EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
EY新日本有限責任監査法人
企業成長サポートセンター
シニアマネージャー 税理士 左近司 涼子
2023年1月~6月の国内株式市場は、年明け日経平均株価終値25,716円でスタートし、円安・ドル高基調などの影響を受け徐々に上昇を続け3月には28,000円台となりましたが、米国での銀行破綻をきっかけとした欧米の金融システム不安などから一時26,000円台に下落。しかし、その後は再び上昇を続け5月中旬には30,000円台となり、6月最終日終値は33,189円となりました。そのような市場環境の中で、新規上場企業数は、58社(TOKYO PRO Marketを含む。以下同様)となりました。前年同期(2022年1月~6月)と比較した場合10社増となっております。市場別に見ると、全体の50.0%にあたる29社が東証グロースに上場し、新興市場合計で全体の79.3%を占めています(表1)。
(注1)東証(1部、2部、マザーズ、JASDAQスタンダード)及び名証セントレックスについては、2022年1月から4月3日の実績となっています。
(注2)2022年4月より市場区分の変更があったため、市場区分ごとの増減比較は省略しています。
(注3)対象期間に新規上場実績のある市場のみを上記に記載しています。
(注4)東証と同日に他の市場に上場している場合は、東証の実績に含めています。
業種別では、情報・通信業24社(昨年同期11社)、サービス業11社(昨年同期18社)、となっており、それぞれ新規上場企業全体の41.4%及び19.0%を占め、他の業種社数との開きが昨年同様に見られます。(表2)。
本社所在地別では、全体の63.8%にあたる37社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です(表3)。東京都以外に本店所在地がある場合でも上場市場は東証に集中しています。(表3)。
赤字上場(直前期の当期純利益が赤字で上場した会社)数はグロースに上場した10社、TOKYO PRO Marketに上場した2社あり、またTOKYO PRO Marketを除いた新規上場企業においては、初値が公募価格を下回った会社は4社ありました。
直前期の売上高の分布を見ると、10億円未満の企業が8社(13.8%)、10億円以上50億円未満の企業が29社(50.0%)であり、全体の約3分の2程度を売上高50億円未満の比較的小規模な企業が占めています(図1)。売上高が200億円を超える新規上場企業は、東証プライム1社、東証スタンダード1社、東証グロース2社、TOKYO PRO Market2社の合計6社にとどまっています。
初値時価総額の分布を見ると、50億円未満の企業が19社(32.8%)、50億円以上100億円未満の企業が12社(20.7%)であり、全体の2分の1程度を占めています。500億円を超えた企業は7社(12.1%)あり、昨年同期(1社、2.0%)と比較して大幅に増加しています(図2)。なお、初値時価総額が最も高かったのは、楽天銀行株式会社の3,155億円でした。マザーズ市場とジャスダック市場及びグロース市場の平均初値時価総額は279億円と、前年同期の146億円と比較して大幅に増加しました。
監査法人別では、有限責任あずざ監査法人が7社(12.1%)、EY新日本有限責任監査法人6社(10.3%)、有限責任監査法人トーマツ6社(10.3%)、となり3法人合計で1/3に届かない一方で、中小規模等のその他の監査法人の割合が増加しており、新規上場において担う役割が大きくなってきていることがうかがえます(表4)。