私たちのエネルギー・エコシステムは多種多様であり、広範囲にわたって展開する多数の設備によって構成されています。電力供給設備の管理業務は複雑で労働集約的であるばかりでなく、コストと危険を伴うことがあります。このような重要なインフラ設備の管理方法が、スペーステックの登場により大きく変わろうとしています。
オーストラリアの電力は、大陸全域に広がるさまざまな電力源から供給されています。石炭火力発電所、ガスタービン発電所、風力・太陽光発電設備、水力発電所などです。そして、エネルギーは全長数千キロメートルに及ぶガス輸送パイプラインや高圧送電網によって運ばれ、最終的に各地域へと届けられます。
このインフラは広範囲にわたり、管理上の多くのリスクを伴い、設備状況や生息地の継続的なモニタリング、および規制遵守が必要です。スペーステックの適用により、こうしたエネルギー配電網の分野における業界変革が期待されています。
宇宙・衛星データを活用した保守点検
高圧送電網について考えてみましょう。電力会社はこの送電網のために広大な土地を管理しています。送電網には森林地帯を横切っているものもあれば公有地に敷設されているものもあります。そして大部分は遠隔地にあり、人が近づくには困難を伴います。
森林火災を防止するためには、植生管理が非常に重要です。されに、断線している送電線や送電鉄塔に傾きなど、設備状況のモニタリングも必要です。この高圧送電網という重要なインフラの維持と安定した電力供給の確保にかかるコストは、電力会社の全コストの中で大きな部分を占めています。
天然ガスの輸送網のモニタリングと保守も、同様の課題を抱えています。オーストラリアには全長約4万キロにわたるガス輸送パイプラインが存在し、使用されるガスは全てこの遠隔地からのパイプラインを経由して運ばれています。このネットワークを手作業で検査する場合、通常人間による実地調査とドローンで撮影した映像の確認を組み合わせて行われます。しかし、この方法は立ち入りにくい場所へ向かう危険性と、実地調査による検査品質の一貫性を確保することが難しいという問題を抱えています。さらに、全輸送網を点検には数年を要することもあります。
こうした課題を解決するのが、スペーステックです。高コストで多くの人手を必要とする輸送網の点検作業を、衛星を使って撮影した15cmから30cmの地上解像度の画像分析で代替します。衛星から送られる観測画像から一貫性、再現性のあるデータが得られます。その結果、送電塔や送電線の構造上の問題の確認から、制御システムで異常が検知された際の状況確認まで、多くの事象の継続的なモニタリングが可能となります。また、ガス輸送パイプラインの安全性を脅かす腐食について、問題になる前に警告を出すことができます。
スペーステックでは常時モニタリングを行うため、遠隔地にある資産の状況把握および対応のために、次の定期的な実地点検まで待つ必要はありません。画像データを解析し、リアルタイムで警告を発信します。