EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。
計情報トピックス 吉田剛
平成25年10月28日に、内閣府令第70号「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等(以下「本改正」という。)が公布されています。
本改正は、平成25年6月20日に企業会計審議会から公表された「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」を受け、IFRSの任意適用が可能な会社(特定会社)の要件を緩和し、IFRS任意適用会社の範囲の拡大を図るべく行われたものです。
これまで、IFRSを任意適用するためには、以下の要件を満たすこととされていました。
a) 上場会社であること
b) 有価証券報告書において、連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取組みに関わる記載を行っていること
c) IFRSに関する十分な知識を有する役員又は使用人を置いており、当該基準に基づいて連結財務諸表を作成することができる体制を整えていること
d) 国際的な財務活動・事業活動を行っていること(外国に資本金が20億円以上の連結子会社を有していることなど)
改正後は、a)及び d)の要件が撤廃され、この結果、IFRSの任意適用が可能になる会社数は大幅に増加することになります。
また、特定会社の子会社についてもIFRSを任意適用できるとするいわゆる「みなし特定会社」の規定も、要件が緩和されたことを受け、廃止されています。
これまでは、年度末又は第1四半期からのみIFRSを任意適用できるものとされ、第2・第3四半期からの適用は認められていませんでした。今回の改正によりこの制限が廃止され、各四半期からIFRSを任意適用できることとされ、上場時からIFRSを任意適用できることになります。
(1)②の改正を受け、四半期報告書等に四半期連結財務諸表等の適正性を確保する取組みに関する記載を行うことができるよう、所要の改正が行われました(開示府令 第四号の三様式(記載上の注意)(18)fなど)。
公布の日(平成25年10月28日)から施行するものとされています。
公開草案からの重要な修正点はありません。
なお、新規上場時等に有価証券届出書に含まれる(連結)財務諸表は、現行制度上、前期(直前期)・前々期(直前々期)の(連結)財務諸表がそれぞれ比較情報を含まず、単年度のものとして作成される規定となっています(連結財務諸表規則附則第2項、第3項など)。この点、新規上場時等にIFRSが適用可能であるとすると、比較情報を必須とするIFRSの定めと整合しないことになるのではないか、とのパブリック・コメントが複数寄せられました。これに対し、「金融庁の考え方」として、比較情報を不要とする連結財務諸表規則附則第2項、第3項などの規定は、日本基準に基づいて連結財務諸表を作成する新規上場会社に対して適用されるものであり、特定会社に該当する新規上場会社は、IFRSに基づいて連結財務諸表を作成することになることから、連結財務諸表規則附則第2項、第3項などの規定は適用されないとする考え方が示されました。
このため、新規に上場する特定会社がIFRSに基づいて作成した連結財務諸表を有価証券届出書に記載する場合には、比較情報を含む最近2連結会計年度に係る連結財務諸表(すなわち、3期分の連結貸借対照表と3期分の連結損益計算書等)を記載することが必要であるとされています(金融庁のHPで公表された「『連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)』等に対するパブリックコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方」No.4~7、12)。
なお、本稿は本公開草案の概要を記述したものであり、詳細については本文をご参照ください。