共同開発する」能力と「ソリューションをカスタマイズする」能力です。

コラボレーションの重視という点からは、企業が求めているのは単なるテクノロジーサプライヤーではなく、トランスフォーメーションのパートナーであることが明らかに見て取れます。一方、必要とするデジタルトランスフォーメーション(DX)の専門技術を持つサプライヤーはどれかとなると、企業の意見は分かれます。アプリケーションおよびプラットフォームのベンダーがトップで55%、これに僅差で専門サービス企業(53%)が続いています。また、ネットワーク機器ベンダー(30%)は昨年よりも支持を集めています。

DXの専門性に対する企業の見方

テレコム事業者は、DXエキスパートとして見ている企業がわずか19%と後れを取っています。IoTエキスパートとしての評価はトップですが(54%)、新しい形態のコネクティビティによるトランスフォーメーションの提供者としては、かなり低めの信頼度です。テレコム事業者はビジネスに成果をもたらす存在として、信頼性を向上させることが不可欠です。

6. 企業のエコシステム戦略はより野心的になっている

新テクノロジーの活用を目指す上で、エコシステムの連携は、企業間で新しいスキルや知識を獲得する際に避けて通れない道となっています。69%の企業がすでに事業のエコシステム内にある他の組織と連携しており、それをさらに上回る75%が、エコシステム戦略は今後5年間の成長見通しの中核になると考えています。

とりわけ重要なのは、エコシステム戦略のドライバー(推進要因)がさらに野心的になっている点で、セクターの枠組みを超えたパートナーシップ構築や、新しい商品やサービスの収益化までの時間短縮といった理由がますます重要視されています。

企業におけるエコシステム連携のドライバー

特筆すべき点として、回答では73%が、自社の5G能力の一環として必要なエコシステム連携を提供できるサプライヤーを優先すると述べています。従って、5Gプロバイダーが法人顧客の期待の変化に応えていくには、急速に変化し続ける企業エコシステムの中に踏み込む能力が必要になります。

サマリー

5Gは企業にとって、とりわけパンデミックを機にレジリエンス向上を目指すためには不可欠であることに変わりはありません。しかし、企業は成⻑の機会を⾒逃している可能性があります。そうした企業がインダストリー4.0を最⼤限に活⽤するには、サプライヤーからの⽀援を強化する必要があります。

この記事について

執筆者
Tom Loozen

EY Global Telecommunications Sector Leader

Fascinated by the positive impact of telecoms. Passionate musician. Enjoys educating himself on psychology, wine, sports, technology, arts and much more. Husband and father of three daughters.

Adrian Baschnonga

EY Global Telecommunications Lead Analyst

Lead Analyst with deep sector knowledge in technology, media and telecom, gained in professional services and business intelligence environments.

EY Japanの窓口

EY Japan テクノロジー・メディア & エンターテインメント・テレコム・ストラテジー・アンド・トランザクションリーダー EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 パートナー

事業開発、M&Aや事業投資に関する意思決定のためのアドバイスを提供。趣味は映画鑑賞や音楽、旅行。

  • Facebook
  • LinkedIn
  • Twitter