EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
公認会計士 増田 規子
2023年1月~3月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値25,717円でスタートし、1月の金融緩和策の維持の決定、円安・ドル高基調などの影響を受け徐々に上昇を続け3月上旬には一時28,000円台となりました。その後、米国での銀行破綻をきっかけとした欧米の金融システム不安などから26,000円台から27,000円台の間を推移しましたが、3月末には28,041円となりました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は、24社(TOKYO PRO Marketを含む。以下同様)となりました。前年(2022年1月~3月)と比較した場合3社増と微増しています。市場別に見ると、全体の50.0%にあたる12社がグロース市場に上場し、新興市場合計で全体の83.3%を占めています(表1)。
(注1)東証(1部、2部、マザーズ、JASDAQスタンダード)及び名証セントレックスについては、2022年1月から4月3日の実績となっています。
(注2)2022年4月より市場区分の変更があったため、市場区分ごとの増減比較は省略しています。
(注3)対象期間に新規上場実績のある市場のみを上記に記載しています。
(注4)東証と同日に他の市場に上場している場合は、東証の実績に含めています。
業種別では、情報・通信業11社(45.8%)、小売業4社(16.7%)、サービス業4社(16.7%)、となっており、新規上場企業全体の79.2%を占め、他の業種社数との開きが見られます(表2)。
本社所在地別では、全体の58.3%にあたる14社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています(表3)。
赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はグロース市場に上場した3社、TOKYO PRO Marketに上場した1社となりました。またTOKYO PRO Marketを除いた新規上場企業において、前年(2022年1月~3月)に初値が公募価格を下回った会社が5社だったの対し、2023年1月~3月は初値が公募価格を下回った会社はありませんでした。
直前期の売上高の分布を見ると、10億円未満の会社が3社(12.5%)、10億円以上50億円未満の会社が13社(54%)と50億円未満の会社が全体の3分の2程度と比較的多くの割合を占めています(図1)。
一方で売上高が200億円を超える新規上場企業は、スタンダード1社、グロース1社、TOKYO PRO Market1社の合計3社(12.5%)となっています。
初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業が9社(37.5%)、50億円以上100億円未満の企業が5社(20.8%)であり、全体の58%を占めました。200億円を超えた企業は5社(20.8%)あり、前年3社(14%)と比較して増加しています(図2)。なお、初値時価総額が最も高かったのは、住信 SBI ネット銀行株式会社の1,842億円でした。
監査法人別では、EY新日本有限責任監査法人1社、有限責任監査法人トーマツ3社、有限責任あずさ監査法人が1社となり3法人合計で20%であるのに対し、中小規模等のその他の監査法人が多くの割合を占めました。