日本の新規上場動向 - 2021年1月~9月

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EY Japan

2021年10月29日
カテゴリー IPOの動向

EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
税理士 左近司 涼子

1. 新規上場市場の概況

2021年1月~9月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値27,258円でスタートし、その後徐々に上昇し2月中旬には30,000円台となり、その後は27,000円~30,000円台で変動し、9月末には29,452円となりました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は89社(TOKYO PRO Marketを含む。以下同様)となりました。コロナ感染対策の影響を強く受けた前年同期(2020年1月から9月)と比較した場合30社増となっております。市場別に見ると、全体の66.3%にあたる59社がマザーズに上場しており、新興市場合計で全体の92.1%を占めています(表1)。

表1 最近5年間(1月~9月)の市場別新規上場企業数

(単位:社)

市場 2017年
1月~9月
2018年
1月~9月
2019年
1月~9月
2020年
1月~9月
2021年
1月~9月
2021/2020
増減
東証1部 5 5 1 3 4 1
東証2部 4 4 5 5 3 △ 2
名証2部 0 0 0 0 0 0
福証本則 0 0 1 0 0 0
マザーズ 33 43 37 37 59 22
JASDAQスタンダード 11 8 4 8 13 5
JASDAQグロース 0 0 0 0 0 0
名証セントレックス 0 0 0 1 0 △ 1
福証Qボード 0 0 1 0 1 1
札証アンビシャス 2 0 1 0 0 0
TOKYO PRO Market 3 6 7 5 9 4
① 全市場合計 58 66 57 59 89 30
② ①の内で新興市場合計 49 57 50 51 82 31
(②/①比率) 84.5% 86.4% 87.7% 86.4% 92.1%

(注1)対象期間に新規上場実績のある市場のみを上記に記載しています。
(注2)東証と同日に他の市場に上場している場合は、東証の実績に含めています。

2. 新規上場企業データの分析

業種別では、情報・通信業32社が全体の36.0%を占め、他の業種社数と開きが見られます。次いで多いのはサービス業の22社(24.7%)となっています。(表2)。


表2 2021年(1月~9月)の業種別新規上場企業数

  社数 シェア
建設業 3 3.4%
食料品製造業 2 2.2%
化学業 3 3.4%
医薬品製造業 4 4.5%
非鉄金属製造業 1 1.1%
機械製造業 3 3.4%
電気機器製造業 4 4.5%
輸送用機器製造業 1 1.1%
その他製品製造業 2 2.2%
倉庫・運輸業 1 1.1%
情報・通信業 32 36.0%
卸売業 3 3.4%
小売業 1 1.1%
保険業 1 1.1%
その他金融業 1 1.1%
不動産業 5 5.6%
サービス業 22 24.7%
合計 89 100%

本社所在地別では、全体の59.6%にあたる53社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています。赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はマザーズ上場の12社です。

表3 2021年(1月~9月)の地域別新規上場企業数

  社数 シェア
宮城県 1 1.1%
茨城県 2 2.2%
埼玉県 1 1.1%
千葉県 2 2.2%
東京都 53 59.6%
神奈川県 4 4.5%
富山県 1 1.1%
山梨県 1 1.1%
岐阜県 1 1.1%
静岡県 1 1.1%
愛知県 5 5.6%
京都府 1 1.1%
大阪府 8 9.0%
兵庫県 1 1.1%
岡山県 1 1.1%
広島県 1 1.1%
福岡県 2 2.2%
熊本県 1 1.1%
沖縄県 1 1.1%
シンガポール 1 1.1%
合計 89 100%

直前期の売上高の分布を見ると、10億円未満の企業が14社(16%)、10億円以上50億円未満の企業が45社(50%)であり、全体の3分の2程度を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めています(図1)。売上高が500億円を超える新規上場企業は2社です。

初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業13社(15%)、50億円以上100億円未満の企業が29社(33%)であり、全体の2分の1程度を占めております(図2)。また、TOKYO PRO Marketを除いた新規上場企業においては、公募割(初値が公開価格を下回る)企業は5社です。

図1 2021年(1月~9月)新規上場企業・直前期売上高/図2 2021年(1月~9月)新規上場企業・初値時価総額

監査法人別では、2018年1月~2021年9月までを通算するとEY新日本有限責任監査法人101社(26.2%)、有限責任あずさ監査法人が82社(21.3%)、有限責任監査法人トーマツ64社(16.6%)、となっており、大手監査法人に集中してはいるものの大手監査法人以外が監査人である企業は増加する傾向にあります(表4)。


表4 2018年~2020年、2021年1月~9月の監査法人別新規上場企業数

  2018年 2019年 2020年 2021年1月~9月 合計
  社数 シェア 社数 シェア 社数 シェア 社数 シェア 社数 シェア
EY新日本有限責任監査法人 29 29.6% 23 24.2% 28 27.2% 21 23.6% 101 26.2%
有限責任あずさ監査法人 25 25.5% 19 20.0% 24 23.3% 14 15.7% 82 21.3%
有限責任監査法人トーマツ 21 21.4% 21 22.1% 11 10.7% 11 12.4% 64 16.6%
太陽有限責任監査法人 6 6.1% 9 9.5% 11 10.7% 10 11.2% 36 9.4%
その他 17 17.3% 23 24.2% 29 28.2% 33 37.1% 102 26.5%
合計 98 100% 95 100% 103 100% 89 100% 385 100%