ベトナム - 政令20号を修正する政令68号の発行

ベトナム タックスアップデート - 2020年6月29日

借入利息の損金算入限度額に関する政令20号/2017/ND-CP(以下、政令20号)の修正について、政府がついに2020年6月24日付で政令68号/2020/ND-CP(以下、政令68号)を発行しましたので、概要についてご説明します。

主な変更点:
  • 支払利息(純額)の損金算入限度額は、EBITDA(税引前当期純利益 + 支払利息 + 減価償却費)の30%に引き上げ。
  • 支払利息(純額)の金額は、支払利息と、預金および貸付金の受取利息を相殺した後の金額。
  • 損金不算入となった金額は、翌年以降5年間の繰越が可能。
  • 政令68号は2020年6月24日に効力を発し、2019年の法人税から適用される。
  • 関連者および関連者間取引の情報を記載する政令20号のForm 01は、政令68号のForm 01に置き換わる。
  • 納税者は、課税対象期間の支払利息の割合を政令68号のForm 01で申告する。
適用対象外:
  • 金融機関法の対象となる金融機関
  • 保険業法の対象となる保険会社
  • 政府開発援助(ODA)ローン
  • 政府優遇ローン
  • 国家プロジェクト等の特別な目的のローン
2017年および2018年の法人税:
  • 政令68号による、損金算入上限額EBITDA×30%への引き上げ、および受取利息と相殺した純額による計算方法は、2017年および2018年の課税期間について遡及適用できる。
  • 納税者は管轄税務当局に対して、2017年および2018年の支払利息の損金算入額および法人税額を決定するために、法人税確定申告を修正することができる。
  • 法人税確定申告の修正により法人税額が減少した場合、対応する遅延利息(もし発生していた場合)も減少する。
  • 2017年および2018年の法人税確定申告の修正期限は、2021年1月1日。
  • 過年度の法人税額および遅延利息の金額が、修正後の法人税額および遅延利息の金額を上回る場合、超過分は2020年以降5年以内(2020年から2024年まで)の法人税と相殺できる。
  • もし税務当局が既に税務調査を実施し結論を出していた場合、納税者は管轄税務当局に再決定をリクエストすることができる。
  • 納税者からのリクエストとサポーティングドキュメントに基づき、税務当局は法人税額および遅延利息を再決定し、差額はガイダンスに基づき相殺処理される。
  • 法人税額の再決定は管轄税務当局で実施され、納税者の事務所での調査は実施されず、また、2017年および2018年の税務調査の結論を修正するものではない。
  • 既にペナルティーが実施されていた場合、もしくは、アピールに進んでいた場合、当該ペナルティーは調整されない。
まだ不明瞭な論点:
  • 期末日が12月31日ではない納税者がどのように適用するのか。
  • 納税者が相殺しきれなかった差額が還付できるかどうか。
  • もし納税者が過年度の損金算入限度額を算定していない場合、法人税額の計算をし直すべきか。
    →このガイダンスにより、2017年および2018年は新しいガイダンスに基づき再計算すべきであることが明確になりました。過年度の不足額がある場合、遅延利息の対象となります。
  • 過年度の税務調査において旧ガイダンスに基づき支払われたペナルティーのうち、新ガイダンスでは支払超過となる部分に対応する部分が、将来の法人税の相殺対象となるか。
    →このガイダンスにより、相殺対象とはならないことが明確になりました。
  • 新ガイダンスでは、税務調査が既に実施されていた場合に、納税者は管轄税務当局に法人税額および遅延利息の再決定をリクエストできるが、そのリクエストの期限がいつか。
    また、リクエストに対し、税務当局は公式な決定、もしくは、オフィシャルレターを発行するのか。