旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ー 第53回 自分の一番の理解者・サポーターに

石堂 美和子
株式会社AutoPhagyGO 代表取締役社長


Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2021年8月1日号に掲載された記事をご紹介します。



オーダーメードの人生を築くことを求められている今の現役世代について、私は可哀そうだとは感じません日本は、この長い失われた期間を経て、やっと、各個人が自分の生きる道を模索し、多様な生き方をする個人同士が、お互いを尊重し協力する術がないかを考え始めるフェーズに入ってきていると感じます。今の時代を生き抜く上で必要なことは、自分の人生・キャリアを組織や上司、家族、環境の何に頼ることなく、自分自身で作るという覚悟だと思っています。それがあれば、悩んだときにどちらの道に行くかの選択について、周りの環境や誰かのせいに出来なくなり、自分自身と向き合わざるを得なくなります。ここで大事なのは、周りの人にどう見えるかではなく、個々の個性にあった、自分自身の人生の選択としての経験値を上げていくこと。最初は失敗続きでも、やっていくうちに自然と経験値は上がっていきます。そのうち、失敗の中にこそ大きな飛躍があることに気づいて、敢えて失敗しそうな道を選んだりできるようになる、選択上級者になれるかもしれません。

給与とやりがい。育児と仕事。人生の選択を迫られることが、特に女性の人生では多いと感じます。そういった際には、自分の大親友になったつもりで、親身に助言するようにしています。その選択が、例え一般的には妥当なものではなくても、ネガティブな理由から来るものでも、それが正直な心の底からの叫びなのであれば、寄り添うことにしています。そしてどうすれば少しでもありたい姿になれるかを、自分と一緒に考えてあげる。あくまで自身が主体で、どの特性を使って何をすれば社会に貢献できるかを考え、キャリアを選ぶ。それが大手企業でしか出来ないようなプロジェクトであれば大手を目指せば良いし、独立しないと出来ないことは独立してやれば良いと思っています。

一見逆の意味に取れるかもしれませんが、「置かれた場所で咲きなさい」という言葉が好きです。私の解釈する「置かれた場所」は、「これまでの周りの環境や、そこで培われた自分の個性・能力という、前提条件としての事実」です。現状を真摯に見つめて受け入れて、それを持ってこの先自分に何が出来るかを考え、その人なりの人生をその人の満足のいく形で輝かせられるように努めることは、素晴らしいことではないかと。ただし、忘れてはいけないのは、今この時代、「置かれた場所」をもって活躍できる未来は、とても自由度が高いということ。本当ならばどんな選択もチャレンジも可能なはずなのに、寄らば大樹の陰で、無意識に日本の慣習に依存をして、仕方ないという言葉で自分を縛り、狭い狭い未来を自分自身で設定してしまっていないでしょうか。私は、ガラスの天井のある場所や、若手が生かされない環境等で、不条理なルールに従って、我慢しながら頑張る意味は、あまり無いと思っています。誰かにとって不利になってしまうルールを押し付ける社会は、実はその他の人にとっても生きづらい社会となっていき、自然に地盤沈下します。視野を大きく持って、自分自身を縛るアンコンシャスバイアスから解放されたとき、「置かれた場所で咲きなさい」の意味するところは大きく変わるのではないかと思います。



石堂 美和子

石堂 美和子(いしどう・みわこ)
株式会社AutoPhagyGO 代表取締役社長

略歴
東京大学理学部、京都大学大学院卒。理学博士。スクリプス研究所ポストドクトラルフェロー、アールアンドアール株式会社主任研究員を経て、外資製薬企業のヤンセンファーマ株式会社、アッヴィ合同会社でマーケティングおよびメディカルアフェアーズに従事。2019年より、株式会社AutoPhagyGOの取締役を兼任。2020年6月より、株式会社AutoPhagyGOの代表取締役社長に専任。



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