EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
英国政府は2022年9月23日、財政声明(英国政府の「ミニ」予算であり、政府の「成長計画(Growth Plan)」と公式に呼ばれる)を発表しました。本アラートでは、財政声明に盛り込まれた主な発表内容の要約をお伝えします。このトピックに関してEY UKが同日に開催したウェブキャストは、こちらからご登録の上オンデマンドでご視聴いただけます。
この成長計画の基本的な目標は、英国経済のトレンド成長率2.5%を達成することです。このことを念頭に置いた今回の財政声明には、さまざまな税目の税率引下げや新規投資の優遇措置に関する発表内容が盛り込まれました。これらすべてにより、外国人投資家の投資先としての英国の魅力が著しく高まるとともに、すでに英国で活動を行っている企業や個人にさらなる節税がもたらされることが期待されます。
英国財務相は、2023年4月1日から予定されていた法人税率の19%から25%への引上げを中止することを確認しました。この19%の税率については、今後発表される財政法案の中で確認される予定です。暫定税金徴収法に基づく動議(成立した場合、当該措置に直ちに(ただし暫定的な)効力を生じさせる)は提出されていないようです。すなわち、この改正は英国GAAPおよびIFRSの目的上まだ実質的に成立しておらず、従ってまだ財務諸表に反映されるべきではありません。次の財政法案について、議会の第三読会が12月31日より前に実施された場合、12月決算の企業は引上げ中止後の税率に基づいて財務報告を行うことが必要になると思われますが、同法案の審議をめぐるタイミングはまだ明らかになっておらず、同法案は来年初めまで当該段階に到達しない可能性があります。
また財務相は、銀行サーチャージが8%に据え置かれること、およびサーチャージ控除の1億ポンドへの増額は予定どおり実施されることを確認しました。迂回利益税は、2023年4月より25%から31%に引き上げられることが法律で定められていましたが、これも25%に据え置かれることになりました。さらに、法人税率の19%据置きの結果として、スーパー控除ルールに関するいくつかの改正が行われると思われます。
加えて、年間投資控除の基準金額は、2023年4月に20万ポンドに戻る代わりに、100万ポンドのまま恒久化されました。また政府が研究開発費控除のレビューを継続し、さらなる改革がある場合は財政イベントにおいて通常どおり発表することが、成長計画の中で確認されています。
法人税率の改正に関するファクトシートはこちらに掲載されています。
2021年医療・介護負担金(HSCL)法を廃止する医療・介護負担金廃止法案が議会に提出されています。議会における同法案の残る審議過程は、議会休会明けの10月11日に実施される予定です。
加えて財務相は、今年4月に実施された国民保険料(NIC)の1.25%引上げが、2022年11月6日より撤回されることを確認しました。プレスリリースはこちら、HSCL廃止法案はこちらを参照してください。同法案に従い、2022年4月に効力が生じた国民保険料の1.25%引上げは2022年11月6日より後に稼得された収入について効力を有しないこととなりますが、同日より前に稼得された収入については依然として効力を有します。収入が2022年11月6日より後に先送りされることに対処する具体的な回避防止規定は設けられていないものの、この法律は収入が支払われた日ではなく稼得された日を基準としています。
また財務相は、NICと同様に今年4月に1.25%引き上げられていた配当税が、2023年4月から従来の水準に戻ることを確認しました。これは次の財政法案を通じて法制化されます。
これらの改正に関するファクトシートはこちらに掲載されています。また、2022年11月6日以降の新たなNIC率(および年次で適用されるNIC率に係る移行の取決め)を含む、より詳細な歳入関税庁ポリシーペーパーもご参照ください。
財務相は、イングランド地域内を皮切りとして新たなインベストメントゾーンが導入されることを確認しました。これには、指定された区域での事業運営に関する、計画立案上の規制の緩和および税務上の恩典が含まれます。
新たなインベストメントゾーンに関するファクトシートはこちらに掲載されています。
財務相は、所得税の基本税率が2023年4月から19%に引き下げられることを確認しました。
ギフトエイドリリーフには4年間の移行期間が設けられ、20%の所得税基本税率における免税が2027年4月まで維持されます。また年金の源泉優遇(RAS)制度には1年間の移行期間が設けられ、20%の税率における免税を引き続き受けることができます。
これらの改正は次の財政法案を通じて法制化されます。所得税の改正に関するファクトシートはこちらに掲載されています。スコットランドにおいて税率の決定権が移譲されている場合には、合意された財政上の枠組みを通じてスコットランド政府が財源を受け取ることになります。
財務相は居住用不動産市場を刺激するため、居住用不動産に係るSDLTの恒久的な引下げを発表し、これは直ちに効力を生じました。政府はSDLTの納税義務が生じる基準取引金額を12万5千ポンドから2倍の25万ポンドに引き上げました。スコットランドおよびウェールズは土地税に関する決定権を移譲しているため、上記の水準はイングランドおよび北アイルランドにのみ適用されます。
加えて、初回購入者に対して印紙税の納税義務が生じる基準取引金額は30万ポンドから42万5千ポンドに引き上げられました。また初回購入者が不動産購入時の印紙税のリリーフが適用できる不動産の取引金額は、現行の50万ポンド未満に代えて62万5千ポンド未満となります。
ファクトシートはこちらに掲載されています。また歳入関税庁ポリシーペーパーにはより詳細な情報が記載されています。この法律は土地印紙税(減税)法案として提出される予定であり、また暫定税金徴収法に基づく動議が提出されています。これにより当該改正は直ちに暫定的な効力を生じますが、議会の再開時に正式に法制化される必要があります。
Richard Johnston アソシエートパートナー
Rebecca McKavanagh シニアマネージャー
Jo Stobbs パートナー
工藤 保浩 シニアマネージャー
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