複数の子会社が同時に合併した場合の存続会社の処理

2019年9月30日
カテゴリー 会計実務Q&A

Question 

同時に3社の子会社(P社が100%持分を所有するA社、B社、C社の3社)が合併し、存続会社1社(A社)となり、合併対価として、A社株式を発行します。B社は株主資本がプラス(100)ですが、C社は株主資本がマイナス(△50)です。B社とC社の合計では、株主資本相当額が50(100-50)となるので、A社は、50を払込資本として処理すればよいでしょうか。

Answer 

同一の企業により支配されている子会社同士の合併の存続会社の株主資本変動額の内訳項目は、会社法の規定に基づき決定されます。複数の会社を消滅会社として吸収合併が同日に行われることがあります。会社法第2条第二十七号では、吸収合併とは「会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるもの」をいうと規定しています。このような規定により、吸収合併の当事者は合併後存続する会社(存続会社)と合併により消滅する会社(消滅会社)の2社に限られ、3社以上の合併は存続会社と消滅会社の2社による複数の合併が同日に行われたものと解されています(*)。

したがって、共通支配下取引の合併の場合の存続会社の株主資本変動について規定する会社計算規則(平成21年3月27日改正後)第35条第1項第2号及び第2項についても、各社ごとに適用して、株主資本変動額を算定するものと考えられます。

よって、質問の場合、存続会社であるA社の会計処理は、B社を消滅会社とする合併では、払込資本を100増加させ、C社を消滅会社とする合併では、払込資本をゼロとし、その他利益剰余金を50減少させることになります。 なお、合併の順位を付け、まず、B社がC社を吸収合併し、その直後にA社がB社を吸収合併する場合には、以下の会計処理となります。B社はC社を吸収合併することにより、C社のマイナスの株主資本50をその他利益剰余金の減少として処理します。これにより、B社の株主資本は、プラスの50となります。A社はB社を合併することにより、払込資本を50増加させることになります。

参考文献
(*)「会社法の計算詳解」第Ⅲ部組織再編行為第2章吸収合併  中央経済社 2008.5.30第2版第1刷 382頁

根拠条文

  • 「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」第247項、第185項

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