旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ー 第57回 じぶんだけの「ごきげんリスト」をつくろう

粟飯原 理咲
アイランド株式会社 代表取締役


Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2021年12月1日号に掲載された記事をご紹介します。



私が毎日開くスマートフォンの「Google Keep」というメモアプリには、「ごきげんリスト」と題したメモがあります。その名の通り、じぶんを「ごきげん」にしてくれるモノやコトを連ねたリストです。「美味しいコーヒーを飲んで一息つく」「朝、通勤前にお気に入りのパン屋さんに」、そんなちょっとした、自分の心を持ち上げ、整えてくれるモノ・コトが並んでいます。

NTTコミュニケーションズ、リクルート社を経て、全国の美味しいお取り寄せグルメを紹介する「おとりよせネット」というサービスを立ち上げるために”脱サラ”。小さな会社の代表になって、今年で18年目となりました。その間、落ち込んだとき、悩んだとき、苦しんだとき…。折々の特効薬としてはもちろん、日々の仕事にリズムを作ってくれたのがこの「ごきげんリスト」。

たとえば、落ち込んだとき。20代の会社員時代、進捗管理が極端に下手だった私は、上司からそれは厳しく指導されました。今の時代にはフィットしませんが、タスクを予定通りこなせない時には、怒った上司から、スケジュール帳を壁に投げつけられたこともあったほど。

「なぜこんなに仕事ができないのか。恥ずかしい…」。どーんと凹んでしまったとき、助けてくれたのは「シュークリームを食べて、気持ちをアゲる」というリスト。当時、職場近くにあった洋菓子店のシュークリームにどれだけ励まされたか。駆け出し社会人の私にとって、「食べれば、落ち込みから開放される」魔法のアイテムだったのです。

次に、悩んだとき。30代、経営者になり、はじめての組織作りの解がわからない。ルールや制度、ビジョン…。何を取り、何を捨てるべきか。自身の判断の重みに押しつぶされそうなことも。そんなとき、救われたのは「信頼できる先輩や友人と、美味しいものを食べる」というリスト。

ここぞとばかりに好きなメニューを頼み、同じ立場だったらどうするかを問うてみる。こう考え、こうアクションしてみるよ、というアドバイスを咀嚼しているうちに、突破口が見えた瞬間が多々ありました。

そして、苦しんだとき。40代、ライフステージの選択のなかで、ベッドに入っても眠れない時間を救ってくれたのは、とっておきの「好きな漫画を大人買いして読む」リスト。つい最近も「星のさいごメシ」という、人生最後の日にはどんなごはんが食べたいか?というシリーズにはまり、どっぷり集中して読んでいるうちに、苦しみを忘れて、人生最後のごはんに思い馳せていた夜も。

ここまで読んでいただいて、私のリストが「ほぼ食のことばかり」と気がつかれた方もいるでしょう。そうなのです。ずっと眺めているうちに、「私は食が好き、だから、食にまつわる仕事がしたい」と、今の道に導いてくれたのが、まさしく「ごきげんリスト」の存在だったのです。

毎日の仕事を気持ちをアゲて乗り越えたい。あるいは、好きなことで仕事をしていきたい。そう思う方、ぜひ、じぶんだけの「ごきげんリスト」を作ってみませんか。きっとリストが、あなたのキャリアを、ごきげんな道に運んでいってくれますよ。



粟飯原 理咲

粟飯原 理咲(あいはら りさ)
アイランド株式会社 代表取締役

略歴
アイランド株式会社代表取締役。国立筑波大学卒業後、NTTコミュニケーションズ、リクルート社を経て現職。日本最大級のお取り寄せの情報サイト「おとりよせネット」をはじめ、「レシピブログ」「フーディーテーブル」「朝時間.jp」などのウェブサイトや、キッチン付きイベントスペース「外苑前アイランドスタジオ」を運営。美味しいものに目がない食いしん坊で、ついつい長居してしまう本屋好き。



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