EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
本ガイドは、カンボジアの会計・監査・税務における最新の基礎的概要を掲載しています。すでにカンボジアへ投資されている企業、およびこれから投資を検討している企業の皆さまが、基本的な概要を把握するためにお役立ていただけますことを願っております。
カンボジアの会計制度は、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards、以下IFRS)と同等であるカンボジア国際財務報告基準(Cambodian International Financial Reporting Standards、以下CIFRS)および中小企業向け国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards for Small and Medium-sized Entities、以下IFRS for SMEs)と同等である中小企業向けカンボジア国際財務報告基準(Cambodian International Financial Reporting Standards for Small and Medium-sized Entities、以下CIFRS for SMEs)に基づいています。上場企業や一部の金融機関などはCIFRSの適用が求められますが、それ以外の多くの企業はCIFRS for SMEsを適用しています。しかし、実務においては企業内に知識や経験のある会計人材が不足していることから、会計基準が十分に適用されていないケースや会計業務を会計事務所に委託しているケースもあります。
カンボジアの主な税金には、法人税(事業所得税)、ミニマム税、源泉徴収税、個人所得税(給与税およびフリンジベネフィット税)、付加価値税(VAT)などがあります。このうち、法人税、ミニマム税は年次申告の対象であり、法人税の前納、源泉徴収税、個人所得税、VATは月次申告の対象です。法人税の計算構造は日本の税法と似ている部分もありますが、課税所得が発生していなくても、売上高を課税対象とするミニマム税を課される場合があることに留意が必要です。また、日本ではなじみのない、サービスの対価などの支払いに対して幅広く課税される源泉徴収税があります。税法の規定が不明瞭、頻繁な制度改正、厳しい税務調査など多くの税務に関する課題に企業は直面しています。
項目 |
カンボジア |
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非上場企業(日本企業の子会社)IFRS適用の可否* |
可 |
IFRSと現地会計基準の主な差異 |
現地会計基準(CIFRS、CIFRS for SMEs)はIFRSまたはIFRS for SMEsと同等 |
決算期の変更 |
可 |
決算期末の選定(暦年以外の採用可否) |
可 |
会社法で作成が求められる財務諸表 |
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提出する財務諸表 |
同上 |
保存期間 |
10年間 |
機能通貨適用の可否 |
可 |
法定監査 |
一定の要件を満たす場合、必要 |
*:非上場企業のIFRS適用可否については、以下の基準で記載しています。
否:税務申告時または規制当局に提出(添付)する財務諸表が自国の会計基準で提出しなければならない場合。
可:税務申告時または現地当局に提出(添付)する財務諸表が自国の会計基準以外にIFRS基準であっても良い場合。
カンボジアで事業を行う企業は、カンボジア国際財務報告基準(CIFRS)もしくは中小企業向けカンボジア国際財務報告基準(CIFRS for SMEs)のいずれかを適用する必要があります。多くの非上場企業ではCIFRS for SMEsが選択されている一方で、上場企業や一部の金融機関(マイクロファイナンス、リースなどを除く)といった社会的影響度の高い企業ではCIFRSの適用が強制されています。
CIFRSおよびCIFRS for SMEsは、IFRSおよびIFRS for SMEsとそれぞれ同等の基準であり、差異はありません。
企業は以下の財務諸表を作成する必要があり、財務諸表に使用する言語はクメール語となります。
カンボジアでは、決算日は原則として12月31日とされています。ただし、親会社との決算期統一など正当な理由がある場合は、租税総局(General Department of Taxation、GDT)および会計監査当局(Accounting and Auditing Regulator、以下ACAR)に対して変更申請を行い、許可を得ることで、決算期を変更できます。
カンボジアでは、クメールリエル(KHR)および米ドルが流通しており、多くの企業では主に米ドルで取引を行っているため、米ドルが機能通貨となることが一般的です。ただし、米ドルが機能通貨となる場合でも、財務諸表上はクメールリエルで表示する必要があります。なお、財務諸表におけるクメールリエルと米ドルの併記は認められています。
カンボジアでは、以下の企業は法定の財務諸表監査を受ける必要があります。
一度監査を受けた企業は、上記の要件を満たさなくなった場合でも、継続して3年間監査を受ける必要があります。
また、企業は法定監査を決算日後6カ月以内に終え、決算日後6カ月と15日以内にe-filingシステムを利用して監査済み財務諸表をACARへオンラインで提出する必要があります。
カンボジアでは、実務担当者の会計知識や経験が不足しているために、適切な会計処理がなされていないケースも見受けられます。監査の過程で、会計処理の修正が求められたり、監査がスムーズに進まなかったりすることも多く、企業としては、適切な知識を持った会計人材を確保し、会計業務にあたらせることが重要となります。
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(a)これらの源泉徴収税率は、非居住者への支払いのみに適用されます。
(b)再保険には適用されません。
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