旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ー 第63回 選ぶ道に迷うより、選んだ道を正解にする

山本 玲奈
株式会社ヒュープロ 代表取締役


Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2022年7月10日号に掲載された記事をご紹介します。



私は、誰もが反対する中で学生起業をしました。当時は、司法試験の受験勉強をしていたこともあり、多くの人や、会社を支えている法律家という仕事に憧れ、士業や経営管理という領域にとりわけ興味を持っていました。その傍ら、弁護士という仕事は時代錯誤だからやめた方がいいと言われることが多々あり、その言葉が悔しく、何も言い返せない自分にもどかしく感じ、「どうにか私がもっとこの業界を日本中に自慢できるようにしたい」と思いました。それが私が起業をするきっかけになりました。自分の手で変えて、正しいことを証明できる人になりたいと思ったのです。

しかし、私が起業をしようと思うと話すと両親を含めた周囲からの反対を受けました。「女の子なんだからそんなに頑張らなくていい」と言われ、「まだ若いんだから」と、当時の私には返す言葉がありませんでした。

それでも私は「自分の手で業界を元気にしたい」という思いを抑えきれず、学生起業しました。本当は私の中で既に答えは決まっていたんだと思います。ですが、その答えに賛同してくれる人の少なさに不安を感じていただけなのです。

そこからも起業人生はうまくいかないことも多かったです。事業拡大にうまく行かず、仲間が離れていく時期もありました。胸を張って会社について話しても「まだ若いですね」と鼻で笑われ、切なく、やるせなかったです。それでも諦めずとにかく会社拡大のため、一心不乱に走ってきました。

学生起業をしてから7年が経ちますが、今では挑戦してきて「よかった」と胸を張って言えます。私たちのサービスを多くのお客様に利用していただいています。まだまだ士業や経営管理の業界に変革を起こす道のりは続きますが、やり続けた先に、誰かに喜んでいただけるサービスを「自分達の手で」作れているということはこの上ない喜びです。

このように紆余曲折を経て、私が大切にしているキャリアを成功に導く三つの考えがあります。まず一つ目に楽しむということ。悩むことはいくつもありました。しかしそれを乗り越えた先に、できることが増えると思うとワクワクします。自分に起きたということではなく、誰にでも課題はあり、その課題を解くことの楽しみに焦点を当てることで、あらゆる壁を乗り越えられるようになりました。次に、前例がないというだけで、出来ないとは限らないということです。意外にも、前例がないというだけで否定的な意見をいただくことがあります。しかし、時代は変わっていくので私たちのやろうとしていることは時代の最前線で、前例がないなら、事例を作っていく立場になっていけばいいだけだと思います。

ですので、最後の決断は自分の直感を信じて、選んだ後はその道を正解にするのみだと思っています。

だから、私は思います。全ての人に平等に挑戦するチャンスがあり、一人ひとりの決断が次の世代の勇気になっているということを。そして私自身が、次々に当たり前となる前例となっていきたいです。それが日本の勇気になると思っています。



山本玲奈

山本玲奈(やまもと・れいな)
株式会社ヒュープロ 代表取締役

略歴
1993年生まれ。幼少期からインドネシアやアメリカ等、18年間を海外で過ごし、慶應義塾大学法学部への入学と共に日本へ帰国。大学3年時に司法試験の受験勉強をしながら、ビジネスコンテストへ複数出場。優勝した経験をきっかけに2015年11月に学生起業、株式会社ヒュープロを創業し、代表取締役へ就任。これまでに約3億円の資金調達に成功し、士業・管理部門転職に特化した転職サイト「最速転職HUPRO」、オウンドメディア「Hupro Magazine」を運営。



EWWライブラリー

女性経営者・エグゼクティブに役立つ情報を提供します。
「これだけは知っておきたい!シリーズ」ビジネスプラン入門編・税務入門編・管理入門編・会計入門編と、Entrepreneurial Winning Women の企画・協力で旬刊経理情報に連載されている『女性リーダーからあなたへ』のコラムをご紹介します。