EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EYの関連サービス
-
ジャパン・ビジネス・サービス(JBS)は、日本企業の海外事業展開をサポートするため、アシュアランス・税務・アドバイザリー・トランザクションの分野で幅広くサービスを提供するEYのグローバル・ネットワークです。JBSオセアニアは、日本企業のオセアニアでの事業展開を総合的に支援するプロフェッショナルグループです。
続きを読む
チーフエコノミストより
オーストラリア経済の12月期のGDP成長率が0.2%という低成長を記録したことは予想外のことではありません。
消費者は依然としてインフレ、金利、税金の直撃を受け、住宅の建設や改築を先送りにしました。企業は需要の減少を見込んで受注を控えました。非鉱業部門の利益は減少し、農業部門は年初ほど天候に恵まれませんでした。
しかし、もし成長率が穏やかでなかったら、家計はまたしてもRBAによるインフレ対応策に耐えなければならなかったでしょう。12月期のGDP成長率は前年比1.5%増となり、RBAの最新予想と一致しました。したがって、今回の国民経済計算の発表で、RBAが現在の「据え置き」の立場を変えることはないでしょう。
失業率が4%を下回り、インフレ率が低下する中、民間企業投資の伸びがプラスを維持したことは良いニュースでした。その前週に発表された設備投資のデータでは、2024-25年の企業投資への期待が上方修正されました。
オーストラリア統計局(ABS)は、再生可能エネルギーのインフラとデータセンターへの投資が増加していることと、企業がさらなる支出を計画していることを指摘しました。鉱業部門は引き続き非常に好調な業績に終わり、オーストラリアの輸出コモディティ価格が当四半期に上昇し、対米ドルの豪ドル為替レートは当期の大半を通じて低水準で安定しました。国際需要(特に鉄鉱石と石炭)は好調で、需要には生産量の増加および在庫で対応したことにより、鉱業利益は 9.2%増加しました。
国内では、西オーストラリア州とクイーンズランド州が州内での事業において好調で、州内最終需要はそれぞれ 0.8%、0.6%増となりました。一方、ニュー・サウス・ウェールズ州の最終需要は0.4%減で、ビクトリア州はゼロ成長となりました。これら両州では、公共部門の投資は減少しましたが、これは大規模な輸送プロジェクトが続いているためで、非常に堅調な事業活動に伴うものです。このような事業活動は今後2、3年続くと思われ、EYが今後の経済情勢を楽観視している理由の1つです。
当期のサービス輸出は、オーストラリアへの旅行者と留学生の増加が続き、0.5%増加しました。ABSによると、オーストラリアへの旅行者による消費は、パンデミック以前の水準を上回っています。これは、パンデミックによる景気減速から、経済が回復する最終段階の1つといえます。
連邦政府も州政府も、ここ数四半期、家賃、育児、医薬品、電気代などの経済的支援を行うことで、家計が高インフレの大きな痛手を受けることを積極的に防いできました。こうした支援は、2024年を乗り切る上で家計にゆとりをもたらすとともに、経済へのダメージを回避するのに役立っています。
当期の家計の可処分所得は、家計が支払った税金が3.3%減少したため、わずかに増加しました。名目可処分所得は2年ぶりに増加し、貯蓄率も若干上昇しました。3.2%と、これまでの水準から見ればまだ低いですが、家計の貯蓄率が上昇したのは2021年半ば以降で初めてです。
年度末にかけては、7月1日に予定されている減税によって家計に可処分所得が増えるため、明るいニュースもありそうです。実質賃金の上昇も家計部門を助け、金融市場が現在期待しているような実質賃金の上昇が実現すれば、12月期の利下げも実現するでしょう。
企業部門の継続的な投資は、生産性向上が徐々に始まっていることを示しています。
パンデミックとその余波が引き続き経済に影響を与えているため、景気減速の終焉を迎えているとはまだ言えない状況です。しかし、不測の事態が起こらなければ、終わりに近づくでしょう。