EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
日本市場におけるデジタルホーム市場は、急速に成長しています。この背景には再生可能エネルギーの利用促進や、太陽光パネルの家庭への設置が進んでいることも影響しています。日本の消費者は高品質で細やかなサービスを重視する傾向にあり、これはデジタルホームサービスの提供者にとって重要な考慮点です。また、日本では高齢化社会が進んでおり、シニア層に適した、使いやすく安心感を提供するデジタルホームソリューションの需要が高まっています。日本市場で成功するためには、以下の3つの視点が重要です。まず、顧客体験の深化を図ること。これには、日本のライフスタイルに合わせた製品設計を含みます。次に、デジタルホームサービスにおけるセキュリティとプライバシーの確保。日本の消費者はプライバシーに対する意識が高く、信頼できるセキュリティ対策が不可欠です。最後に、シニア市場へのアプローチ。高齢者に優しいインターフェース設計や、健康管理、生活支援サービスの統合が求められます。
これらの視点を踏まえ、日本のデジタルホーム市場においては、カスタマイズ性と使いやすさが競争力の鍵を握ると考えられます。サービス提供者は、技術革新だけでなく、日本特有の市場ニーズに応えることで差別化を図り、持続可能な成長を達成することができるでしょう。
家計の圧迫が続く中、競争がますます激化するデジタルホーム市場で消費者が重視しているのは、⾃宅で利⽤する接続サービスとコンテンツのバリュー・フォー・マネーです。EYのDecoding the Digital Home Study 2024(デジタルホームを解き明かす調査)からは、製品とサービスの選択の幅が広がっていることに⼾惑い、デジタル利⽤の潜在的なマイナス⾯に対する懸念を強める世帯が多いことが分かりました。
こうした傾向が進行するにつれて、消費者は、デジタルホームに対する独自の認識や優先順位を持つ、さまざまなユーザー層に分化しています。これから、これらのセグメントについて掘り下げていきますが、その前にまず、今回の調査結果から得られた5つのインサイトを紹介しましょう。
ブロードバンドでは、性能ニーズが引き続き契約の決断を促す大きな要因ですが、ネットワークの信頼性が依然として問題点になっています。継続的なネットワークのアップグレードにもかかわらず、世帯全体の26%で、いまだにインターネット接続が不安定になることがあります。一方、一部のスマートホームデバイスについては、その普及がピークを迎えたように見受けられます。消費者からは、データセキュリティやコスト、利便性に対する懸念の声が聞かれました。これらの課題が、接続サービスやコンテンツの普及拡大に支障を来しかねません。
価格の上昇への消費者の不安は依然として顕著で、定額保証プランに需要があることは明らかです。品質を下げてでもコストを抑えたい消費者がいる一方で、プレミアムな商品やサービスに敏感な消費者もいます。コンテンツ集約サービスにプレミアム料金を支払うことに抵抗がない世帯は、昨年の40%から44%に上昇し、セキュリティ機能やデジタルウェルビーイング機能を備えたブロードバンド接続に追加料金を支払って利用するつもりだと答えた世帯も38%いました。
有害なコンテンツに対する懸念が強まる中、オンラインに多くの時間を費やすことに危惧の念を抱く消費者の間で「デジタルデトックス」熱が高まっています。特に、60%は子供が有害なコンテンツにアクセスすることを非常に懸念しています。人工知能(AI)がオンラインコンテンツへの信頼を損ねる可能性も問題視されています。接続サービスプロバイダーはデータの管理者として認知されることで他の事業者より有利な立場にありますが、若年層ユーザーの間ではこの利点がさほど効果を発揮していません。
生活費高騰の危機により、接続サービスとコンテンツをセットにしたパッケージ契約を重視する消費者が増えてきました。世帯の3分の1強(35%)が、固定ブロードバンドサービスを止め、魅力的な価格帯と性能が保証された別のモバイルサービスに乗り換えたいと考えています。一方で、その過剰感から、相反する意識も見られました。選択肢が多すぎると感じる世帯は、ブロードバンドパッケージ、配信プラットフォームとも半数以上(前者が53%、後者が55%)おり、また44%がブロードバンドプロバイダー間の製品やサービスの違いが、ほとんどまたは全くないと感じています。
競合の中から抜きんでることが課題です。44%が接続サービスプロバイダーに違いはほとんどないと考えています。購入決定までの道のりでは、いまだに消費者の10名に4名がまず実店舗を訪れたいと考えており、カスタマーサポートについては、半数がコールセンターの利用を好んでいます。その上、チャットボットは複雑で手間がかかると考えられています。消費者が求めているのは、購入時やサポート時のやり取りにおいて、販売店によるアドバイスとAIの役割である丁寧な説明の両方を得られるデジタルツールです。
今回の調査結果を分析したところ、デジタルホーム製品・サービスをめぐる特性と意識、優先順位がそれぞれ全く異なる、以下の7つの消費者セグメントが明らかになりました。
今回の調査結果を踏まえて、デジタルホームサービスプロバイダーが市場で差別化を図るために早急に打つべきだと私たちが考える対策は5つです。
デジタルホームは今、世界中の無数の消費者の生活で中心的な役割を担っていますが、EYが実施した調査の結果から、プロバイダーはその普及と成長を加速させる取り組みにおいて、強い逆風にさらされていることが分かりました。逆風に対処する解決策は、さまざまな消費者セグメントの意識やニーズ、期待の変化について理解を深めることだと考えています。そして、信頼できる性能と明確な価格設定、強固なセキュリティをはじめとする、消費者が求める特性を組み合わせた製品やサービスを提供して消費者に応える必要があると考えます。
関連記事
生成AIや5Gなどの最新テクノロジーの導入は、企業に多大な機会をもたらしますが、その価値を最大化するため、CIOには、デジタルトランスフォーメーションに関する基本方針を設定することが求められます。
通信業界を取り巻く世界情勢は複雑で常に変化しています。その中で通信事業者はどのようなリスク、課題に直面しているのか、そのトップ10を詳しく見ていきます。