旬刊経理情報 連載『女性リーダーからあなたへ』 ー 第68回 女性のキャリア形成とデジタルの力

近藤恵子
株式会社ココエ 代表取締役


Entrepreneurial Winning Womenの企画・協力で、旬刊経理情報に『女性リーダーからあなたへ』を連載しています。2022年12月10日特大号に掲載された記事をご紹介します。



2016年に株式会社ココエを創業して今年で8年目となります。ココエは、デジタル人材の育成を軸としながら、マーケティング戦略などのコンサルを大手企業を中心にご提供する会社です。私は20年前にデジタルの仕事に出会ったからこそ、二人の子育てをしながらも運良く会社を継続させることができ、会社を成長させ続けられていると思っています。私のデジタルとの出会い、創業までの経緯、今後のチャレンジについて話していきたいと思います。

ココエを創業する前は、株式会社ベネッセコーポレーションで長く会社員をやっていました。ベネッセでは、出産や育児に悩みを持った女性が、先輩ママに相談をできる「ウィメンズパーク」というサイトの運営に携わっていました。2005年当時、核家族が当たり前となり、母親の孤立が社会問題となっていました。そんな社会背景を受けて、「ウィメンズパーク」は急激に成長をしていきました。

一方で、私の会社でのポジションを俯瞰してみると、ベネッセは通信教育がメインの会社ではありましたので、デジタルを扱う事業部は会社全体ではまだ小さな一部署に過ぎませんでした。しかし、私はデジタルの仕事に未来を感じていたのと、全国の悩みを持った女性の課題解決をデジタルの力でできるというところに非常に魅力を感じ、プライベートの時間も無く仕事に没頭していました。

充実した社会人生活を送っていたのですが、38歳で第一子を40歳で第二子を出産しました。夫婦共に地方出身者で子育てを助けてくれる親戚もいなかったので、時短勤務にせざるを得ませんでした。勿論、ベネッセは子育てしながら働きやすい、女性に優しい会社ではありましたが、私自身が大きな仕事を受けられなくなり、次第に会社の中の仕事にやりがいを感じられなくなっていました。

時短を解除してからは自分らしく働ける突破口を見つけたくて、会社勤めをしながらビジネススクールに通い始めました。そこで初めて、シリコンバレーの企業をはじめとした、スタートアップの世界を知りました。資本政策やエクイティファイナンスの話を聞いて、今まで自分には全く関係ない世界だと思っていた起業のイメージがガラリと変わり、世界が広がっていった瞬間でした。

今年8期目を迎えますが、やはり私自身がデジタルの力を信じていたこと、当時は本流でなくとも、デジタルの世界にどっぷりと浸かって経験とスキルを磨いてきたことが私の今のキャリアを作っています。

現在日本では、シングルマザーや一人暮らし女性の貧困が社会問題となっています。一方でデジタル人材は2030年まで79万人が不足されていると言われています。「手に職をつける」という言葉がありますが、今後女性が「手に職をつける」のであれば絶対にデジタルのスキルを身につけるべきだと思います。デジタルの仕事は他の業界に比べ既に給与水準は高く、あらゆる業界のDX化の流れの中でデジタル人材の市場価値が高まっているからです。

弊社では昨年より、未経験の女性を正社員で雇用し、社内研修によってデジタルマーケティングのスキルを身につけてもらい、生涯に渡って自立できるようなスキルを身につけてもらう取り組みを開始しました。自分なりの視点で時代の少し先を見つめ、そこに未来を感じたら周囲と違っていても勇気を出して飛び込んでみる。そうすれば、女性でも社会に必要とされるスキルやキャリアを見極め、自己実現を叶える道が広がっていくと信じています。



近藤恵子

近藤 恵子(こんどう・けいこ)
株式会社ココエ 代表取締役

略歴
東京農工大学応用生物学科卒。ヘルスケア専門紙の記者を経て、2007年ベネッセコーポレーションに入社、妊娠・出産・育児をする女性のためサイト「ウィメンズパーク」に立ち上げ期から携わる。複数の大企業をクライアントとしてプロジェクトマネージャーとして活躍。BBT大学(ビジネス・ブレークスルー)が運営する起業専門スクールを経て2016年、デジタルマーケティングのコンサルファーム、ココエを設立。



EWWライブラリー

女性経営者・エグゼクティブに役立つ情報を提供します。
「これだけは知っておきたい!シリーズ」ビジネスプラン入門編・税務入門編・管理入門編・会計入門編と、Entrepreneurial Winning Women の企画・協力で旬刊経理情報に連載されている『女性リーダーからあなたへ』のコラムをご紹介します。